71話 本格的ダンジョン攻略
いよいよダンジョンの地下に進んでいきます。
その日、俺たちはいよいよダンジョン攻略に向けて本格的に動き出すことにした。
アイテムや装備などは万端整えている。
見慣れたダンジョン入口の光景も、ちょっと違ったものに見える。
「それじゃ、今から私たちが記録を更新していくわよ」
ミーシャの言葉に俺とレナがうなずく。
「まず、確認しておくけど、誰か一人でも引き返したほうがいいって判断した時点で帰るから。無理は絶対にしない」
そうだな、危険もこれまで以上に大きくなるからな。
「とくにレナは職業上、ダメージを食らうと途端に窮地に陥るから、本当に気をつけること。もうちょっとレベルを上げてから臨んでもいいぐらいだってことを忘れないで」
「心して行きますぜ!」
「まずは地下35階層までしっかりダンジョンの地形を把握することに努めるわよ。ちょっとずつ堅実に行くからね」
実際、地下31階層に行くまででもう気持ちがたかぶってるから、堅実にやるのでも何も問題なさそうだ。
「よーし! 行くぞ!」
序盤の階層はさくさくと進む。
そもそもモンスターが襲ってこない。
おそらく本能的に、こいつらと戦うとひどい目に遭うということがわかるのだろう。顔を見るなり、逃げていく連中も多い。
地下20階層あたりまで来ると、モンスターもそれなりに強くなるが、まだこちらの敵じゃなかった。
俺とレナの連携だけでも、このあたりの奴らは難なく倒せる。
ちなみに俺とレナのステータスはこんな感じだ。
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ケイジ
Lv29
職 業:戦士
体 力:278
魔 力:124
攻撃力:238
防御力:237
素早さ:196
知 力:140
技 能:刺突・なぎ払い・兜割り・力溜め・二刀流・鑑定(剣)・毒耐性・マヒ耐性・早期回復
その他:猫の考えがある程度わかる、猫の嫁。
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レナ
Lv27
職 業:盗賊
体 力:206
魔 力: 0
攻撃力:239
防御力:127
素早さ:325
知 力: 60
技 能:高速回避・かすめとり(高度)・武器奪取・カギ破り(高度)・聞き耳・声真似・気配察知
その他:オオカミに姿を変えられる
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基礎攻撃力は俺とレナでちょうどほぼ同じ。
ただ、攻撃姿勢はまったく違う。俺は剣で斬りまくるが、レナはナイフで隙を突いて刺していく。
連携すれば、俺がモンスターの気を引いてその間にレナが刺し殺す、あるいはその逆ということも割合簡単にできる。
「二人とも、よく戦えてるわ。おそらくステータス以上の強さになってる」
ミーシャも俺たちの活躍を褒めてくれた。
ミーシャがあまり手を出しすぎると、俺たちが戦闘に慣れられないので、ミーシャはできるだけ関与しないことにしていた。
「この調子なら、地下30階層までは難なく行けそうね」
地下25階層。
このあたりからモンスターの次元が明らかに一つ上になる。
ビッグアイ、ワイト、ダークストーカー、イフリート。
気を抜くと、一対一だと窮地に陥りかねないモンスターが増える。
だからこそ、連携が大事だ。
急所を狙うのが得意なレナは上手くナイフの一撃を決めて、敵を絶命させる。
一方で、一発ごとの攻撃力が高いモンスターは体力の高い俺が壁になる。
そのあとの回復はミーシャがやってくれるので大丈夫だ。
その戦闘でも、俺がイフリートの前に出る。
イフリートが炎を吐くが、俺が受け止める。
熱いが少しぐらいなら耐えられる。
「こっちががら空きだぜ!」
背後からレナがナイフでイフリートの首元を切り裂く。
「よくやった、レナ!」
そこで一気に前進して剣でとどめの一撃を加える。
「うん、二人とも、よくやったわ!」
すぐに回復魔法がミーシャから飛んでくる。
「まだ、ピンチらしいピンチはないわね。このまま進むわよ」
そして俺たちは地下30階層まで来た。
ここでの戦闘で俺とレナのレベルが上がった。
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ケイジ
Lv30
職 業:戦士
体 力:290
魔 力:130
攻撃力:248
防御力:246
素早さ:205
知 力:145
技 能:刺突・なぎ払い・兜割り・力溜め・二刀流・鑑定(剣)・毒耐性・マヒ耐性・早期回復・急所突き
その他:猫の考えがある程度わかる、猫の嫁。
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レナ
Lv28
職 業:盗賊
体 力:214
魔 力: 0
攻撃力:252
防御力:136
素早さ:338
知 力: 65
技 能:高速回避・かすめとり(高度)・武器奪取・カギ破り(高度)・聞き耳・声真似・気配察知
その他:オオカミに姿を変えられる
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「Lv30って一つの節目だと思ってたけど、そこまで到達できたな」
たいていの冒険者はここまで来るまでに引退してしまう。熟練の冒険者を示す指標の一つが、Lv30だ。
「これで現在の王都最強の戦士の記録更新ね」
ミーシャも褒めてくれた。
「能力だけだとお前がはるか上にいるからあまり最強って気にはなれないけどな」
「私はエラーみたいなものだから、私抜きで考えたほうがいいわよ」
事実、そうだからな。
そして、地下31階層へ降りる階段までやってきた。
「それじゃあ、未知の領域へ行くわよ」
「ああ、覚悟はできてる」
「35階層を目指しますぜ!」