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  HOSPITAL 作者:小上晴
プロローグ
会社に遅刻した時だった。

とある駅まで電車を寝過ごしてしまい、駅のホームで半分寝ている様な姿勢で俺はベンチに座っていた。


俺は思った。「しかし朝が来るの早いよな」帰宅時間が遅い俺にとって朝は本当に辛い。



「プーップーッ」この駅では止まらない急行電車が警笛と共にやってきた。


「お、下り電車きたかな?」目を開き電車を見ようとした。その時だった。


10メートル位離れた所から電車と平行にこちらに女の人が歩いてくる。ものすごい顔の女の人が・・・。


顔が全て焼け爛れ、目が半分飛び出ており、口は耳の方まで広がっていた。
貴婦人が被る様な大きく黒い帽子と黒い上品なドレスを身にまとっていた。



唖然とした俺は思った。「ここまで焼け爛れて動く事ができるのか?」あまり見てはいけないと思い俺はそのまま目を閉じた。



しばらくして目を開くと丁度俺の前を通り過ぎる手前まで来ていた。



「俺の座っているベンチの横が空いている」



「怖い」俺は思った。


何が怖いのか正確言えば、「オーラが怖いのだ」


他人の俺でも感じ取れるとてつもない悲しみに満ちたオーラ。


彼女は今にも倒れてしまいそうな位細い体で、よたつきながら俺の前を過ぎ去り、ホームの一番隅まで歩いていった。






俺は歌舞伎町劇場通りを歩いていた。


人が倒れていた。人通りの多い歩道で・・・。


何があったのかと近づいてみると韓国人らしい片足の無い男が歩道上で寝ている。


俺は思った。「この街と同化している」


その男は誰からも助けられずにきっとこの状態なのだろう。景色の一部の様であり、当たり前の様にそこに存在しているから周りの者は気付かないのだろう。


「おじさん何か食べる?」俺は言った。


男の目が大きく開いたが返事は来ない。


近くのコンビニで弁当を数個買い、その倒れている男の横へ置いた。


「おじさんこれ食べなっ」

返事は来ない。


俺はそのまま仲間のいる居酒屋へ向かった。


明け方まで飲み明かし、劇場通りから駅に向かおうとした所、男はいなくなっていた。
その代わりに弁当の空き屑が歩道上に放置されていた。





大久保通りからホテル街へ入る狭い路地。

複数の立ちんぼが俺へ話しかける。

「マッサージ如何ですが?」「お兄さん、ホテル行こう」「安い、安い」

殆どが片言の発音だった。



一人の初老の女が俺の所にやって来た。

「お兄さんここで何してるの?」女は言った。


「え〜何かいい店ない?」俺は言った。


「じゃあ私と遊ばない?おにいさん若いしいい男だから2万でもいい?」


「何すんの?SEXするの?」


「うん、そうだよ」


「20万だったら考えてもいいよ」


「20万?払えるの?お兄さん」


「え、何、もしかして俺が2万おばちゃんに払うって事?」俺は言った。


「そうよ」


「さよなら〜」


「あんなお婆さんに払う客なんているのかよ?」俺は仲間に馬鹿にされながら駅の方へ向かった。





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