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102話 旧文明は地底人説

 約束どおり、罠チェックを一時間やるとミーシャは安全な神殿の中心部に出てきて、猫に姿を変えた。


「ふぅ~。どう? かなり進んだでしょ? 我ながらよくやったと思わない?」

「うん、本当にミーシャさまさまだ」


 モザイク状の床には○と×が並んでいる。五目並べみたいだが、もっと物騒な印だ。○がセーフの床で、×が罠が作動するアウトの床だ。

 ちなみに△というのもある。これは一度目は発動するが二度目は大丈夫だろうという床だ。なんでわかるかというと、ミーシャが二度目を踏んだのだ。


 石が落ちてくる系統のトラップは何度も石が補充できないためか、二つ目の石は落ちてこない。

 もっとも、レナいわく次の罠が復活するまでに時間がかかるタイプもあるらしいので、次回挑戦した時に復活している恐れもありうる。なので絶対に大丈夫とは言い切れないので△なのだ。

 なお、そもそもチョークで何も書けない床もある。落とし穴だった場合の床だ。


「向かって左手の廊下はほぼ攻略したわ。全部の床を確認するとなると、今日もう一往復するとして、二日ぐらいかかるかしら」

 う~ん! とミーシャは猫の姿で背中を伸ばした。

「本当に30階層を過ぎると、時間かかるフロアばっかりだな……。倉庫のフロアはスルーがもったいなかったせいだけど」


「モンスターが全然出てこないだけマシね。どの床が安全かわかっても、そこで戦闘するのは危なっかしいわよ」

「だよな。うかつに動いて罠の床を踏んだら悲惨だ……」

「モンスターがまったくいないってことは入ってこないような魔法でも仕掛けてあるんでしょうね。神殿なんだからおかしくはないわ」

「ここに温泉が湧いてたら最高なんだけど、さすがに戻るしかないな」


 レナは俺とミーシャがしゃべっている間、柱を一つ一つ調べたりとやたらと動き回っていた。

「レナ、お前も休んだらどうだ?」

「罠解除を姉御にやってもらったのは、盗賊として面目ないんです。だから、せめて罠のなさそうなところを調べてるんでさ」

 真剣な顔でレナが答えるので、これはやめとけって言っても聞かないだろうな。


「今からミーシャと温泉に戻るぞ。それにはついて来いよ。単独行動は危険だからな」

 そして、三十分ほど温泉に入ってひと息ついて、35階層に戻ってきた。


「罠の感覚もつかめてきたし、さっきよりはペースアップしてやれそうだわ」

 ミーシャは残りの床を踏んでいく作業に復帰した。けっこう、弓矢が飛んできたりして、こちらも気が気でないし心臓にも悪いが、ミーシャの動体視力だともう見切ったも同然らしく、ほぼノーダメージで罠を発動させまくっていた。


 結果、次の一時間で外周の廊下全体の半分以上が確認できた。

 これで壁や部屋を確認する導線はできたことになるが、まず床を完全に見極めることに引き続き、時間を費やす予定だ。

 途中からミーシャの中にダンジョンをコンプリートするという発想が生まれてきているらしい。たしかにここまで極められるのはミーシャぐらいしかいないから、その気持ちもわかる。


 その日はそこで切り上げて、翌日も罠の確認をして、すべての床を調べ上げた。


「今日も疲れたわ。小部屋と壁のチェックは翌日にまわすわね」

「それでいい。ミーシャの集中力が切れてる状態で未知の領域に踏み込みたくないしな」


 手間のかかる探索だが、実質、未踏のダンジョン探索ってこういうものなんだろう。昔のゲームだと、一つのフロアに丸一日かかるようなのもあったし。


 さて、すべての床を踏みしめたところで、このフロアの構造を再確認しよう。


 いわゆる神殿みたいな雰囲気なのだが、礼拝空間というか偉い人間が立つ壇のようなものがちょうど、ど真ん中にある。廊下はぐるっと一周しているので、コロシアム的な360度人間が並ぶような構造だったのだと思う。

 現状、ラクリ教の礼拝施設の中で最大級のものなので、学者達用に記録して報告してやろうと思う。


 そこで疑問に感じたのが、入口にあたる場所がどこなのかはっきりしないということだ。

 言うまでもなく、どんな宗教の建物だって、入口がある。ということは、何をもって正面とするかということも決まってくる。

 しかし、ここはダンジョンの内部なので、平面方向から入る手段が存在しない。俺達も階段を降りてやってきた。

 けど、一つ上のフロアが倉庫なわけで、信者が必ず倉庫を通らないと神殿に入れない構造の建物など作るだろうか。


 答えは簡単だ。

 作るわけがない。

 いくら、ラクリ教が現在とは断絶した旧文明のものだとしても、倉庫を通って神殿に行くべきだなんて価値観を持っていることは常識的に考えてありえない。

 

 そういう話を、また風呂に入って休んでいる時にした。


「意味はわかったけど、つまり、ご主人様は何が言いたいの?」

「ラクリ教徒はもっと地下に住んでたんじゃないかって思うんだ。ずばり、ラクリ教徒地底人説」

 俺は割とドヤ顔で言った。


「だから、さらに地下に降りればラクリ教徒の生活スペースにたどりつくと思うし、絶対に地下への階段はまだあるはずなんだ」


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