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  HERO 作者:式部雪花々
ハロウイン企画 トリック・オア・トリート -2-
「確かにあの子は可愛いけど、あんな風に

 バシバシ撮られてニコニコしてる子より、

 俺はなかなか撮らせてくれない子の方が興味ある。

 ちなみにその子が今、俺の待受画面になってるけど。」

俺は携帯を開いて、璃桜に待受画面を見せた。



「え・・・これ・・・。」

予想通り、璃桜は口をパクパクさせた。

だってそれはそうだろう。

普通に考えたら俺が絶対に持っているはずのない

写メなんだから。



「な、なんで?なんで、遼くんがこの写メ持ってんの?」

璃桜は俺の携帯と俺の顔を交互に見た。



「さぁ?なんでだろー?」

ちなみに俺の携帯の待受画面は

笑っている璃桜の写真。

おそらく教室の中で撮った物だ。



“おそらく”というのは俺自身が撮った訳じゃないから。



「だって、これ・・・」



「栗田さんに送ってもらった。」

別に隠し通す必要もないし、俺は種明かしをした。



「アキに?」



「うん。だって、璃桜が恥ずかしがって

 なかなか撮らせてくれないから。

 栗田さんにまた伏兵になってもらったの。」

璃桜は俺に撮られるのが恥ずかしいらしく

「写メ撮りたい。」って言ってもなかなか撮らせてくれない。

だから俺はまたまた栗田さんに協力してもらった。



「せっかく、手に入れた写メなんだし、

 璃桜以外の写真を待受にするつもりないから。」

俺がそう言うと璃桜は顔を赤くして黙り込んだ。





「トリック・オア・トリ−ト!」



あ・・・?



いつの間にかさっきの男の子と同じ様に

魔道士の格好をした小さな男の子が俺達の前にやって来ていた。



「あー・・・、えっと・・・ごめんね。お菓子持ってないの。」

璃桜はさっきの男の子にあげたのが全部だったらしく、

少し身を屈めて申し訳なさそうに男の子の頭を撫でた。



俺はお菓子なんて持ち歩かないしな・・・。



その場合、イタズラされるって事か?



「じゃあ、お姉ちゃん、コレあげる。」

男の子はそう言うと璃桜の手に何かを握らせて

「バイバーイ!」と素早く走っていった。



何だ、あれ?



璃桜は不思議そうな顔をしながら男の子の後姿を見送り、

握っている手に視線を戻すとゆっくり拳を開いた。

「きゃあっ!?」

その途端、璃桜は悲鳴をあげて、握っていたものを思わず放り出した。



俺は地面に落ちた物を拾った。



蛙だ。

・・・といっても、もちろんゴムで出来た作り物。

小さくてプニプニしてて、綺麗な緑色した結構可愛いヤツ。



「はい。」

俺が璃桜に蛙を差し出すと璃桜は「えー、いらないよぉ。」と

ちょっとだけ涙目で言った。



「璃桜、蛙苦手?」



「うん・・・。」



まぁ、だいたい女の子はみんなそうだろうな。



「じゃ、コレ俺が持って帰る。」



「り、遼くん、蛙好きなの?」



「いや、別に好きとかじゃないけど、明日学校に持っていって

 タカをびっくりさせようと思って。」



「あ・・・、そう。」



璃桜が顔を引き攣らせていると、

「トリック・オア・トリ−ト!」

と、今度は俺の後ろから声が聞こえた。



ん・・・?



振り向くと青い目をした金髪の小さな可愛らしい

外人の女の子が立っていた。



俺も璃桜も何にも持ってないけど、まさかこの蛙を

あげるワケにもいかないしな。





女の子は俺達がお菓子を持っていないと気がつくと

小さな白い手をヒラヒラさせて俺に顔を近づけるように手招きした。



「ん?」

俺がその女の子に目線を合わせるようにしゃがむと

女の子は俺の頬にチュッと小さく音を立ててキスをした。

そして、さっきの男の子同様、「バイバーイ!」と言って

走って行った。



「・・・。」

俺はしばし放心状態になった。

・・・て、ほんの2,3秒だけど。



ふと、璃桜の顔を見るとちょっと拗ねたような顔をしていた。



あ・・・そーだ。



「トリック・オア・トリ−ト!」

「へ?」

「だ・か・ら、トリック・オア・トリ−ト。」

俺がそう言うと璃桜はキョトンとしていた。



「お菓子あげなかったら、どーなるの?」



「もちろん、イタズラかな?」



「イ、イタズラって何するの・・・?」



「さぁ?何かなぁ?」



「・・・。」



「大丈夫、そんなに意地悪な事しないよ。

 けど、俺のお願い聞いて?」



「な、何?」



「せっかくハロウィンなんだからさ、

 パンプキンパイでも食べに行こうよ。」



ホントは「写メ撮らせて。」と言いたいところだけど。



「う、うん。」

璃桜は無謀な要求じゃなかった事にホッとしたのか、

コクッと頷いた後、小さく笑った。



写メはまた今度・・・。



そして、俺と璃桜はまた小さな魔道士達に捕まる前に

ショッピングタウンの中にあるカフェに入った―――。





―――翌日。



「おぃっすー。」

教室に入るとタカのヤツがなんだかニヤニヤしながら

携帯を見つめていた。



朝から何やってんだ?



「おぅっ、リョウ、見てくれコレ。」

タカは俺が席に着くなり、携帯の画面を俺に見せた。



そこには・・・



昨日の“ミス・魔女”が写っていた。



「昨日さー、ハロウィンのイベントで超可愛い子みっけた♪」



タカ・・・あの中にいたのかよ・・・。
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