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Chapter:1 日常
Episode:04
 女性のほうは、さっき話題にあがったシルファ先輩。
 けっこう長身で、かなり背丈のあるタシュア先輩と並んでもバランスがとれている。瞳は紫水晶のような澄んだ色、背中まであるつややかな黒の髪をいつもストレートにおろしていて、落ちついた雰囲気だった。
 あとどういうわけか、しょっちゅう女子から告白されるらしい。

 ちなみにタシュア先輩が言うには「同格のパートナー」らしいけれど、生徒の間では「タシュア先輩の恋人」で通っている。
 それと意外なことにシルファ先輩、男子の間では「無口で愛想がないから可愛げがない」と言われてるそうだ。イマドがそう教えてくれた。
――たしかにあんまりおしゃべりじゃないけど、とっても面倒見がよくて、お姉さんみたいな感じなのに。
 男子の考える事はよく分からない。

「先輩、せんぱぁ〜い! こっちどうですか〜〜♪」
 気が付くとミル、ぶんぶん手を振っている。

「やれやれ……そんなに大きな声を出さずとも聞こえますよ。もう少し周囲の迷惑を考えなさい」

 呆れた調子でタシュア先輩が言った。でもちゃんとこっちへ来てくれたあたり、今日はいいことでもあったのかもしれない。
――それにしても周囲の迷惑って、あたしたちしかいないような?
 もっともそれ以前に、この調子でタシュア先輩に声をかけるミルのほうが、何倍もすごいのだけど。

「それでいったい、何の用なのですか?」
 いつもどおりのどこか冷たい声で、タシュア先輩が続けた。
 そして騒ぎの主のミルは。

「日向ぼっこしません?」
「………」

 思わずみんなで絶句する。タシュア先輩をこういう理由で誘った人は、きっと彼女が初めてのはずだ。
 でも次は、もっと予想外だった。

「そうですね。大事の前の平安なれ、とも言いますからね。たまにはゆっくりするのもいいでしょう」

 絶対なにか毒舌が返ってくると思ったのに、タシュア先輩はそう言って、シルファ先輩と並んでベンチへ腰を下ろす。
 見やるとシーモアもナティエスも見事なくらいに石化していて、平気なのはミルひとりだ。

「ですよね〜。ゆっくりしないと、腐っちゃうもん♪」

 ゆっくりしすぎたほうが、腐る気がするんだけど……。
 なんかめまいがしてくる。

 けど本当に、穏やかな昼下がりだった。
 優しい陽光。
 流れる潮風。
――ずっとこうしていたいな。
 みんなも同じことを思ってるんだろうか? 
 誰も――あのミルでさえ――何も言わずに、ただ座るだけだった。

「そうだ! なんか食ーべよっと♪」

 前言撤回。
「あんたねぇ、どうしてそうむやみやたらと騒ぎたてんのさ」
 シーモアがまたミルの頭を小突く。

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