ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
  HOSPITAL 作者:小上晴
風俗8
2004年 夏

夏休みになり俺は仲間の正弘と東北旅行へ出かけた。
「なぜ東北?」理由は特にない。
ただお互い遠くの田舎でゆっくりしたいと言う気持ちから東北へ向かう事になった。
車は正弘の車で出かける事にした。
どこまでも続く東北自動車道、群馬県、栃木県、福島県、宮城県、岩手県、秋田県を経由しようやく終点である青森県青森市に到着した。


どこまでも真っ直ぐ続くむつ市の道、曲がりくねった道がひたすら続く恐山の山道、
スケールがでかく絵に描いたような美しさの十和田湖。

雲が東京より近く感じた。

青森県から秋田県へとどんどん俺たちは南下して行き、近くの定食屋で食事をしていた時俺の携帯が鳴った。リナからだ。


「プルル...... プルル....... プルルル..........」

「もしもし」

「あ、よし君今大丈夫?」

「大丈夫だよ」

「あ、あのね私ちょっとトラブっちゃってお店を辞めちゃったんだ。」

「どうして?」

「うん、ちょっと複雑だから今度話すね。ところで今夏休み?」

「そうだよ」

「何してるの?」

「友達と東北旅行中で今秋田県にいるんだ」

「えっ?秋田のどこにいるの?」

「仙北市ってとこにいるよ」

「ビックリ!私の実家から近いよ」

「え?ホント?じゃあ何かお勧めのお店とか知ってる?」

「うん。そこら辺だときりたんぽとか凄い美味しいお店があるよ」

「丁度今きりたんぽ定食食べてる所だよ」

「美味しい?」

「うん」

「その辺だったら東京と違って何を食べても美味しいよね」

「確かに昨日からどの店に行っても美味しい物ばかりでビックリするよ。こっちに住みたいって思っちゃう位に」

「東京に住んでる人がいきなりそっちに行ってもいい事もあるけど不便な事とかいっぱいあると思うけど」

「まあそうだよね」

「ところでさっ、報告なんだけどお店が変わって今度は青山のデリヘルになったの。店の名前は青山クリスタル。良かったらまた来て欲しいな」

「うん」

「そこの系列の店長が知り合いだから暫くそこに働かせてもらう事になったの。良かったらホームページとか観てみて」

「もう写真とか載ってるの?」

「うん。ライトバンバン飛ばして撮影してきたとこだよ」

「うん。観てみる」

「じゃあ連絡待ってるね。気をつけて帰って着てね」

「はーい」



電話を切ると正弘が俺に言った。

「彼女?」

「違うよ。風俗で仲良くなった女の子だよ。めっちゃかわいい子なんだよね」

「えっ風俗嬢って事?」

「そうだよ」

「じゃあタダでヤラセテくれたりすんの?」

「それは無理だろ。俺はただの客だし。でも店に行った時にヘルスなのにヤラセテくれたんだよね」

「ああいう所にいる女は嫌いでやってる訳じゃないから気分次第ではそういう事もあるんだな。でもお互いもう若くないんだからあんまそういう女と無理したり深入りするのは良くないぜ」

「深入りはしてないよ。でも深入りしてもいいかも」

「相変わらずよっちゃんは考え方が若いね」

「俺ぜんぜん進歩してないかな」

「昔と変わらないね」

俺たちは仙北から盛岡市に行きそこから高速に乗り東京へと帰って行った。
東北の人たちは会話する人が皆親切で純粋そうな人ばかりだった。東京へ帰る途中景色がどんどん変わって行くのと同時に現実に戻されて来ているような感じがした。


旅行から帰ってきて1週間後に俺はリナに電話をした。
休み明けの仕事はなんだか気持ちが入らず気分転換をしてみたかったからだ。


「プルル...... プルル....... プルルル..........」
「プルル...... プルル....... プルルル..........」
「プルル...... プルル....... プルルル..........」


「はい。もしもし」

「こんばんわ。遅くにごめんね。ナカナカ出ないから切る所だったよ」

「あ、ごめんなさい」

「今日ってお店出てないの?」

「ん?」

「今日お店に出勤してない?」

「うん・・・」

「あれ、今電話しても大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ。」

「新しい店行ってみたいなって思ってさ、店の名前忘れちゃったから電話したんだけど」


「そう・・・。でもね私最近調子が悪くて全然出勤してないんだ。何なんだろう?職場が変わったからか精神的にまいっちゃってるのかな?」

「え?大丈夫?」

「うん。なんとか」
「でもこの前友達と買い物中に突然倒れて、病院に運ばれちゃったの。それで色んな検査してもらったんだけど、CTなんとかとかいうやつ?」

「CTスキャンの事?」

「そうそれ。そしたら出た結果が脳に異常があるって言われたんだよね」

「異常ってどんな?」

「脳梗塞とかクモ膜下出血みたいな」

「それやばくねーの?」

「うん。検査が終わってから何してても眠くて仕方がないんだよね。取り合えず不安だから暫く実家に帰るようにするよ」

「うん。体は大事にしてね」

「じゃあ私また寝るね」

「わかった。おやすみ」


電話を切った後、事の重大さに少し焦った。あの元気な子が。
大丈夫だろうか?
かなり気になって眠れなかったのでビールを沢山飲みようやく寝る事ができた。

翌日の朝、携帯を見るとリナからの着信が入っていた。
すぐにかけ直したが彼女が出る事はなかった。
その日の夜も翌日もその次の日も・・・







+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。