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Only Sense Online  作者: アロハ座長
閑話【幼女と山男と生産者】
95/359

Sense95

 工房内部で、硬質な金属の叩く音が響く。

 型に入れられた熱を放つ金属とハンマーと。

 俺は一心不乱に鉱石を溶かし、型に流し、ハンマーで叩き、整形する。

 良質な鉄インゴットに普通のインゴット、銀インゴット、そして黒鉄インゴットを作り上げる。細工のセンスは、彫金のセンスへと変化を遂げた。


「ふぅ……数は少ないが、思ったより時間が掛かったな」


 スキルを使ってインゴット化すれば、時間は短縮できる。しかし、センスのレベル上げは、絶対に回数に比例するわけでもないし、何より手作業のほうが遥かに成功率が高い。


「鉄が十二。上質鉄が十。銀が十八。黒鉄が五。十分かな」


 そう言いながら、出来上がったインゴットを一時、素材用のアイテムボックスに保存し、残されたブルライト鉱石を見詰める。


「コイツが曲者だったとはな」


 あの登山から三日。日常の合間にゲームをやり、更に、日々のルーチンワークであるポーション作成の後の残された時間を全て、手作業のインゴット作成に当てていたが、このブルライト鉱石は、通常の金属とは一線を画す代物だ。


「はぁ~。コイツは、俺の埒外だな。成形はマギさんに頼るしかないな」


 掴んで手の中で眺めているのは、青色を帯びた蒼鉄鋼(ブルライト)のインゴット。

 ファンタジー世界では、魔法金属とでも言えばいいのだろうか。インゴットにはすることが出来たが、それ以上の加工は現段階では不可能だった。

 研究が足りないのか、と溜息を吐くながら、インゴットとサンプルのブルライト鉱石をしまう。


「おっ? フレンド通信。タクからか」


 休憩に入ろうと思った時、タクとの通信が繋がる。今度はどんな面倒ごとが舞い込むやら。と思いながら相手の言葉を待つ。


『よっ、ユン。今時間有るか?』

「どうしたんだ?」

『イワンとヒヤマを覚えているか。あいつらが、お前にアクセサリーの作製を頼みたいんだと』

「はぁ? 何でまた」

『クイーンのドロップした強化素材の使い道が無いからだと』


 確かに、クイーンを倒したことで全員に【女王針蜂の翅】を手に入れたはずだ。そういう俺も、防具に使うか、武器に使うか、悩みどころである。


「分かったけど、俺はアクセサリー作製の経験は少ないぞ」


 時間が有れば、コツコツと作り上げた品やセンス検証のための失敗作は、今までで二十数点に登る。伊達に町に引き篭もっていないからな。


『問題ない。って、だから今から直接店に行くけど良いか?』

「了解。じゃあ、後で……」


 その言葉を聞いて、俺たちは通信を切る。

 俺は、店舗部分で店番をしながら、三人が来るのを待つ。その間に、アクセサリーのデザイン案用のノートを広げ、アイディアを書き込む。

 膝に乗ったザクロや時折擦り寄ってくるリゥイを撫でながら構想を練る。

 二人の外見とスタイルに合うデザインは、毛皮系で覆った腕輪か、それとも、ネーム入りのドッグタグか。とアイディアを上げていく。


「よう、ユン。連れてきたぞ」

「おう、よろしくな。嬢ちゃん、お土産もって来たぞ」

「お願いします」

「話は聞いている。まぁ座れ」


 広くも狭くも無い店舗に大男二人が入ってきた。イワンのお土産は、店員のキョウコさんに渡され、即座に査定に入る。というよりお土産と言いながらも売買するのはどちらもフェアの精神のために、俺は何も言わない。

