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こみゅしょう!~俺と彼女のコミュ障脱却大作戦!?~ 作者:TK

第一章

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 そんなこんなで学級会、俺は全羞恥心を捨て去って一番に元気よく立候補しなければならない。
「それじゃあ前回言った通り、文化祭の実行委員を決めます。男子一人女子一人です。えーと、じゃあやりたい人~」
 来た! このタイミングを逃すわけにはいかない!
「はい! はい! はいはいはい!」
「お、おう。じゃあ男子は溝部でいいかな。他にやりたい人はいる?」
 クラスのみんなはクスクス笑ってはいるが、他に立候補しそうな気配はない。
「じゃあ溝部に決まりね。次は女子、誰かやりたい人」
 あとはこれで上野さんが手を挙げれば……
「はーい!」
 最初に手を挙げたのは藤井さんだった。え、ちょっとまってそれは
「ここは朱里に任せるのがいいと思います!」
 先ほどとは違いクラスがざわざわし始める。あかりという名前はこのクラスには上野さんしかいない。
 藤井さんの方を見ると彼女はこちらに気づいてウィンクをしてきた。いったいどういうつもりなんだ。
 一方上野さんはというと耳を少し赤く染めながらも無表情になっている。これは初めて見る表情だ。ちょっとおもしろい。
「ええっと、みんな静かに」
 委員長が全体を静かにさせて上野さんに尋ねる。
「と、言うことなんだけど、上野さんどうかな?」
 緊張と恥ずかしさが頂点に達したのか、おもしろいことになってしまっている上野さんだが、このことでさらに周りに注目されてどうしたらいいのかわからなくなってしまったのだろう。無表情で固まっている。
「う、上野さん?」
 委員長がちょっと弱腰になってしまうほどの無表情。しかしもう一度問われて少し冷静になったのか、その無表情のまま彼女は少し首を縦に振った。
「え? えーっと、やるってことでいいのかな? じゃあ決まりで」
 こうして何とか二人して実行委員になることができたが、この先一体どうなることやら。

「それじゃあ二人とも、続けてクラス企画の方を決めてもらいたいんだけど、任せて大丈夫?」
「あ、はい。じゃあ上野さん、行こうか」
「え、ええ」
 大分落ち着きを取り戻したのか、ようやく言葉を発するようになった。
「ひとまず上野さんは書記をしてくれ」
 小声で彼女に指示を出しておく。いきなり彼女に会の進行を任せるのは流石に難しいだろうからな。
 人の前に立って話すだけでも緊張する。こういったものは初めてなのでうまくできるか心配だが、少なくとも上野さんよりはマシにできるだろう。
「えーっと、じゃあまずは隣近所と、やっぱり班ごとがいいかな? 班ごとに文化祭でやりたいことについて話し合ってください。5分後にまた声をかけます。」
 これでいい。今まで経験してきた中でもスムーズな司会進行は大体こういう感じだったはずだ。そしてこの間に上野さんの様子をしっかりチェックしておかなくてはならない。
「上野さん、とりあえず、大丈夫?」
「全然大丈夫じゃないわよ……。伊万里のおかげで無事に実行委員になれたのは確かだけど、あんなにみんなに注目されたのは初めてでもうなんというか……」
 周りに注目されていたのは初めてじゃないと思うんですけどね。それこそ学年中から注目されてた人が何を言うのやら。
「それはともかく大分落ち着いては来たんだよね?」
「え、ええ」
「じゃあ今日はその落ち着きを保ったままでいてね」
「そんなこと言われても……まあ頑張るけど」

 5分後、全体が静かになり始めた。うちのクラス、なんか優秀じゃね? この調子ならさぞ良い意見が出ることだろう。少なくともこの件については次回に持ち込み、なんてことはないはずだ。
「えー、それでは意見を出してください。一班から――」
 ということで一通り出そろった意見は以下のとおりである。
 一つ、劇。
 一つ、コスプレ喫茶。
 一つ、映画の作成。
 一つ、チョコバナナ。
 一つ、焼き鳥。
 一つ、お化け屋敷。
 とまあこんな感じに無難なラインナップなわけだが。チョコバナナ以外地味に全部大変そうだな。どう決めたもんかな……。
「ええー……それじゃあこれらについて何か意見がある人はいますか……。いないようでしたらそのまま多数決にしたいと思いますが……」
 結果的に言うと男子の大多数がコスプレ喫茶に手を挙げてコスプレ喫茶になったわけだが……。ううう、女子からの視線が痛い。
「……えっと、次に何を売るのかを決めたいと思います。意見がある人はいますか」
 とはいうもののなかなか意見が出てこない。このまま聞き続けてもなかなか進まないだろうし、いったいどうしたらいいのか。
「う~ん、上野さんは何か意見とかある」
 あ、なんかいつもの通りに話しかけてしまった。
「そうね、お茶とコーヒー、お菓子は適当に一種類委託販売みたいな感じでいいんじゃない? ……あ、えっとその、そんな感じが、いいと思います」
 最後は尻すぼみに言い直していたが、彼女もなんだか普通に話してしまったようだ。なれって怖いね。
「ええっと、他に意見がないならそういう方向でやろうと思うんですけどいいですか?じゃあ何を委託販売するかですけど……」
 なんだかみんな固まっているんだが……。
「はーいはーい!ドーナツがいいと思いまーす」
 そんな中でも藤井さんは元気に提案をしてくる。非常に助かるのでこのまま押し通させてもらおうか。
「それじゃあ委託販売でお茶とコーヒー、お菓子はドーナツで決まりでいいですか? 責任者は――」
 その後、会計や食品関係などの責任者をあらかた決めて、肝心の衣装などについては後日に回ることになった。まあ初めての仕事にしてはグダグダにならずに済んで個人的には満足である。上野さんもさっきのことは特に気にしていないようだし。
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