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第八話
オオオォォオオッ!

虚が迫り来る中、日番谷は冷静だった。刀を使うことも鬼道を使うことも御せられたが、霊圧を解放するなとは言われていない。

(仕方ねぇ)

周りに多大な影響を及ぼすのと、疲れるからあまりしたくはないのだが、死ぬつもりは全くないわけで。
圧倒的な霊圧を放てば虚は近づいてこれない。





「それは私が許さない」





ギャオオォォオッ





襲いかかろうとしていた虚はすべて、見たこともない植物が生えて、苦しそうに消えていった。

「お前は―――」

日番谷の前に立っていたのは昨日の赤い着物の女。相変わらず面を被っていて素顔は見えない。

「あの娘を助けたいのなら、少し待ってなさい………反転世界!」

持っていた刀を男達に向ける。

「動け!アレがくるぞ!!」
「西から昇る太陽 沈まぬ月 重ならぬ星々 動かぬ心臓 死ぬるは永遠 生きるは罰 生けぬ時を創れ!縛道の零【限定方位】一曲【白膜】」

刀は真横に動く。

「続き破道三曲【破弾】!」

ブシュウウッ

「―――っああああァア!!!」

夏梨に刀をあてていた手から血飛沫があがる。痛みに悲鳴をあげ、拘束が緩んだので日番谷は瞬歩を使い夏梨を取り返した。

「っんのヤロオォッ!!」
「待て61!」
「―――」

ズバッ

61と呼ばれた男の首が飛んだ。そのまま男の姿は塵となってかき消える。

「飛んで灯に入る夏の虫………お前達もそう?」

面で隠されているのにも関わらず、笑ったような気がした。

「53、ここは一旦………」
「54。お前は52を連れていけ………俺はまだ話がある」

未だ呻いている52と呼ばれた男は同じく54と呼ばれた男に抱えられ消えた。

「………アレを連れて帰っても、処理されるのがオチではないの?」
「お前が言うのか」
「ふふっ………これでも悪いと思っているのよ?あなた方兄弟をわ、たし達は沢山殺しているのだから」
「心にもないことを」

(兄弟、だと………?)

日番谷と夏梨は顔を見合わせる。あれは兄弟と言えるのだろうか?

一寸たりとも同じ霊圧を持っているのに?

一護と夏梨でさえ違うというのに。

「おい娘!」

「また来るぞ。その時までに【修羅の珠飾り】を用意しなければ容赦はしない!」

そう言って53たる男も消えていった。





その場に落ちる沈黙。一番に口を開いたのは夏梨だった。

「あなたは………「ねぇ」」
「スカートの下に隠すものを履いていないのなら足は閉じて立った方がいいわよ。下から丸見え」

ばっと隠しても今さらである。しかし今は平日の住宅街。人は見かけていない。変わりに日番谷が言った。

「何者だ?」
「お前に名乗る必要はない」

「しかし時間が、ないわね―――」

赤い着物の女はそれだけ言ってかき消えた。

「なっ?!」

霊絡で探してみても目の前に残るかすかな霊圧だけだった。





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