 キョウコさんに膝に乗るザクロを預けて店番を代わり、カウンター越しに座った三人と話し合う。


「あー、装飾品を作ってくれ。って言うことだけど……俺でいいのか? 俺よりレベルの高い人は居るし、そもそも俺に頼んで粗悪品が出来る可能性だってあるんだぞ。他にもスタイルの確立のための武器に付けたり、戦闘で有利に進めるためにも防具。って選択肢もある」

「ユン。客に対して、普通はそんな事を言わないぞ」

「タクは、しゃべるな。重要なことだ」


 俺の言葉にタクは、やれやれと大仰に両手の平を上に向ける。対して依頼人の二人の腕を組む素振りは、悩むというより惚けたと表現したほうが良い。


「俺らとしては、武器防具って括りより、登山記録更新の記念品。って意味合いが強いんですよ。ユンさん」

「それに、武器の良し悪しなど俺らに分からん。それなら、顔見知りに頼んだほうが気持ち的に良いだろう」

「はぁ~」


 なんとも嬉しい事を言ってくれる。そんな風に言われては、こちらも出せるもの全て搾り出さなくては、と思う。マギさんには及ばないまでも、他のプレイヤーにも負けないアクセサリーを作らなければ。


「分かった、受けるよ。それで強化素材は持ち込みで、どんなタイプでそこに装備か希望があれば。あとは、ステータスの補正も」

「うーん。腕輪タイプかな? 指先は空けておきたいから。あとは、能力は防御上昇で。ダウンしなければ問題ありません。後はイワンさんはどうします?」

「俺も同じ装飾品で頼む。それと、能力は、攻撃かのう」


 二人の言葉を聞きつつ、メモを取り、必要な素材を選択していく。


「性能に影響ないが、デザインはある程度変更できるぞ。もちろん素材も必要だが」

「じゃあ、俺は、記念品。ってことであの日であった敵を思い出せるもので」

「ふむふむ。ヒヤマには、エアロスネークの皮を使うか。イワンは?」

「うーん。ユンの自由にやってみると良い」

「一番困るんだけどな。それ」


 まぁ、それも面白そうと思考を切り替えて、材料を書き出す。

 腕輪タイプでは、使用するインゴットは二つ。そうなると、銀か黒鉄のインゴットでの製作が良いだろう。

 あとは、宝石をあしらい、宝石による能力補正を追加と強化素材による追加効果。黒鉄が保有できる追加効果の量や【彫金】で追加できる各種ボーナス。それから……


「すまんが三日くれないか? 調べなきゃいけないことも有るから。強化素材は後から追加できるから納品する時に、その場で付与するよ」

「分かった。で、いくらぐらいになる?」

「うーん。査定から差し引くと、キョウコさん。査定は、どのくらいになった?」

「鉱石が多いですね。ただ最近鉄が下火になっているので、その分安いですよ。逆に銀が値上がりしています。あとは少数ですが値の付け難いブルライト鉱石が2000G。黒鉄も同額とすると通常より少し高い買取で――五万G。って所でしょうか」


 鉄鉱石は、正直安いが、それが良質ならば、値は五倍にも膨れ上がる。銀も最近では鋼鉄製と銀製の武器が普及し始め、物理なら鋼鉄。魔法と物理の両立ならば銀と使い分けられている。

 銀の鉱石で800G。インゴットは五個使用と技術料で5000Gだったことを考えると、相当な量の鉄と銀が手に入っただろう。

 対して、俺は、一般的にアクセサリーの販売に手を掛けているわけでもない。今まで他人に渡したのは、マギさんのトリオン・リングただ一つ。正直、値段の付け方を知らない。


「タク、腕輪の相場っていくらだ?」

「はぁ? 何だよ、藪から棒に」

「いいから」

「確か……。追加効果なしの鉄製なら一万五千前後。能力によっては十万前後まで高騰するな。銀製で追加効果なしで最低価格十万前後かな。追加効果がよければ鰻上りだ」


 予想外の高額で俺は眩暈がしそうになった。あまり市場のことを気にしない。言われた値段で他店に卸し、自分の店は原価ギリギリ(元々、原材料費タダだが)でお金に固執していないが……


