戦いの果てに ルーフェイア・シリーズ(52/80)PDFで表示縦書き表示RDF


戦いの果てに ルーフェイア・シリーズ
作:こっこ



Episode:52


「ごめんなさい、ごめんなさい……」
 涙がこの人の上に落ちる。

「優しい、な……。
 そんなに……優しくちゃ、さぞ……辛いだろうに……」
 彼が、そっとあたしの手を握った。

――温かい手。
 あたしたちと何も変わらない。

「ごめんなさい、あたし……なのに……」
「気に、するな。
 これが……戦……争……」

 ふっと、彼が目を閉じた。

「ごめんなさい……」

 その場からあたしは動けなかった。
 あたしたちが生き延びるために、どれだけの未来が絶ち切られたんだろう?
 どうしてみんなで、一緒に生きていけないんだろう?
 どうして……。

「やっと通れたー。この氷の壁って何?」
「うわ、こっちすごいね」

 他の場所も一段落したのだろうか? どこからか他の生徒たちが集まってきた。

「これ、たった三人で? 信じらんない」
「これじゃ軍隊いらないな〜」

 みんなが口々に感想を言う。

「やっぱAクラスだな」
「AどころかSSじゃない?」

 あたしたちに贈られる、賞賛の言葉。
――聞きたくなかった。

「いったい何人殺したんだろうな?」
「数えてみれば?」
「――やめてっ!」

 思わず叫ぶ。
 周囲がしんと静まり返った。

「お願い、やめて……言わないで……」

 また涙がこぼれる。
 殺したくなんてなかった。
 ひとりだって傷つけたくなかった。
 それなのに……。

「学院の生徒にしては、ずいぶん安直な考えですね。
 『人を殺す』ということがどんな意味を持つのか、それさえ理解していないのですか?」

 泣いているあたしに代わってそう言ったのは、タシュア先輩だ。

「仲間のため、学院を守るため、理由はいろいろ付けられますが、所詮人殺しには変わりないのですよ。
 もう少しよく考えなさい」

 さっきまで敵に向けられていた冷たい視線が、今度は生徒たちに向けられる。










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遠き風に願いし君は 筆者のムーンチャイルド用長編作品です。

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