戦いの果てに ルーフェイア・シリーズ(40/80)PDFで表示縦書き表示RDF


戦いの果てに ルーフェイア・シリーズ
作:こっこ



Episode:40


『いろいろ考えましたが、他に確実な方法がありません。ですからこのまま全員が死ぬよりは、一人でも多く生き延びるほうを、私は選択したいと思います』

 また盛大なブーイング。

「チビたち死なせて、俺らだけ生きろってことじゃん」
「さすがにンなマネしたら、明日っから夜眠れねえっての」
「そもそもチビたち嫌がって、門入らないんじゃない?」

 一理ある。
 そのとき、とんでもない声が通話石に割って入った。

『がっくいんちょー、ミルちゃんにイイ考え、あっりまーす!』

 声が耳に突き刺さって、周り中がいっせいに顔をしかめる。
 つか、なんで一般生のミルが、全体通話に紛れ込めるんだよ……。
 こいつぜったい人間じゃねぇと、改めて思う。

『いま、そっち行っきまっすねー♪』
『いや、ですからミルドレッド、今そういうわけには……』

 学院長に同情。こんなときにミルのヤツに入ってこられて振り回されっとか、マジでサイアクだ。

『ですけど学院長の案より、助かる率が高いと思います。私にはアヴァンがあります』

――え?

 一転しての、いつもとは似ても似つかない落ち着いたミルの声と内容に、思いっきり面食らう。
 数瞬の沈黙。

『……ミルドレッド、本当に可能ですか?』
『門さえあれば』

 なんつーか、こいつ何者??
――あ。

 そういや確かコイツ、隣のアヴァン国の貴族連中に、かなりのコネ持ってた気がする。
 直接それが今の状態と、どう結びつくんだかはさっぱりわかんねぇけど、なんかやる気なんだろう。
 とりあえずこれは、振り回されるアヴァンの連中に合掌だ。

『1分だけ、時間をください』
 言ってミルのヤツが、俺のほうに振り向いた。

「イーマド♪」
 いつもの調子のにこにこ顔が、なんかすげーヤな予感だ。

「門、開・け・ら・れ・る・よ・ね♪」
「ちょっ――ミル待てっ!」

 慌てて、他の生徒から離れた場所へ引っ張る。

「デカい声で言うんじゃねぇっ!」
 知られたくねぇ話を平然と言いふらす無神経さは、コイツぜったい宇宙一だ。

「あ、ゴメンゴメン。でもさぁ、開けられるよね?」
「そりゃまぁ、開けられるけどよ……」

 そういやコイツ、前に俺が似たようなマネしたの、見たことあったっけ。

「じゃぁキマリ。あたしと一緒に来てね〜♪ あ、セヴェリーグ先輩、イマド借りま〜す」
 勝手に貸し出されたうえ、ミルのヤツ俺の腕を掴んで走り出した。

「てめー放せよ」
「ヤだ。イマドってばルーフェ以外が相手だと、ぜったい逃げるもん」
「あたりまえだろ!」

 こんな地球外生物と、一緒にいる義理はない。
 けど、他人の話聞くようなヤツじゃないわけで。

『学院長、話ついて準備できました〜♪ 今そっち行きますねー』
 勝手に話進めてやがるし。

「いったい、何する気なんだよ」










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遠き風に願いし君は 筆者のムーンチャイルド用長編作品です。

筆者サイトへ(筆者連載物「ルーフェイアシリーズ」のまとめ、その日の最新話へのリンク、改行なし版等があります)







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