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Only Sense Online  作者: アロハ座長
第1部【初心者の町と弓使い】
43/359

Sense43

 

 NPC・棟梁に会い、クエストを完遂した俺だが、無一文だったために金策に奔走。四日を経て念願の店が出来たのは、昨日のことだ。

 俺は、未だにカウンターを撫でつけて、にやにやしている。


「ユンさん、そんなに嬉しいですか?」

「当たり前だ。俺の念願の夢! 一国一城の主は男のロマンだろ」

「女性ですよね、ユンさん」


 そう返してくるのは、キョウコさん。俺は男なんだから気にしない。


「まあ私は、雇われている身ですが、ユンさんは金銭管理ができませんよね。お財布の紐は私が握っていないと」

「えっと……」

「何時までもカウンター店舗の主では恥ずかしいですし、お金さえ払えば拡張や改築をしてくれるはずです」

「……はい」


 そうなのだ、カウンターは立派だ。逆に、カウンター裏の商品保存用のアイテムボックス。棚にはサンプル用のポーション類やエンチャントストーンがぽつん。

 この木造のカウンターだけで三十万だ。そしてキョウコさんを店員としても雇うのに、毎月五万Gを追加で払う。

 農業の仕事に追加料金を払ったために、普通に雇うより安く感じる。

 一応、目指す店舗と居住区の機能を得るのに、三千万G。果てしないが、当面の目標は、ちゃんとした高熱炉と調合キットだ。現状の調合キットは初心者のままで、モンスター肉、そしてあの活力樹の実を使うには、道具のグレードが足りない。

 高熱炉の部分だけでも見積もりは、百万だ。先に、調合キットの二十万だけは貯めておこう。


「そもそもユンさんの経営方針っておかしいですよね。安く売っているのに一種類五個までって、お陰で在庫抱えている状態ですよ。売るんだったら制限を解除して、少し高く売らないと」

「意外と道楽な部分あるから金儲けは二の次かな? それに値段を安くするとリピーターが多そうじゃん。アイテムの性能が良ければ、面倒だけど毎日来てくれるしさ。転売防ぐやり方だから、お客さんは少しずつ増やしていけば良いと思うな」


 一応、フレンド全員に俺の店を紹介したが、昨日一日待ってみたが、客はミュウのパーティーだけ……。

 タクくらいは冷やかしに来そうだと思うのだが、第三の町周辺の敵でみんなレベル上げ中らしい。

 セイ姉ぇは、数日間用事があるらしく、ログインしていない。ログインした時には、きっと忘れているだろうな。と思う。


「人が来ないと思うけど、よろしく、注意事項は覚えている?」

「はい。注意すべきことは、目玉商品のエンチャントストーンの説明。忘れずにきっちり行います」

「それにしても、目玉商品がエンチャントストーンだけって品ぞろえ貧相かな?」

「初心者用の初心者ポーションやポーション、丸薬。ハイポーションやMPポーション、状態異常薬を揃えている店は、この町には他にありませんよ。自信を持ってください」


 愛嬌のある笑みを浮かべるキョウコさん。美人に微笑まれると得だな。NPCだけど。

 多分売れない理由は、立地だ。

 南地区なんて、これから南の方を攻略しようとする人間か、畑を持とうとする人以外に通らない。

 そして畑を持ってる人も、最終的に転売目的で幾つか買っているみたいだ。周りを見ても、俺ほど青々と茂っている畑は他にない。

 時折、物珍しそうに俺の畑の収穫物を見る人が居るが作物は、関係者以外ターゲティングできず、只の背景に思われているらしい。


「そうそう、マギさん所の伝言です。エンチャントストーンをこっちにも卸してほしいと」

「嬉しいよな、そう言ってくれると。まあ俺が直接話を付けるよ」


 ここ数日間は、マギさんの所に顔を見せていない。時折チャットして互いの近状報告をするが、別に拘束している訳ではないので、そういう時もあるよねー。と言った感じ。

 俺は、金策巡らすために第二の町の周辺で適当に狩りをしていた。ただ蟲系のモンスターが多く、蟲の糸や肉、採取では、良質な木材、見知った薬草類などが手に入る。

 余り俺的には美味しくないんだよな。とマギさんに話した所、そういうアイテムは、クロードとリーリーが欲しがっているとの事。

 素材自体のランクも現時点で低い訳じゃないし、錬金で上位素材に加工してから売り付けるかな。

 あとは、今度第三の町周辺を一緒に探索でもしようねー。とマギさんが誘ってきた。確かに、あの周辺の鉱石は、魅力的だし、いつかの酒場のリベンジもしたい。

 ヤバいな、夏休みも折り返しになって、ゲームに完全に嵌ってやがる。


「はぁ~、良い感じで楽しんでいるな、俺」

「……? 毎日充実しているのは良い事ですね。ですが、お金もありませんし、頑張ってください」

「そうだな。それじゃあ、行ってくる。店番よろしく。定時に上がっていいよ」

「ユンさん、行ってらっしゃいませ」


 俺は、カウンターの椅子から立ち上がり、装備を確認する。


 弓よし、防具よし。あとは……自作の鉄製リング。攻撃エンチャントの一点強化が一つ。まあ、第二の町周辺では鉄鉱石が取れずに、鉄インゴットのストックがなくなった。


「走って、第二の町まで行くか? 途中で鉄鉱石を拾えればいいし」


 そうぼやきながら、太陽の下に出て、振り返る。

 そこには、木造の真新しい店舗がある。表通りに隣接する場所に建てられ、左右には何もないために普通な外見だが目立つお店。

 店舗用に買った土地の三分の一も使用していない小さく纏った店舗には、立派な看板が立てかけられていた。

 このゲーム特有の言語で『アトリエール』と。

 工房って意味の『アトリエ』と。

 冒険者を応援するという意味の『エール』を掛け合わした造語。

 初期のキャラ目的――サポートに徹する。を思い出させる店の名前だ。


「行ってきます、アトリエール」


 俺は、その一言を空に投げかけて、街中を疾走した。

 黄色い光を残しながら、道行くプレイヤーを避けて、町の外へと出る。

 今日も空が青い。楽しい日になりそうだ。


 ―ステータス―


NAME:ユン


武器:黒乙女の長弓

頭部:

外着:CS№6オーカー・クリエイター

内着:CS№6オーカー・クリエイター

腕部:

胴体:

腰部:CS№6オーカー・クリエイター


アクセサリー装備限界容量 1/10

・無骨な鉄のリング(1)


 所持SP17

【弓Lv20】【鷹の目Lv30】【速度上昇Lv14】【発見Lv10】【魔法才能Lv32】【魔力Lv30】【錬金Lv22】【付加術Lv8】【調薬Lv2】【生産の心得Lv20】


 控え


【調教Lv1】【細工Lv23】【合成Lv22】【地属性才能Lv3】



ちょっと短いけど一度区切ります。

薄いラノベ一巻分の量があるかな?


最後にここまで培ったユンのステータス。

アクセサリーの装備限界を決めて無かったので、これを機に10と設定。両手の指の数にしました。

腕輪は、インゴットを二個使用なので容量が2のアイテムです。 

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