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63話 モンスターの巣探し

今日はちょっと早目に更新します。

「へー、じゃあ、この子もモンスターなの?」


 ミーシャが魔物使いに尋ねる。


「そうですよ。カミツキイタチという種類の奴で、肉食で獰猛なんです。ただ――」


 イタチたちは主人の肩にぴょんぴょんと乗ってきた。


「僕のイタチたちはちゃんとしつけてますから、人間に襲いかかったりはしませんけどね。子供の頃から教育してますから」


「いいなあ~。なあ、旦那、イタチ、飼いましょうよ、イタチ!」


「飼うって……猫とはわけが違うだろ……。ていうか、猫なら屋敷に割とやってくるし」


 近所の野良猫はミーシャと仲良くなって、なかば家猫化しているのだ。


「ははは、魔物使いでないとイタチは難しいですね。申し遅れました、魔物使いのリチャードです」


「ケイジです。そっちのオオカミの獣人がレナで、猫の獣人がミーシャ」


 厳密にはライカンスロープは獣人とは違うのかもしれないが、この説明がわかりやすいので、これを採用している。


「そうですか。そちらと同じチームですよね。明日は頑張りましょう!」


 その日は馬車とテントでそれぞれ寝泊りすることになった。


 俺たちのパーティーは女子率が高いのと三人しかいないという理由で馬車で眠らせてもらった。



 翌朝。

 夜にモンスターに襲われるだなんてこともなく、俺たちはゆっくりと眠れた。


 俺たちのチームは昨日とは逆側の森に入っていく。


 向こうのパーティーのリーダーに聞いたが、

「まだまだ、モンスターは残ってる。昨日はそんなに奥までいけなかったしな」

 という見解らしい。


 基本的にそれは信じていいだろう。


 ここのリーダーもかなり落ち着いた感じの三十代なかばの男で、なかなか渋い。

 酒場に座っているだけで絵になるタイプだ。

 ここに来てるってことは、大物は大物の風格を漂わせるんだな。

 ギルドですぐにケンカ売ってくる下っ端みたいなのは全然いないもんな。


「おそらく、まだ森には巣を作ってるモンスターがたくさんいる。その巣を排除していきたいな」

「ちなみに、巣を見つけるいい方法とかってあります?」


 俺のパーティーはダンジョンアタックを中心に活動してきたので、野外での必勝法みたいなのはない。


「それならこっちのパーティーにいい人材がいる」


「どうも、リチャードです」

 昨日の魔物使いがこっちにやって来た。

 背中や頭にはまたイタチが乗っている。


「魔物使いっていうのは魔物を探すのも仕事のうちですからね。だけど、別に僕の鼻がきくってわけじゃないんです。やるのはこの子たち」


 イタチたちは森の中に走っていって、鼻をくんくんさせている。


「やっぱり、かわいいわね」


 もともと猫のミーシャでもイタチは愛玩の対象らしい。


「かわいいわけじゃないんですよ。この子たちは卵が好物なんで」


 イタチに続いてリチャードは森に分け入っていく。


 俺たちもそれを追いかける。森の中ではぐれられたりしたら、命にかかわるからだ。


「ほら、ありました」


 イタチたちの先にはラグビーボールみたいな大きさの卵がいくつかあった。


 ――と、そこに巨大なトカゲが顔を出してきた。

 かなりいきりたってるから、この卵の親なんだろう。


「かわいそうだけど、ここに住まれちゃダメなんだよ」

 やさしくリチャードが言った。


 その後ろにはもう彼のパーティーが集まっていて、トカゲを攻撃する。


「ここは、俺たちでやる!」

 危ないようなら応戦するつもりだったけど、トカゲぐらいなら問題ないようだった。


 トカゲを切り伏せたあとで、卵を破壊する。

 こうやって、根絶しないと終わりがない。


「たしかに魔物使いって森だと便利かもな」


 的確に森にある巣を見つけられるというのは、きっと利用価値もいろんなところにあるだろう。


「ダンジョンだとあまり役に立たないんですけどね。それに大きなモンスターだとダンジョンだとつっかえるし」


 たしかに狭い通路もダンジョンにはある。


「カミツキイタチを使っているのも、それが理由でもあるんです。こいつらなら、どこにでも入れますから」


 そのイタチたちがまた森の中に入っていった。


「チーッ!」


 イタチが鳴いた。


 何かの合図だろうか。


「これはとっとと来いってことですね」


 リチャード、それに続いて俺たちもあとを急ぐ。


 茂みを抜けたところに――


 荷馬車に乗せられるかも怪しいような卵がごろんと置いてあった。


「ああ、これ、ロック鳥の卵ですね」


 リチャードの表情が少し神妙なものになる。


 ロック鳥というと、土ドラゴンと並ぶこの森の最強クラスのモンスターだ。


「本来なら火山の火口部分とか外敵がほぼ来ない場所に巣を作るんですが、森だとそんなところがないから、しょうがなく地面に置いてるんでしょう」


「普通、鳥って木に巣を作るもんじゃないのか?」


「卵が巨大すぎて木が折れるんじゃないですか? 落ちたら割れるでしょうし」


 たしかに。それだけの重さがありそうだ。


 そして、巣に俺たちが近づいたということは――


 親が戻ってくるかもしれないってことだ。


 大きな影が俺たちの体にかかった。


小説家になろうさんにて、「最高のおもてなしで行う異世界の宿屋革命 ~老舗旅館「森さと」が異世界に来た~」の更新をはじめました! よろしくお願いします! 


http://ncode.syosetu.com/n7958dh/


おもてなしという発想が前提にある日本の旅館が異世界にやってきたらほかの宿屋に対して無双できるのではないかと考えて書いたものです。随時更新予定です。

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