ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
Chapter:4 狂気
Episode:20 狂気
>Sylpha

「始まりましたか」
 校庭からの悲鳴を聞いて、タシュアがつぶやいた。

「シルファ、急ぎますよ」
「ああ」

 二人で走り出す。
 まだ船団が上陸しないうちから敵が攻めてきたのだから、急がないと低学年まで襲われかねなかった。
 だがタシュアはエレベーター――年季が入った昔風のものだ――へ向かおうとしない。

「タシュア、上へ行くんじゃなかったのか?」
 教室はすべて、二階以上の配置だ。

「そうです」
「エレベーターは向こうだが……?」
 不思議に思ってそう言うと、タシュアが指摘した。

「エレベーターは危険です。いつ館内まで攻め込まれるかわかりませんからね。
 それに万が一低学年を避難させるとすれば、階段の状況を確認しておかなければなりませんし」
 そう言って、普段誰も通らないような場所へと向かう。

「こんなところに……」
 人目につかない場所に非常階段があった。
「ここはまだ、大丈夫のようですね。
――さて」

 言いながらタシュアは、階段入り口の扉を閉めてしまう。
 たしかにこうしておけば、ちょっと見た目には階段があるとはわからない。鍵こそかけてはいないが、そう簡単に侵入されずに済みそうだった。

「どうやら通れるようですね。
 退路も確保できたことですし、シルファ、行きますよ」
「あ、ああ……」

 いつもながら彼の冷静さには舌を巻く。当然といえば当然なのだが、この状況でこれだけ効率よく動ける人間はあまりいないだろう。
 二人で急いで階段を上がる。

――?
 途中まで上がったところで、たしかに声を聞いた。

「タシュア、今のは……?」
「先に行きます」

 一気にタシュアがスピードを上げる。こうなると私ではとても追いつかない。
 ともかく急いで階段を昇り切ると、いくつかの教室から次々と、低学年の子たちが出てくるところだった。

「大丈夫か?」
「はい。タシュア先輩が来てくれましたから」
 このクラスの担当らしい上級生が、はきはきと答える。

「この先に非常階段があります。それを使って地下まで移動しなさい。しばらくは安全なはずですから」
 最後に出てきたタシュアが指示を出した。

「わかりました。
――みんな、行くよ」
 手際よく年長の子が低学年をまとめて、安全な場所へと避難が始まる。
 その時、絶叫が聞こえた。

「隣か?!」

 今のは明らかに断末魔の声だ。
 低学年の誰かが、犠牲になってしまったのか……。

『手の空いてる隊、教室へ来てくれ! 低学年が襲われてる!!』

 やっと、緊急事態を告げる報告が入る。だがどう見ても遅すぎるだろう。
 襲われたとおぼしき隣の教室へ飛びこむ。
 その私の目に、信じたくない光景が飛び込んできた。




Web拍手 ←Web拍手です

FT小説ランキング  毎日OK:FT小説ランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票
 順位だけ見たい方はこちら

NEVEL Ranking  月に1回:NEWVELランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票


◇イラストいろいろです。随時募集中です♪◇
シエラ学院制服  Blue Ocean  ルーフェイア・シリーズ

自サイト美術室はこちら
掲示板はこちら。お気軽にどうぞ♪


筆者サイト
↑筆者サイトへ
最新話へのリンク、改行なし版等があります


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。