戦いの果てに ルーフェイア・シリーズ(32/80)PDFで表示縦書き表示RDF


戦いの果てに ルーフェイア・シリーズ
作:こっこ



Episode:32


――そういやタシュア先輩、たしかに見かけねぇな。

 ってもあの先輩じゃ、命令なんか素直に訊くわけねぇし。ついでにシルファ先輩も見当たらねぇから、きっと二人して好きなとこで戦ってんだろう。

「まったく困ったやつだな。シルファもいないところをみるとあの二人、一緒か?
――イマド、居場所を掴めないか」
「ムチャ言わないでください。戦闘中にンなことしてたら、『殺してください』って言うようなもんですよ」

 だいいちこの状況で精神集中して感応なんざした日には、探し出す前に他の連中の苦しみの念で、こっちがどうかなるだろう。

「それにあの先輩じゃ、絶対こっち来ませんって。そりゃ、いれば楽でしょうけど」
 セヴェリーグ先輩が一瞬沈黙する。

「……まぁ、そうなんだろうが……。
 にしても厳しいな。仕方ない、もう一度魔法いくぞ。後退しろっ!」
「了解」

 いつまでも途切れない敵の攻撃に、やむなく先輩が後退の命令を出した。
 カバーしあいながらの後退が始まる。
 ただ退却ってのは突撃よりよっぽど難しい。

 俺の隣にいた女の先輩が、後退し損ねて撃たれた。
 とっさにその身体に手を回して、抱きかかえて連れていく。まだ生きてるのにこのまま放っておいたら、魔法で焼死体になるのは確実だ。

「助けて……痛い……」
「助かりたかったら黙って我慢しろっ!」

 思わず怒鳴りつけた。
 他の連中ならともかく、俺の場合は痛い痛いと騒がれっと、こっちまで被害こうむる。
 けど人の身体ってやつは重い。俺も力がない方じゃねぇけど、普通には動けなかった。

「イマド、頭下げてっ!」

 ミルの警告に、とっさに体勢を低くする。
 頭上を弾が通り抜けて、後ろの敵が絶叫を上げた。
 こんな言い方したくねぇけど、即死してくれたおかげでさして念を食らわずに済む。
 どうにかこの先輩を抱えたまま、後退しきった。

「悪りぃな、助かったぜ」
「べっつに〜。でもあとで、お礼にご飯作ってね♪」

――このヤロ。
 ちゃっかりしてるとはこのことだ。

「これで全員か?」
「――あとは死んでます」

 メンバーを確認してる先輩に、気配を探って報告する。
 また吐き気がした。

「そうか。誰か魔法使わないやつ、彼女を奥の救護班のところへ連れて行くんだ。
 よし、もう一度魔法いくぞっ!」

 さっきと同じように、炎系の魔法が一斉に放たれる。
 あの灼かれる感覚もどうにか振り切った。

「思ったほどの効果はなしか。さすがに向こうも馬鹿じゃなかったようだな」

 先輩の言葉に炎が収まった坂道を見ると、どうにか防ぎ切ったらしい敵が性懲りもなく来てやがった。
 一応プロなだけあって、同じ攻撃はそうそう通用しないらしい。

――だったらこっちはどうだ。

 俺にしか使えないテを試す。
 魔法は防ぐ手段があるだろうが、これはそうはいかないはずだ。










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遠き風に願いし君は 筆者のムーンチャイルド用長編作品です。

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