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Only Sense Online  作者: アロハ座長
第1部【初心者の町と弓使い】
28/359

Sense28

 謎のブルポ売り。


 それは、【OSO】にある金属武器・防具専門店【オープン・セサミ】の一角で売られているポーション。

 ブルーポーションとは、調合すればポーションと同等で安価で作れるとβ版では重宝されるが、作製の難易度が、調合レベル15以上と正式版を始めたプレイヤーには敷居が高く、初期のポーション騒動はブルポを作る人間が居なかったのも相まって高騰したとのこと。

 現在は、ポーション価格も落ち着いて、次はハイポーションが高騰すると懸念されている所に、回復量の高いブルポが登場。

 ハイポーションには劣るが、安さと使い勝手の良さで今は戦線を支える人たちは、【オープン・セサミ】のブルポを欲しがっている。とのこと。


 そこで浮上した謎の調合師、もとい謎のブルポ売りの話。



「俺達は、それを探していたんだが……その、怖い思いをさせた。すまなかった」

「いや、良いけど。で、俺がそのブルポ売り?」


 驚きだな。粉末と乾燥した薬草混ぜて抽出しただけなのに。


「そうそう、ユンっちだよ。そもそもここに、金属鎧でも、金属武器でもないプレイヤーが立ち入る時点で場違いだからね」


 確かに、弓は木工、布防具は布師。どちらも、マギさんのお店で扱っていないのだ。それが初心者装備。いや、考えるの辞めよう。


「まあ、金欠な生産職だからな。こうして細々とポーション売ってるわけだよ」

「はぁ? お前、ステータスは気にしているのか?」

「うん?」


 クロードが顔をかなり顰めている。正直睨まれているようで怖いし。マギさんはニコニコ楽しそう、リーリーは、わたわた左右を見比べている。


「俺達生産職は、何故装備品にこだわると思う?」

「えっと、万が一の防具?」

「違う。装備品のステータス補正も生産に掛かるからだ」


 クロード曰く、このゲームには、ステータスがあり、装備中の合計センスレベルやセンスのランクによって基礎ステータスが上昇し、武器センスやステータス上昇センスも関係しているとのこと。いや、初耳です。

 そういえば、HPとかMPって誰が決めてたんだろうな。とは思わないでもないが。


「で、マギ。お前は何故それを教えなかった?」

「教えても良いけどね。ユンくんにはまだ関係なさそうだったから」

「裁縫師の俺が見過ごせると思うか! 全く。HP、MPの他に、物理攻撃のATK、防御のDEF、魔法攻撃のINT、魔法防御のMIND、移動、攻撃速度のSPEED。これは主に戦闘職に必要となるステータスだ」

「へぇー。でも俺の周りに教えてくれる人なんていないからな」

「戦士職は、そこまで気にしないよ。第一、ステータスを見るのは専用のセンス【解析】とかが必要だからね。βの時は僕が取得して、確認した情報だし」


 うわっ、このゲームってステータスまで閲覧できないのか。


「話を戻す。そして、生産に関わるのは、器用さを司るDEXと生産の成功確率を上げるLUKの二種類だ。

 初心者でこれの補正を掛けるには、今のところセンスによる補正か、装備品による補正が必要となる」

「でも、アクセサリーとか作る時、ATKを上げると結構楽にできるが」

「生産活動では、どのステータスが関わるのかは一概には言えない。だが、基本。その二つを上げておけば問題ないってだけだ。また戦士職でも受け身型やカウンター型と呼ばれるプレイヤーは、DEXを高めると戦い方が楽になった。とか、受けるダメージをうまく減少できるなどだ。LUKの場合はドロップやクリティカルに関連するから何とも言えない」


 おおっ、この辺はゲームらしいな。でもやっぱりステータスが確認できないってのは面倒だな。でも、そこもこのゲームの醍醐味かもしれない。


「つまり、生産職の失敗していた原因は、DEXやLUKが低いってことか?」

「まあ、原因の一つではある。上げれば低いランクのアイテムでの失敗は少なくなるのは確かだ」


 うーん。やっぱり装備品は重要か。


「そこで、相談だ。いや、相談じゃない。金さえ払えれば、詫びの品として最高の防具を作ってやる」

「クロード。えらく上から目線だね。うん?」

「うっ、ぼ、防具を作らせて下さい」

「クロっちは腰が低いね」

「あれ? 一緒に追いかけまわしたのはだれ? リーリー」

「えっ、僕も!?」

「当然、二人が詫びなさい。持てる技術を使って、ね」


 あれ? なんかこの流れってタダで武器と防具が手に入るような流れ?


「ちなみに、4万で製作してね」

「……安すぎだろ! 俺の布防具は一か所最低四万だぞ! 上下六か所で25万前後が今の相場だ!」

「誰が、クロードだけって言った? 二人合わせて、4万よ」


 ひぃぃぃっ、マギさん。それは阿漕ですって。


「マギさん。やりすぎ、やりすぎ」

「もう、ユンくんは優しすぎるな。ポーションだって、私に委託しなければ、もっと早くお金溜まるのに」

「いや、お金欲しいけど。あんまりその、ぼり過ぎると、妹の愚痴が酷くなるし、急いでいるわけじゃないので。マギさん適正価格で売るって言ったじゃないですか。それですよ。俺がこの人なら信頼できるな。って思ったのは」

「嬉しい事言ってくれるね。仕方がない、男共」

「「は、はい!」」


 一段トーンの低い声が響く。


「命拾いしたわね。ユンくんに感謝しなさい。ただし、主犯のクロードがユンくんには最低でも防具だけは作って上げるのよ」

「ああ、もちろんだ」


 うーん。4万で体の一部か。


「ちなみに、体の6か所ってどんな感じ?」

「主に、頭、腕、胴、腰、内着、外着だ。ちなみに、初心者装備は、腰と外着だけだ」

「ほぉー。じゃあ、先ずは、外着だけ頼む」

「了解。追加効果は、DEXで良いか? と言うかそれ一択しかないわけだが」

「あっ、そうだ。装備品強化にこれ使えるって聞いたけど良いか?」


 俺はインベントリの片隅にあるアイテムを取りだした。


「なっ……そうか、確かゴーレムを討伐したんだったよな。持っていても不思議じゃないか」

「おおっ、地精霊の石だ。またクロっちの所にレア素材の依頼が来たよ」

「そうね。この前も剣鱗石の軽装依頼が来たのクロードよね。羨ましい」


 なんか取りだした地精霊の石。元々これを持っているからPKされる。と思ったわけだし、こんなもの早々に使ってしまった方が良いかもしれない。


「レア素材があるなら、今ある金全部置け。最低限とは言わず最高の出来にしてやる」

「良いのかよ。最低価格四万だろ?」

「そんな物は性能が最低なだけだが、素材が無いのが原因だ。ふふふ、これなら俺のレベルも上がるし、互いにメリットがある」


 なんか、黒いし、怖いな。まあ、作ってくれるしお願いしよう。

 俺は所持金全部と地精霊の石を置いて店を出た。後日、マギさん経由で連絡してくれるとのこと。




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