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こみゅしょう!~俺と彼女のコミュ障脱却大作戦!?~ 作者:TK

第一章

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 いつも通り先に教室に戻ってきた俺は席について窓から遠くを眺めていた。
 それにしても勉強会なんてのは久々な気がする。確か中学の時は友達と集まってよくやってたと思う。結局みんなゲームを持ち寄っていてテスト週間なのにたいして勉強できなかったり、そもそも勉強会と親に偽って集まって遊んでいたりした時もあったな。今思えばあの頃も男友達しかいなかった……いや中学生なら普通か?
 今回は初めて女子と勉強会をするわけだけど、本当に大丈夫だろうか。俊之はどんな女子を誘ってくるだろうか。クラスの女子の顔と名前がほとんど一致していないからてんで想像もつかないが、結局俊之かほかの男子とだけ話す未来しか見えない。
 だが自分も頑張ると上野さんに言った以上、それは流石に許されないだろう。特に決めたわけではないが今回の目標を考えれば俺は他の女子と、彼女はとにかく俺以外と少しでも親睦を深め友達を作ること。といったところか。
 上野さんとは友達になれたのだ。やってやれないことはない、と思いたい。最近で言えば藤井さんとは少し話せたと思うし、相手が話しかけてくれれば対応はできると思うんだけどそれでは意味がない。コミュ障を脱却するにはどうにかして自分から話しかけねば。
 一方上野さんはと言えば、彼女は多分話しかけられるほうが苦手なタイプだろう。能面のような表情をする彼女の顔が浮かぶ。彼女のことは彼女にしかわからない部分が多いので考えても仕方がないことかもしれないが、俊之の家に入ってから終始無言、無表情になるんじゃないかと思うと気が気でない。
 そんな上野さんが勉強会をしたがっていた。というのはなんか意外な気がする。大体人付き合いが苦手な人って、勉強は自分でするものだ。とか、集まってやっても効率下がるだけだ。とか言ってそういうのは否定することが多いんだけど、どこか憧れのようなものでもあるのか、彼女は勉強会に関しては結構積極的になっているように感じる。人数集めるって言ってた時にはさすがに慌てたけど。
 そして、俺たちコミュ障にはそのやる気が空回りして変なテンションになるのが一番まずい事なのは俺が彼女と会ったときに証明済みだ。これは少し釘をさしておいたほうがいいのかもしれない。だがせっかくのやる気を挫くのいかがなものか......。
 よし! ここは頼れる俊之に丸投げして俺は俺のことに集中しよう!
「なんかまたろくでもないことを思いついた顔してるな」
「わぎゃーーーー!!!」
「変な声出すなよ!」
「なんだ俊之か。急に話しかけるなよな。口からいろいろ飛び出すぞ?」
「現に悲鳴が飛び出してたよ!」
 いや~本当にびっくりした。これがなんか別の用事で話しかけてきた別の人とかじゃなくて良かったよ。
「ところでなんか用事か?」
「そっちが頼み事してきたくせに随分な態度だな! ったく、勉強会とやらに参加する人を集めておいたからその報告に来たんだよ」
「えっもう集まったのか」
 さすが俊之。仕事が早い、早すぎる。
「まあな。というわけで藤井さんだけ呼んどいた」
 だけ? 今、だけって言わなかった? こいつ。
「なんだよその顔は。バランスを考えたらこれが一番だと思ってな」
「というわけでよろしくね~溝部君」
「わあっ! びっくりした」
 いつの間にやら後ろに藤井さんが立っていた。心臓に悪い。
「いや~なんだかおもしろそうな匂いがしてたし、上野さんも来るんでしょ? あの子こういうのには絶対参加しないと思ってたから仲良くなるチャンスかな~って思って」
 おもしろそうな匂いってなんだよ一体……
「それにしてもどうやって上野さんを誘ったのか気になっちゃったり?」
「ああーそれは俊之が……」
「ここだけの話、樹が誘ったんだぜ」
 ちょっと何言っちゃてんのこいつ! 確かに俊之が呼んだことにすれば違和感ないってメッセージにも書いておいたのに! あっ、奴の口元がちょっとにやついてる……
「えっ! ホントに? すごいじゃない溝部君。あの宣言がどこまで本気なのか気になるわね~私もその勢いで誘ってくれてもよかったのよ?」
「いや~それはちょっと……ははは」
「え~なによ、私より上野さんのほうが誘いやすかったの? なんだか変わってるわねあなた」
「そ、そうかな?」
「当り前じゃない。あの上野さんよ? いったい今まで何人の男が泣かされてきたことやら……」
 すっかり忘れていたが上野さんの周りからの評判はそんな感じだったことを思い出す。彼女の性格を知っている俺は思わず吹き出しそうになってしまった。そんな俺を見て藤井さんはまた同じことを言った。
「あなた、やっぱり変わってるわね。おもしろいわ」
 その顔はさっきとはまた違った、すごくいい笑顔をしていた。
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