戦いの果てに ルーフェイア・シリーズ(6/80)PDFで表示縦書き表示RDF


戦いの果てに ルーフェイア・シリーズ
作:こっこ



Episode:06


 先輩が作っているのを見て初めて知ったのだけれど、ケーキって出来上がるまでに意外と時間がかかる。
 シーモアやナティエス、ミルも立ち上がった。

「あたしこないだ先輩にもらったレシピ、持ってこようかな?」
「本家本元がいるんだ。聞いた方が早いと思うけどね?」
「あ、そっか」
 指摘されたナティエスが苦笑する。

「よぉし、いっぱいつくるぞ〜」
 ミルがやけに張り切る。

「作るのでしたら早くしてもらえませんかね? 夕食代わりというのは願い下げです」
 タシュア先輩もしっかり食べる気でいるらしい。

「ほらルーフェ、行こ?」
「うん」
 あたしたちみんなで、調理室へ向かった。


 そして翌日――つまり、「あの日」。
 あたしはなにか不安でしょうがなかった。
 どう表現したらいいんだろう?  あの戦場にいた頃よく感じていた感覚が、嫌な重さで周囲に澱んでる感じだ。

――何かが来る。

 そうその感覚が告げている。
 同室のナティエスは今日は何かの当番だとかで、朝からいない。 だから部屋にひとり残ったまま、あたしはこの感覚をずっともてあましていた。

 不安の正体がわからないまま、なんとなく戦闘用の服を着込む。
 見た目は薄手のボディースーツとショートパンツの組み合わせだ。 どちらも特殊素材で作られていて、ナイフ程度なら受けつけない。 それに防御の魔法も一応付与されているから、これだけでそれなりの守りになる。
 これを専用のアンダーの上に重ね着した。

 さらにいつもの靴とハイソックスをやめて、戦闘用に加工されているロングブーツに履き替える。
 なのにそれでも落ちつかない。
 これはそうとうのものが来るのかもしれない。 そう思うとよけいに嫌な感じだった。
 戦闘服の上に今度は制服を着て、とりあえず寮の部屋を出る。

――タシュア先輩を探そう。

 あの先輩はあたしと同じで戦場で育っている。 だからもしこの感覚が本物なら、あの先輩も同じことを感じているはずだ。
 太刀――いつも携帯している半端なものではなく、銘入り――を手に、あたしは先輩がよくいる図書館へと向かった。








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遠き風に願いし君は 筆者のムーンチャイルド用長編作品です。

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