「なぁ、タク。じゃあ、武器と防具の相場は? ついでに」

「うーん。武器は使う素材の量でも左右されるけど……俺の長剣類は最安値で二万。高値で十万前後。でランクアップ一回で二から三十数万。初期の高品質防具は、金属性で一式四十数万。布や革で三十万前後。まぁ、金属防具は全身そろえると、重すぎて逆に遅くなるし……部分的な保護が有れば十分だからな」


 俺の防具は、幾度の破損や修理、耐久回復でランクを上げている。その都度、大金が消えているが、意外と安い値段で受けてくれているようだ。ありがとう、マギさん、リーリー。うん? クロードは、知らんよ、あいつのことなど。

 それにしてもかなりインフレしているな。生産系の互助ギルドが出来れば、価格も安定するかもしれない。


「一応、装飾品も後からランクアップできるから鉄から始めるか? それなら安く上がる」

「安心しろ、予算は、五十万で組んである!」

「大金持ちならぬ小金持ちです」


 そういう二人。それなら、銀と黒鉄でも問題なさそうだな。まずは黒鉄の性能を測り、銀より劣るなら銀にシフト。色々と構想を練る。


「買取引いて、二人で十五万だけど、いいか? 取引価格を前金代わりで」

「ユン、安すぎ。最安値で受けるようなもんじゃないか」

「問題ない。趣味程度の技量で作るんだ。それで文句ないよな」

「じゃあ、それで頼む」

「楽しみにしています」


 店を出て行く三人を見送り、俺は、自分の頬を軽く叩いて気合を込める。


「まずは、さて、まずは鉱石の選定でもするか」


 まぁ、使うインゴットは、銀と黒鉄のどちらかだ。

 理想では【錬金】の上位変換を利用して、上質な素材にしたほうがいいのだが。


「あれ使うと、原価が十倍になるからな。今回は通常で我慢してもらう」


 上質一個作るのに、通常のインゴット十個必要なのだ。それが腕輪で二個消費なので、通常インゴットが二十個必要になる。銀の方は出来ても、黒鉄は素材が足りなくて難しい。


「材料は決まったし、あとは、試しにリング一つで実験だな」


 取り出した黒鉄を高熱炉に入れ、ハンマーで一定回数をリズミカルに叩く。

 自身のステータスを上昇させる攻撃上昇の【付加】を施し、システムアシストを頼りに、振り下ろすハンマー。

 しばらくして出来上がるリング一つを俺は様々な実験で付加を加え、実験の末――破壊。

 それによって方向性が決まった腕輪の製作に取り掛かる。



 後日、受け取りの日がやってきた。

 俺の現状、持てる技術を全て注ぎ込んだ銀と黒鉄の腕輪を眺めながら、幼獣たちと戯れている。


「ユン、連れてきたぞ」

「……なんでタクまで居るんだよ」

「まぁまぁ、強化素材の行方が知りたいんだよ」

「お前……自分の素材で作れよ」

「もう、防具に使ったさ」


 そんな、威張るようなことか? とはいえ、俺も調べたものの強化素材である【女王針蜂の翅】の使い道を装飾品にする人は居なかったようだ。保護箇所の多い防具か、愛用の武器に使うのが普通らしい。

 しかも、遠距離と近距離武器での追加効果に違いがあったりするので、これまた難しい。


「と、言うことでユンさんお願いします」

「了解。少し待ってろ」


 俺は、イワンとヒヤマから受け取った強化素材を二人の目の前に置いたリングに付与していく。


 装備の生産系センスの持つ強化素材を使った付与。それにより俺の作った濃緑色の蛇皮を表面にはり、明るく艶やかなペリドットを中央に嵌め込まれた銀の腕輪とシンプルに黒い光沢を帯びた腕輪。その中央にも同じくカットされたペリドットが嵌め込まれている。



