Sense242
「ふふふっ、巧さん。今日こそ決着を」
「望むところだ。美羽ちゃん、行くぞ!」
部屋の一画で我が家のテレビを独占する親友の巧と妹の美羽。クリスマスパーティーは夕方なのに、昼間から居座りゲームを続けている。
時に対戦、時に協力と色々なゲームで勝敗を競っている。今は、格闘ゲームで互いのキャラがコンマ単位で奇妙なダンスとも思える動きの激しい攻防を繰り広げており、二人の視線は、画面内のキャラの一挙手一投足に注目している。そんな状態で手元のコントローラーを正確に打ち込み、コンボを繋げていくのを見ると正直、真似できる気がしない。
「お前ら……一日中ゲームするつもりかよ」
「そのために、ジュースとお菓子とゲーム持ってきたんだから……ってなぁ!?」
「貰ったぁ! 超必殺技で終わりだぁぁっ!」
激しいラッシュを決める画面内の上半身裸のモヒカン筋肉達磨よりもうちの妹の声の方が煩い。そして、ゲージが一気に削られタクの操作キャラである痩身の武道家が宙を舞い、画面上空に打ちあがり、ゆっくりと落下してKOのマークが出る。
「くぅ!? 気を取られた。もう一回だ! 今度は油断しない!」
「じゃあ、次は、レースゲームにします? それとも、対戦ロボ? それともスポーツですか?」
「こいつら話を聞いてねぇよ」
とは言っても、タクが家に来るまでは美羽の落ち着きが無かったので、どちらが良いかは決められない。
予定では、今日静姉ぇさんが帰って来るはずだ。朝には、大体の到着時刻を聞いており、夕方のクリスマスパーティーには間に合うようだが、それでも待ちきれない美羽を宥める役割になってくれたのは良かった。と思いつつ、タクの持ち込んだジュースを飲みながら、二人の様子を見ている。
その時――
「ただいま――」
「静お姉ちゃんだ!」
「こら、美羽! 家の中で走るな」
予定時刻通りに家に帰って来た静姉ぇを迎える為に手に持っていたコントローラーを放り出し、玄関へと駆け出す美羽。それを咎める為に、声を上げるが、既に美羽は走り去って聞いていない。
全く、と言いつつ、タクもゲームを中断して、玄関で静姉ぇを迎える。
「お帰り! うわぁ! やっぱりお姉ちゃんだ! 生のお姉ちゃんだ。お姉ちゃんの匂いだ」
「もう、美羽は、まだまだ子どもね。それに、峻ちゃんに巧くんもただいま」
「お帰り。玄関に何時までも居る訳にも行かないから早く上がろう。ジュースとか飲んで休憩してからパーティーだな」
「静さん、荷物は俺が運びますよ」
巧がさり気なく、キャリーケースを受け取り、階段の前まで運んでくれる。
思いっきり正面から顔を埋める美羽を引き離し、リビングへと入っていく静姉ぇにジュースやお菓子を渡せば、まるでお客さんみたい。と言われた。
「お姉ちゃんは、何時までこっちに居るの?」
「クリスマスから成人式手前までだから、二週間くらいね。それまではここでゆっくりしてまた大学に戻るわ」
「結構長いんだな」
「大学生の休みは、長いんだけどその分学科によって休みが違う場合があるから。私の場合は、普段はそれほど忙しくないけど、春夏の長期休暇も適度に予定があるからね。遠いと帰って来るタイミングが無いのよ」
そう言って、小さく溜息を吐き出すが、あまり深刻な感じはしない。どちらかと言うと充実した生活の中の幸せな溜め息だった。
「静さんも来たことだし、四人で出来るゲームするか!」
「はいはい! FPS! FPS!」
「パーティーゲームとかも良いわね。峻ちゃんもやるよね」
「はいはい。数合わせだな」
この四人の中で最下位は俺だろうが、久々に四人で集まったのだ。楽しもう。
クリスマスの夜は、ゲーム大会で過ぎていく。それぞれが得意なジャンルのゲームで競うが、俺が勝てたのは、運要素の強いゲームで偶に勝つ程度だった。
クリスマスも過ぎて、それぞれがOSOで楽しみ、準備を進める。
年末のOSOのアップデートが迫る。
―ステータス―
NAME:ユン
武器:黒乙女の長弓、ヴォルフ司令官の長弓
副武器:マギさんの包丁、肉断ち包丁・重黒、解体包丁・蒼舞
防具:CS№6オーカー・クリエイター
副防具:
アクセサリー装備限界容量 2/10
・無骨な鉄のリング(1)
・身代わり宝玉の指輪(1)
所持SP38
【魔弓Lv7】【長弓Lv33】【付加術Lv43】【調薬師Lv10】【合成Lv48】【彫金Lv25】【魔道Lv20】【錬金Lv47】【調教Lv30】【生産者の心得Lv8】
控え
【弓Lv50】【空の目Lv18】【俊足Lv30】【看破Lv30】【大地属性才能Lv3】【泳ぎLv17】【言語学Lv24】【料理人Lv11】【登山Lv21】【毒耐性Lv8】【麻痺耐性Lv7】【眠り耐性Lv7】【呪い耐性Lv8】【魅了耐性Lv1】【混乱耐性Lv1】【気絶耐性Lv8】【怒り耐性Lv1】
入手アイテム
・魔力付与台
・プレゼントボックス
・デスカウント・チョーカー
文章量少な目で前回と合わせても良かったのですが、ゲームとリアルは別に分けました。