第二十一話
水都が大破した部屋は使えなくもないが、わざわざそこにする必要もなく。別室に集まることになった。
―――あの後
二人の男が消えるとどうじに死臭のする死神達も消え去った。被害はそれほど大きくはなく、建物の屋根が数ヶ所破壊され、怪我人が50人ほど。敵を逃がしてしまったものの、死人が出なくて喜ばしいことだった。しかしそんな中で、
「まったく総隊長というものでありながら、殺りそこなうとはの」
水都はご立腹だった。
「貴様、総隊長に対して失礼だぞ」
「ふん、妾は死神ではない。勿論、人間でもないがの」
「そういえば最後の方で髪が緋くなったよねぇ。随分綺麗だったけど、どうしてだい?」
綺麗は確かにそうだったが別につけなくても、と思うが。しかし京楽は表現が笑っていても真剣だ。
「そんなもの、妾が【鬼】であるからよ。【鬼】は死神と違い、霊力で身体能力をあげぬ。元から驚異的な身体能力をもっておる。さらに、霊圧自体も『ちぃと本気を出せば』元柳斎よりも大きいぞ」
「そもそもキミが言う【鬼】とはなにかネ?」
鬼とは空想の生き物である。よく思い出されるのはボサボサに生えた黒髪、真っ赤な肌に憤怒の表情。鋭い牙に角。人を襲ったり喰ったりする。人の恐怖心から生まれたものである。
「………物語に出てくる娘は、決して優しいだけではなかったのじゃよ」
娘は
強い男が好きだった
勿論、強いだけではなく
優しい人間が好きだった
つまり、強くて優しい人間が好きだったのだ
しかし一番は強いこと
娘は最初から、脅威的な強さの男に惹かれていた
ただその時点で男が無法者だったから完全に好きではなかっただけである
娘は男と結ばれてから強さに対して貪欲だった
『鬼神』と呼ばれる夫
ならば子も『鬼神』になってほしいと
そう、思っていた
いつも
『鬼』に、なればいい、と
願っていた
願いは実現した
「そんなことって………」
織姫が青ざめる。
母は念願の『鬼子』。
しかし夫や、子供達はどうだろう。夫は妻のために優しくなったのに。子供は、異質な存在として周りに忌み嫌われたのではないだろうか。
「男や子供らはそんな娘の思惑など知らんかった………当時はの」
「二人が―――龍之介様と藤之介が事実を知ったのは母の死に際じゃった。しかし怒りを覚えることはなかった。藤之介は兄を殺せると思うたし、龍之介様は藤之介の暴走を止めることができると思うた」
けれどもその兄弟喧嘩はいまだに続く
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