 銀蛇の腕輪【装備品】(重量:2)


 DEF+13 MIND+5 追加効果:DEFボーナス、DEF付加、防護障壁(風)



 黒鉄のアームリング【装備品】(重量2)


 DEF+17  追加効果:ATKボーナス、ATK付加、防護障壁(風)



「ふぅ、成功したか」


 内心、最後のこの工程が成功するかビクビクしていたが成功して良かった。

 装飾品一つとっても、種類やインゴットやなにやらで若干の違いが出るために、あまりステータスを気にしてはいけない。

 銀のインゴットを使い、魔除けのアミュレットを作れば、DEFよりMINDの方が高く出来上がる。

 むしろ、気にすべき点は【防護障壁(風)】という強化素材を使ったために付与できた追加効果だ。

 効果は、キャラの基礎MINDの十分の一を防御に上乗せする。というなんとも防御特化な効果だ。MINDが高ければ、高いほど物理、魔法の耐性が高くなるが、二人の場合は、気持ち防御が通り辛い。と言う程度だろう。

 風というのは、風属性の障壁である表示。これは相反する弱点属性を与えるとダメージが増えるわけじゃない。同属性の風を受けると、よりダメージが軽減される。というものだ。


「ほら、付けてみろ」


 二人にトレードで料金との交換をし、腕輪を渡していく。

 渡った腕輪を装備した二人の姿を見たが、うん。なかなか面白いじゃないか。

 濃緑色の蛇皮装備や黒い光沢と緑の宝石の腕輪は、太い腕に着けられ、阻害する様子も無い。

 緑色の装備の内包する効果が風属性とは、中々味があるじゃないか。と思ってしまう。


「ユンさん! ありがとうございます! こんな良い装備」

「そ、そうか? 俺としては材料が足りなくて少しあれだが……」

「うむ! 嬢ちゃん、良い物を作って貰った! また何かあればここを頼るとしよう!」

「良かったな! 俺にも腕輪の効果見せてくれ」


 タクもカウンター越しで楽しそうに男三人で顔を突き合わせている。まぁ、俺の仕事も終わったことだし、と思い休憩ついでに、本を取り出して読み始める。

 のだが、視界の端に移るタクは、眉を寄せて気難しい表情をしている。


「なぁ、ユン。これ本当に二人で十五万でいいのか?」

「なんだ、急に。腕輪の最低価格十万の掛ける二で二十万。そこから下取り五万を引いた十五万。小学生でも出来る計算だぞ」


 どうせ、適正価格じゃない。とか言うんだろ。


「個人の趣味だし、それを本業にするつもり無いから。いわば、趣味で作った皮製のバッグをフリーマーケットやオークションで材料費ギリギリで売ってるのと同じだ」


 まぁ、材料費は、自分で採掘したために無いに等しいし、宝石だって中サイズだが買取価格を考えれば安い。が、それは言わないお約束だ。

 浪費したものと言えば、時間だが、ミュウのようにカツカツとしたレベル上げはしてないし、問題ない。


「だって、だってこれ。効果とか色々……」

「落ち着け、だんだん支離滅裂になってるぞ」

「売れば、一つ八十万以上の最高値更新するんだぞ。それを一個七万五千って……」

「んな、馬鹿な」


 俺は鼻で笑う。こんな休日のお父さんが日曜大工で作った一品にそんな価値などある訳なかろう。

 名工の作り刀と五寸釘製ナイフほどの差があるだろうに。


「あー、はいはい。そうですね~」


 値段だの云々言われるのは好きじゃない。このアトリエールの値段と購入制度だって、かつての買占めや転売への反発心から来ているのだ。

 安値上等、薄利で結構。言うなれば、年金暮らしのお婆ちゃんが住居兼駄菓子屋をやるようなもんだ。


「いや、でもこれは……」

「タク煩いな。仲介料代わりに、これやるから黙れ」


 そう言って、タクには今までの練習作品を一つやることにした。

 まぁ、日ごろ世話になってる。という礼も込めてだが……それを言うのは少し恥ずかしい。こういう、黙らせる口実でもないと、渡せないと思う。


 渡したのは、純粋にシルバーリングだ。宝石は使っていないが、シンプルながら意匠を凝らしたリングだ。もちろん、タクに合わせて、ATKのボーナスと付加の両方を施してある。

