戦いの果てに ルーフェイア・シリーズ(74/80)PDFで表示縦書き表示RDF


戦いの果てに ルーフェイア・シリーズ
作:こっこ



Episode:74


>Seamore

 あたしは……また、庭のベンチにいた。

――あいつが死んじまうとはね。

 正直まだ信じらんない。なにせギリギリまで、ここで話してたんだ。
 で、待ってる。馬鹿げてるとは思いながら、なんとなくここでナティエスを待ってる。

「シーモア、いた〜」
「――ミル」

 さすがのこいつも、今日はトーンが低かった。

「ナティエスには、もう会ったのかい?」
「うん」

 昨日と同じように、ミルが隣にかける。

「他もみんな……会ってきたよ」
「そうかい……」

 ひどく長い死亡者リストには、うちのクラスの仲間も四人ほど名を連ねちまった。他にも重傷者が、何人もでてる。
 裂傷ですんだあたしなんざ、かなり運のいいほうだろう。

「シーモアも左腕、痛そうだね〜」
「仕方ないさ」

 最後の防衛戦の際に創った傷だ。ただあたしがうっかり油断して切りつけられたから、誰も悪かない。

「そういやあんたは、ケガなかったのかい?」
 ふと訊いてみる。

「したよ〜」
 けどミルのヤツ、ざっと見たところはケガした様子がなかった。

「いったいどこをケガしたって言うのさ?」
「手首〜♪ 捻挫しちゃったんだ」

 思わずなんでもない右手で、こいつを殴りつける。

「それのどこがケガだい!」
「え〜、だって昨日は痛かったから、湿布までしたんだよ?」
「………」

 何も言えなくなって黙る。
――だいたいこれで、どうリアクションを返せっていうんだか。

「あ、そだ☆」
 しばらく黙ってると、またこいつが性懲りもなくなにか思い出した。

「今度はなんだい」
「シーモアってさ、これからどうすんの?」
「は?」

 唐突にそんなことを言われて、思わず聞き返す。

「んとね、ほら、けっこうみんな、学院辞めちゃうみたいだからさ」
「ああ、その話か。
――あたしはこのままだよ」
「そなの?」

 ミルが意外といった顔になった。

「シーモア、辞めちゃうかなって思ってた」
「そりゃ参っちゃいるけどね。でも今更帰る場所があるわけじゃなし。
 だいいちンなことで学院辞めたら、ナティエスが承知しないさ」

 あの子だったら絶対、「あたしのせいで辞められたら迷惑」と言うだろう。

「そっか」
 分かってるのか分かってないのか、ともかくミルが納得する。

「けどクラス、減っちゃったね」
「ああ」

 シエラはもともと、一クラスが二十人に満たない少人数編成だ。なのに四人もいなくなったら、空席がひどく目立つ。

「そのうちクラス替えがあるんだろうけど……しばらく寂しいだろうね」
「クラス替えかぁ。来年まではヤだな〜」

 珍しくこいつが神妙なことを言う。
 もっともこの意見には、あたしも賛成だった。
 そんなあっさり隙間が埋まったら、死んじまった連中に悪い気がする。

「かといって……こればっかはね。教官の考えることだし。
 それよりナティエス送るのに、なにか持たせてやらないか? とっておきのやつを」
「あ、それいい考え〜♪ んじゃさ、部屋に行ってなんか探そうよ♪♪」

 昨日のあの時と同じように、あたしとミルは寮へと向かった。










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遠き風に願いし君は 筆者のムーンチャイルド用長編作品です。

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