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22話 猫屋敷の怪

家族?が増えました。

 こうしてミーシャとの二人きりの生活をするようになって、一週間が過ぎた。

 ミーシャはダンジョンではしっかり俺を支えてくれるが、その分、家では相変わらず何も働かない。

 ミーシャいわく、

「私はあくまでも猫だから、そこは猫のプライドにかけて働けないわ」

 ということらしい。

 プライドまで持ち出されると、はい、そうですか、と答えるしかない。


 なお、ダンジョンに潜らない日のミーシャはものすごく自由奔放だ。

 今までもそういうふうに生きていたはずなのだが、獣人の姿になっている時もあるので、それが目立つのだろう。


 まず、よく寝る。

 これは朝の目覚めが悪いという意味ではなく、昼間とか飯を食べたあととか、いつのまにか寝ている。

 しかも、たいてい床で寝ている。

 猫の姿で寝ていても違和感はないが、獣人の姿で眠られると、さすがにびくっとする。


「おい、床に転がるな。絨毯敷いてるとはいえ、汚い」

「じゃあ、ご主人様がベッドまで連れていって」

 これは甘えているのではなく、ミーシャの素だ。

 素ではしょうがないので、ベッドに運ぶ。


 まあ、俺もダンジョンに行かない日は昼寝することもあるから、お互い様ではあるが――

 俺が寝ているベッドに入ってきたりもする。

 これも猫の姿ならいいのだけど、人間のままだと、どきりとする。


「ご主人様と一緒に眠る~」

 こういう時のミーシャはえっちいことをしようって意図はないので、変な気を起こさずにそのまま一緒に眠るのが正解だ。


 とはいえ、正解ではなく、間違いを起こしそうになるので、そこの自制心は持たないといけないので、けっこう疲れる。

 黒髪のケモミミ美少女がベッドに入ってきて、香りつきのシャンプーが売ってる世界でもないのに、なぜかいいにおいが鼻腔をくすぐったりするのだ。

 新手のイヤガラセなのではと疑いたくなる時もある。

 ちなみにキスをするのはセーフなので、よくキスをすることにしている。

 ミーシャも獣人の姿でも、猫の姿でも、顔を舐めてきたりするので、それみたいなものだ。


 あと、こっちが掃除をしていたり、料理を作っていたりすると邪魔してくる。

 具体的に言うと、獣人の姿になって後ろから抱きついてくる。

 これも猫あるあると言えなくもない。


 あまりかまってやらずに新聞を床やテーブルに置いて読んでいたりすると、新聞に載ってきたりする。

 パソコンをやっていても画面の真ん前に居座ってきたりする。

 これはかまってくれアピールなのだ。

 猫はこっちから遊んでやろうとしても興味ないもんねという顔をするくせに、自分が遊びたい時は勝手にやってくるのだ。


 その日も、シチューを作っていたらミーシャが後ろから抱きついてきた。

「こら、料理中は危ないから、あんまりそういうことするな」

「え~、つまんな~い。ボール投げて」

 難しい魔道書を読む一方でいまだに転がるボールを追いかけたりもするのがミーシャだ。


「もうちょっと待て。今は手を止められないから」

「じゃあ、つまみ食いしちゃうわよ」

 そして、勝手にデザート用のフルーツを口に入れた。

「お前、自由すぎるぞ」

「だって、猫だもん」


 こんな調子で、やりたい放題で生きていたミーシャなのだが――

 翌日からミーシャはちょっと真面目になった。

 全然昼寝したりしないし、むしろ近所に出かけたりしているぐらいだった。


「買い物行くけど、ついてくるか?」

「今日は家にいるわ。仕事があるの」

「仕事なんてないだろ」

「とにかく、買い物には行かないから」


 なんか変わったな。出かけるとなったら絶対ついてくるって言ってたのに。

 なつかれなくなるのも、それはそれで寂しいななんて、ちょっと俺のほうも身勝手なことを思いながら食材を買って帰宅した。


 部屋の中を白猫が横切った。


「ああ、ミーシャ――って違うぞ!」

 ミーシャは黒猫だ。

 じゃあ、あの猫は何なんだ?


 白猫を探したが、いない。

 いったいどこにいるんだと思って、台所のほうに行くと――

 今度はアビシニアンみたいなすらっとした猫がいた。

「にゃっ?」

 アビシニアンみたいな奴が「お前、誰ニャ?」という顔で鳴いた。

 いや、むしろ、こっちが聞きたいよ!

 お前、どこから来た猫だよ!


 そして、後ろからも、もふもふの長毛種の猫が俺の横ををかすめていった。


「何匹いるんだよ!」


 どういうことだろう……。

 猫屋敷になっている!


「あっ、ご主人様、びっくりさせちゃったかな……」

 そこに獣人姿のミーシャがやってきた。

「この近所を猫の姿で歩いてて、友達になった猫たちなの。それで家に招いたわけ」

「なるほどな……ちなみに何匹、いるんだ?」

「8匹」

 思った以上に多い!


 謎は解けた。

 解けたけど、問題のほうはこれで解決してはいない。


「ねえ、ご主人様、お願いがあるんだけど」

 上目づかいでミーシャが俺の顔を見てきた。

 さあ、来たぞ。

「この子たち、飼えないかしら?」

 来たっ!

 猫飼いたい発言だ。


 とはいえ、別にペット禁止の貸家じゃないし、どれだけ柱で爪をとがれようと問題ないと言えばない。

 経済的にも、冒険者という職業でどうとでもなる。

 なので、ちゃんと世話ができるかどうかってところがすべてだ。

 というか、俺はもともと猫を飼っていたような人間なのだから、基本的には認めてやりたい。


「わかった。飼ってもいいぞ」

 ミーシャも友達がほしいだろう。

 仲がいいのが俺だけというのも寂しいだろうし。

「わーい! ご主人様、大好き!」

 ミーシャが俺に抱きついてくる。抱きつかれるたびにあたふたすると、威厳も何もないので、ここは我慢する。


「ただし、猫のトイレの世話とか、しつけとか、そういうことはお前がやるんだぞ」

 これで、ミーシャにも責任感みたいなものが身につくなら悪いことじゃないだろう。

「え? なんで、そんなこと私がしないといけないの?」

 きょとんとした顔でミーシャが言った。

 この反応は予想外だった!


「いやいやいや! お前、猫を飼いたいって話になったら、普通、ここで世話をちゃんとしますって答えるところなんだよ!」

「この子たちはこの子たちよ。私も猫なんだから、管理権なんてないわ」

 そうか、ミーシャはあくまでも猫なのだ。

 人間として、猫の世話をするという概念がほとんどない。


「まあ、壁をひっかくなとか、そういう次元でいいから教えてやれ……」

「うん、それぐらいならいいわよ!」


 こうして、新居はそこそこの猫屋敷になったのだった。

すいません、次回も少し早目に更新しました。

なお、ミーシャがご主人様にご奉仕せざるをえない話になります。

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