マイナスな方向へ5
一瞬何が起きてるか解らなかった。
「何だよ。今のテメーの眼つきは何か言いたい事があんじゃないの?」
「私、見てません・・・」
俺は夏樹を止めた。
「何やってんだよ。関係の無い子を巻き込むなよ」そう言い夏樹手を離させて自分の方へ引っ張った。
周りがザワザワして皆が俺達を見ていた。
俺はその女の子へ謝り、酔っ払っていて人違いで絡んだしまった事を話し、最後に謝った。
一人の高校生の男が「納得いかねーよ」とキレ出したが何度か謝り納得してもらった。
夏樹は最後まで暴言を吐いていた。「あの女、私の事キモイって言ったの。何?あのガリガリ?って絶対言ってた」
「解った。解ったよ。でもそんな事でケンカ売るのは良くねーよ」
「帰りまた見つけたらぶっ殺してやる」
「やめなっ」
デパートへ到着し、夏樹は買物をし始めた。一体、働いてもいないのにどうしてまた、金を持っているんだろう。彼女の異常なまでの買物依存症を真横で見ながら俺は吐き気がした。
「どう似合う?」夏樹は言った。
俺は彼女の無邪気な姿を見ながらただ呆然と立尽くすしかできなかった。
帰りの車中、夏樹の携帯が鳴った。消費者金融からだ。
「はい。いいんですか?じゃあ50万お願いします。はい、そうです。宜しくお願いしマース」
電話を切った夏樹に俺は言った。
「50万って何?」
「この前、借金返済したからまた、限度額の50万借りてくれないかって言われたの。凄く親切な消費者金融で私の銀行口座に50万振り込んでくれるんだよ。便利でしょ?」
「借金返済って他から借りた金で一時的に返しただけでしょ」
「テヘヘ」
「テヘヘじゃないよ。あのさっどう考えてんの?このままじゃ本当に俺じゃ助ける事できないよ」
「やめて。自分でなんとかするから」
「できる訳ないじゃん。もう一体いくらあるかわかんねーよ」
シャブの売人や仲間・風俗の店長・AV女優の友達・闇金・そして消費者金融までもがシャブでボロボロになった彼女に金を貸すのだ。金払いがいいから金利が沢山貰える。また、風俗やAV業界に戻らせることができる。また、シャブを買わせる事ができる。理由は様々だが何れも夏樹を破滅に導いている。
まともな会話もできない彼女では仮に風俗やAVに戻ったとしても、きっとまともに働くことはできないだろう。案の定数日後、六本木の高級キャバクラに勤めに行くと張り切っていたが1日いや1時間と働く事ができなかった。
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