 ステータスとしては、今回作ったものの二分の一より少し低い程度だろう。

 まぁ、使っている素材がインゴット一つでそれなのだ。それにこれは自分の作った作品の中で、良品と言えるものだ。

 本来は、イベントで手に入れた装飾品等と並べて飾る予定だが放出することにした。


「……」


 受け取ったタクは、ぽかーん、と半分口を開けている。


「何だ? 何かまずいか?」

「いや、凄い嬉しい! サンキュ。ユン」

「ん。そうか。なら、商談も終わったんだから、次の客が来ないうちに出た出た」


 いつもタクに振り回されている感があるために、どうも調子が狂う。追い立てるように言ってしまうが、三人は気持ちの良い笑みを浮かべて、店を出る。


「また、入り用があれば来いよ。俺が居るときなら、客に合わせて秘蔵のアイテム放出するから」

「おう、必要なら嬢ちゃん所に来るから」

「では、また。じゃあ、タクさんも」

「レベリングが必要なら俺に連絡くれよ。良い奴紹介するから」


 そうして、気分の良い奴らが去っていく。

 筋肉質な大男二人居たために、店舗はやや広く閑散とした感じを受けてしまう。

 しばらく、肩に乗ったザクロや膝に頭を乗せるリゥイを撫でながら、時間を潰す。


 しばらくして、多方面の知り合いから一つの情報が舞い込んできた。


『――ユンが、タクに婚約指輪を渡した』


 最初は、目が点になったが意味に気付き、頭を抱える。

 話が混在して、噂がリレー式で変質している。時間が経つにつれ、俺に舞い込む情報が、現実から乖離している。

 俺は基本、不特定多数には装飾品は作らないことも。ゆえに、タクは特別。そこから転じて、男女の関係で、婚約指輪。

 お金の無い高校生のやること大人から見たら微笑ましいだろうが。だろうが!


「……タクの馬鹿野郎っ!」


 軽率な事が、変な噂を呼び、俺は、知り合いに事の顛末を逐一報告しなくてはいけなくなる。

 中でも、一番酷いのはセイ姉ぇだ。

『タクくんを今から消しに行こうか?』と開口一番なのだから。何とか宥め、セイ姉にも似たリングを売ることで話は決まったが――しばらくして、タク本人からのフレンド通信が入る。


『助けてくれ! ユン』

「うるせぇ、馬鹿! 自業自得だ!」

『ちょっと、指輪のこと聞かれた事や材料を二人で取りに行った事に答えただけなのに』

「知るか!」

『何で血走った目をした男どもとマラソンしないといけないんだぁぁっ!』


 俺は、開け放たれた店の入り口を全力疾走する男たちの集団を見た。


『美少女からプレゼントとは何事だぁぁっ!』『二人でイチャラブデェェェトだとぉぉっ!』『ヒッキーに対するアテツケ、クカカカカカッ』


 タクを先頭にその後を追う者たちは、皆嫉妬に狂い、狂気に目覚めたといっても過言ではない。その中には見知った顔があったような無かったような。


「……グッド・ラック」

『ちょ、ま――』


 それだけを残して、俺は、工房部に引き篭もる。

 はぁ、約束で、セイ姉ぇとミュウには作ってあげないと……取り出したインゴットを憂鬱な気分で叩き始める。

 しかし、工房部は外界との音が遮断されて静かだ。

 俺の平穏は、この工房内部だけだったんだ。そう悟るのだった。

番外編2が終わります。

次は、3の生産職たちの語らいです。

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