ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。

 今回の作品は、本編で言えば本来は第4部の頃にあたる話です。ですが本編で書けるか解からないのと、書きたいという作者の独断で書きました。その点ご容赦ください。
義勇軍VS空中装甲騎士団
 才人が召喚されて1年が経ったころ、ハルケギニアは春を迎えていた。気温が上がり、動植物の活動も活発になってくる。しかしながら、ハルケギニアの情勢は穏やかな季節の到来とは正反対に、日々険悪なものへとなっていた。

 この時期、ガリアとトリステインの国境地帯では小規模な衝突が頻発していた。主に両国の軍隊同士による小競り合いがそれであった。もっとも、それはガリアによるあからさまなトリステインに対する挑発であった。なにせ、わざと国境地帯で演習をしているのだ。

 ガリア軍が国境地帯で演習すれば、トリステイン側は各領主に命じてガリア軍の監視を行った。そしてその時には、必ずと言って良いほどガリア軍に対して、何者かによる何らかの攻撃が行われている。時にはガリア側の村が大規模な武装集団に襲われるという事件も発生していた。

 こうした事件が起きる度に、ガリアはトリステインに対しての謝罪要求と抗議を行った。しかし、トリステイン側にはそのような事実は無く、これらに逆抗議するか黙殺している。だいたい、小国トリステインが大国ガリアに戦争を吹っかけるような行為をする理由などどこにもなかった。

 もちろん、これはガリア側の謀略であった。ただし、トリステイン政府の大臣達はどうしてガリアがこのような回りくどいことをしているのか首を捻っていた。まさか、ガリア国王のジョゼフがわざとトリステイン側の敵意を煽り立てる為にそのようなことをしているなど想像出来る筈が無かった。
 
 ただし、このおかげで義勇軍や銃士隊と言った部隊は装備の忠実や、兵士の訓練などの時間を稼ぐ事が出来た。近代兵器に慣れた彼らは後々ハルケギニアに大きな影響を与えることとなる。

 そんな中、才人もトリスタニア郊外のミライにある『東方義勇軍』トリステイン方面軍の基地で訓練や、新兵の教練を行っていた。この日も、剣の絵が描かれた愛機の零戦『デルフリンガー』号に乗り込んで部下と空戦訓練を行っていた。

 ほんの半年ほど前まで、義勇軍は機材不足に悩んでいたが、その後地球製の多数の機体が発見されたのと地球からの機体補充が可能になった事で、1人が1機に乗ることが可能となった。

 才人の乗っているゼロ戦は地球で製造された機体で、才吉や才人たちは非公式に『零戦改』と呼称していた。外観こそ昔のままだが、機体の各部に使ったカーボンをはじめとする新素材のおかげで重量は軽減され、逆に強度はアップしている。エンジンも改良されており、オリジナルの1,5倍近い出力を誇った。

 国籍マークも全てトリステイン国籍を示す百合マークで、さらにパイロットのオリジナルマークが描きこまれている。才人の『デルフリンガー』号の場合はコックピットの横に、彼の相棒である大剣が描かれている。

 才人は伝説の使い魔『ガンダールヴ』である。だから武器である戦闘機は簡単に扱える。もっとも、親からは「自分の実力もしっかり磨け!」と言われているので、彼自身常にルーンに頼るなと心に言い聞かせて操縦している。

 これは飛行機の操縦以外にも言えていることで、特に剣や武道についてはアニエスや義勇軍にいる元日本軍兵士に習ってかなり上達していた。

 さて、才人が午前中の訓練を終えて搭乗員待機所に入ると、父親の才助が彼を待っていた。

「おい、才人。すまないが午後の訓練は中止して、昼食を食べ終えたら魔法学院まで飛んでくれないか?」

「はあ?なんで魔法学院に?」

 創設期の頃こそ色々と世話になった魔法学院であったが、現在の所特に何か深い繋がりがあるわけではない。

「ちょっとオスマン校長に届けて欲しい物があるんだ。」

 その一言で、才人の表情はそれまでの怪訝なものから一転して真剣な物となった。

 義勇軍ではトリステインやアルビオン政府と組んでガリアやゲルマニアに対して様々なスパイ活動を行っているが、そこからもたらされる情報の中には魔法関係の物も多い。そうしたものは義勇軍では埒外な物であるから、両国の魔法研究所(アカデミー)で調べられるのが普通である。

 しかしながらアカデミーでも解析が難しい魔法道具や魔法に関する情報も時たま出てくる。そこで年の功に頼れとばかりに、魔法学院校長のオスマンに分析を依頼すことがあるのだ。今回も恐らくそれであろう。

 ちなみにアカデミーから魔法学院に直接依頼しないのは防諜上の理由からだった。つまりは、アカデミーから移送する際に文書を奪われる事を恐れたのである。現にアカデミーの職員が盗難などに遭う事件が数件起きている。幸いなことに今のところ重要な情報が漏れたことはないが、それ以来魔法学院への情報輸送は義勇軍が担当していた。

「わかった。それで届けるものは一体何?」

「これだ。」

 才助は持っていた鞄からから封筒を一通出した。

「よろしく頼むぞ。それから届けたらそのまま帰って来ても、魔法学院で友人に会うなりしてきても良いぞ。明日の正午までに帰ればよろしい。」

 これは才助から才人への気遣いだった。

「わかった。あと、午後はこのまま編隊訓練をするつもりだったから、2番機のカルロ兵長には何て言っておけば良いかな?」

 カルロ兵長は、現在才人の2番機を勤めているパイロットのことだ。

「別に一緒に連れてっても、置いてってもそれは小隊長のお前が決めることだから。」

「了解。」

 結局、2人の会話はそこで終わり、才人は昼食を済ませて先に格納庫へ戻っていたカルロ兵長に一緒についてくるか聞いてみた。そして予想外にも彼は着いてきたいと言った。

「貴族の子女ばかりが集まった名門校でしょ、だったら1回ぐらい見てみたいですよ。」

 というのが彼の弁であった。

 結局そう言うわけで、彼もついてくる事になった。

 さらに何故か隣の格納庫で待機中だった菅野中佐とシエスタ特務2等兵曹の小隊も付いて来る事になった。

「話を聞いたら私も久しぶりにマルトーさんたちに会いたくなりました。」

 というのがシエスタの弁である。しかしこれは明らかに私用飛行だ。それを才人が指摘すると、彼女は悪びれることなく言った。

「だったら訓練飛行でそばを通って、ちょっとエンジンの調子が悪くなって立ち寄ったとでも言えば良いんです。何事も臨機応変に。」

 こうサラリと言いのけたシエスタに、才人は思った。

(シエスタ、菅野中佐と結婚してキャラが変わったんじゃないかな?それとも慰労会で上映されたアリ○ンの影響でも受けたのかな?)
 
 などと考えたものの、結局才人は付いて来ても害はないと判断して、一緒に行く事にした。

「コンターック!!」

 昼下がりの飛行場に、4機のエンジン音が鳴り響いた。

 
 御意見・御感想お待ちしています。
 なお、タイトルの通り、次回はあのキャラが登場します。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。