ちょっぴりか(4/6)縦書き表示RDF


ちょっぴりか
作:夕氷 京



カイワ


 私は、まずカラスのために何ができるか、考えた。そして、出た結論は――
・クーラーは28度に設定する
・ゴミを出さないようにリサイクル
・ポイ捨てをせず、むしろその逆を
この三つだった。
「クーラーは――28度、扇風機は――今日はやめよう……」

私はこの日から環境について考えるようになった。

 次の日、私はまた「サマーサポート」に出かけた。
「里香、ちょっと――変わった?」
七海は、昨日と今日を比べるように言う。
「私――カラスのために頑張るんだ」
七海は私の言った意味が理解できないようだ。

「名草、応用。奈倉、基本。西野、応用。西沢レイ、応用。西沢幸喜、応用。野崎、基本。日黒、初級。袋、応用。町田――私のことだ――、初級。山田、初級……」
 私は、――解っていたことだが――初級だ。解っていたのに、なぜかとても落ち込んでしまう。
「じゃ、今言われた級の教室に行ってもらう。応用は1-1、基本は1-3、初級は1-4だ」
――私は1-4、か……
私は、七海とぺちゃくちゃ喋りながら学校へ行った。

「初級の担任が、あの斉藤だとは……。思っても見なかった……」
 帰りぎわ、七海が初めに言った言葉はこれだった。いつものような元気な声ではない。
「でも、斉藤さ、宿題なかったからいいじゃん。上級の人は宿題のプリントをもらってたよ」
私が慰めるが、
「斉藤のあの授業を黙って2時間聞いてるくらいだったら、山のような宿題を永久にやってるほうがまだまし……」
と真っ向から否定する。
 そんな暗い2人にはスキができていたのだろうか? 背後から肩をつかまれた。びっくりして振り返ると――麻衣がいた。
「麻衣!」
私たちは声をそろえる。
「ちょ、ちょっと里香。もー、私の靴踏まないでよ〜」
「あ、ごめん」
びっくりして、靴を踏んだのだろうか? 自分でもわからない。
「そんなことより、2人共……こんなところで何しているの? サマーサポートの帰り?」
麻衣は、いつもの清楚な感じの普段着を着て、腰まである長い髪を風になびかせながら言う。手には塾に行くような、学生カバンのような緑のチェックのカバンを持っている。
「うん、そう。サマーサポート。麻衣は? 塾でも行くの?」
私が聞くと、麻衣は首を振る。
「ううん、違うよ。私、塾には行ってないから……。あのね、私今から図書館に行こうと思ってるの。ほら、家だと4人の弟たちがうるさいから……。七海と里香も行く?」
麻衣が誘うと、
「OK! 行く行く〜!」と七海。
「楽しそうじゃん。私も行くよ!」と私。
「じゃ、私、場所取りしてるから、先行ってるね!」
麻衣と、後で落ち合う約束をし、私たちは家に帰った。

 七海、麻衣と別れた後。私は、まっすぐ家に帰った。そして、家の鍵を取り出そうとしていた時だ。急にどこからか声が聞こえてきたのだ。
『タスケテ タスケテ』
どこから聞こえているのか解らないのに、私はなぜか近くのゴミ捨て場に向かった。
『タスケテ タスケテ』
私は、ゴミ捨て場で、カラスが、おままごとに使うような小さい――手のひらに乗るくらいだろう――ビニール袋を飲み込んで、羽をばたつかせていたのだ。
『タスケテ タスケテ』
この声の主は、このカラスだったのだ。私は、なんとかそのカラスを落ち着かせ、ビニール袋を口から吐かせた。その次に出てきた言葉が、
『アリガトウ マチダリカ』
という、私のフルネームだったのだ。
「何で……私の……名前を?」
途切れ途切れ、私は言う。
『サッキ キイタ……チョッピリ カ! チョッピリカ!』
「チョッピリカ……?」
カラスの言う言葉を聞き、首を傾ける。
『チョッピリカ マチダリカ ノ ニック ネエム……』
「はい?」
私は聞き間違えかと思った。だが、思い出してみると――

「初級の担任が、あの斉藤だとは……。思っても見なかった……」
 帰りぎわ、七海が初めに言った言葉はこれだった。いつものような元気な声ではない。
「でも、斉藤さ、宿題なかったからいいじゃん。上級の人は宿題のプリントをもらってたよ」
私が慰めるが、
「斉藤のあの授業を黙って2時間聞いてるくらいだったら、山のような宿題を永久にやってるほうがまだまし……」
と真っ向から否定する。
 そんな暗い2人にはスキができていたのだろうか? 背後から肩をつかまれた。びっくりして振り返ると――麻衣がいた。
「麻衣!」
私たちは声をそろえる。
「ちょ、ちょっと里香。もー、私の靴踏まないでよ〜」

ちょっと里香。
 ↓
ちょっとりか!
 ↓
ちょっぴりか!!
 ↓
チョッピリカ!!!
 そうか、麻衣の言った言葉が、「ちょっと里香」じゃなくて、「チョッピリカ」と聞こえてしまったのだ。私は、道路にへなへなと座り込んでしまった。


やっと、題名の「ちょっぴりか」が出てきました!
少し時間がかかってしまいましたが、頑張りたいと思います。
評価、よろしくお願いします!











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう