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飛鳥5(8月2日、4)


  四

 外に軽い蜃気楼。行き交う人はせわしない。皆が手にハンカチを握っている。
 ここに来て早一時間。何を今さらという話ではあるが、若干の気まずさを感じて、高崎に「何か食うか?」と尋ねる。
 高崎はうれしそうに「じゃあ俺イチゴパフェ」と言う。おっさん自重。
 俺は苦笑いすると、丁度通りかかった店員を呼び止めて、イチゴパフェとヨーグルトサンデーを注文した。
 俺も大概か。

「で?」
 店員が去った後、高崎はおもむろに口を開く。
「それはそうとお前、鮫と何があった?」
「・・・・・・」
 俺は、苦く笑う。

 ここから近くのタバコ屋まで往復三、四十分かかる。
 俺はそれを想定して話し始めた。
「・・・・・・あの日、鮫島に怒られた」
「怒られた」の言い草が面白かったらしく、高崎が「ふ」と笑う。
「あの日、って?」
「保健室の事件があった、あの日だ」
「何で?」
「いい加減はっきりしてやれって」
「何を?」
 俺は大きく息を吸い込み、吐きながら言う。
「・・・・・・鈴汝、を」
 俺は残ったタバコのにおいに、鮫島がまだ近くにいるような緊張を覚えた。
「俺がいつまでもはっきりしないから、あんなことになったんだ、って」
 高崎は黙って聞いている。
「いい加減にしないと、このままじゃ鈴汝がかわいそうだ、って」
「・・・・・・このままじゃ、ってことは今もまだ変わってないんだな?」
 俺はぐっと押し黙る。高崎は一度背もたれに背中を預け、上に伸びをして腕を下ろす。そうして、
「いや、お前を責めてるわけじゃないぜ?」
 高崎は視線を落とす。
「・・・・・・なんか、前に鮫が妙なこと言ってたから、さ」
「何?」
「あぁ」
 高崎は左手であごをなでると、息をついて言った。






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