ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
Chapter:4 狂気
Episode:25

「きゃ〜、すごいすごぉい♪」
「あ、ああ……」

 一瞬めまいがした。
 だけどともかく、これでかなり数が減っただろう。

「さ、あたしもやろ〜かな♪」

 ミルのやつが銃を構えた。
 正確な射撃。
 ウソみてぇな話だけど、引き金が引かれるたんびに悲鳴あげて敵が倒れる。

――違う。

 俺が聞いてんのは……悲鳴じゃねぇ。そいつらの出してる感情が、モロにこっちへ来てる。
 余裕があるときならともかく、普通は戦場じゃ相手にとどめを刺すより、戦闘能力を奪うほうが優先される。
 逆に言えば苦しんだまま放っておくってことだ。

(――苦しい)
(――死にたくない)

 すさまじい負の感情が俺の精神をえぐりにかかる。他の連中はともかく、これじゃ俺は精神攻撃を受けてるのといっしょだ。
 かと言って、シャットアウトはできねぇ相談だ。
 なぜなら……。

「ミル、右だ! 三班、五班下がれっ、グレネード来るぞっ!!」

 これがあればこそ、向こうの行動を先読みできる。
 俺がこれやめたら、ぜったい被害が増す。なんせ今だって、こっちにもけっこう負傷者出てる。

「あれ、イマド、大丈夫? なんか顔色悪いよ〜?」
「大丈夫じゃねぇ。でも大丈夫だ」

 言いながら俺は魔法を放った。物陰の向こう側で絶叫があがる。

「ヘンなの。見えないのに」
「殺ったんだからどうでもいいだろ!」

 肉眼じゃ見えないトコも、俺は確認できる。物陰だろうがなんだろうが、あんま違いなかった。

――にしても。

 吐き気がする。
 死にかけてる奴らの断末魔の声が、途切れなく俺を襲いつづけてやがる。

「よし、一旦下がるぞ。偶数班と奇数班に分かれて後退!」
 さすが先輩だ。弾切れおこすやつが出たのを見て後退の指示を出す。

「弾幕を張りながら下がるんだ。やつらを誘いこんで魔法を放つ。
 炎系を持ってるヤツは、合図で一斉に放ってくれ!」
「了解!」

 次々と指示が下され、命令通り俺たちは後退した。
 最後のヤツが後退を終える。

「よし、詠唱行くぞ!」
 先輩の声で詠唱が始まった。

「星に眠る原初の炎よ、ここに目覚めて新たなる創世となれ――ランペィジング・ラヴァっ!」
 初級から上級まで魔法が一斉に放たれて、炎が吹き上がる。
 坂道が再び、灼熱の渦に飲みこまれた。

――!

 同時に巻きこまれたやつらの苦しみが俺に襲いかかる。
 身体を灼かれる感覚が流れ込んだ。

「イマドぉ?」
「おい、大丈夫なのか?!」

 耐え切れなくて、いつのまにか膝をついたらしい。ミルとセヴェリーグ先輩とが俺を覗きこんでいた。

「やつらの想いを食らったようだね。動けるのかい?」
「すみません、大丈夫です」

 まだ戦闘は序の口だ。ここで怪我もしないうちから、ぶっ倒れてるわけにはいかない。
――負けるかっ!
 歯を食いしばって、俺は立ち上がった。





Web拍手 ←Web拍手です

FT小説ランキング  毎日OK:FT小説ランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票
 順位だけ見たい方はこちら

NEVEL Ranking  月に1回:NEWVELランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票


◇イラストいろいろです。随時募集中です♪◇
シエラ学院制服  Blue Ocean  ルーフェイア・シリーズ

自サイト美術室はこちら
掲示板はこちら。お気軽にどうぞ♪


筆者サイト
↑筆者サイトへ
最新話へのリンク、改行なし版等があります


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。