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Chapter:3 戦端
Episode:16
>Rufeir

――まさか、どこかの正規軍?

 接近してきた来た敵を見て、背筋を冷たいものが走る。
 かなり厳しいバトルになりそうだった。なにしろこちらにはごく少数の上級傭兵隊の先輩以外は、プロと渡り合える人間がほとんどどいないのだ。

 船団から大きな巨鳥が幾つも飛び立つ。上陸が難しいとみて、先に空中部隊を出したんだろう。
 裏庭の方で悲鳴が上がった。広いあっちにかなりの数が降りたらしい。
 続いて衝撃音。足元が揺れる。艦砲だ。

「来るわよ!」

 先輩の鋭い声が飛ぶ。
 あたしは鞘から太刀を引き抜いた。刀身が太陽を反射する。
 大鳥から飛び降りた敵兵が突っ込んでくる。真正面だ。
 間合いを測る。
 長剣を振りかぶる兵士のスローモーション。

――今。

 ステップを踏んで左へ避けながら、太刀をふるう。
 血しぶきがあがった。

 それを背中で見ながら、いちばん近い敵へ。
 目くらましを兼ねて初級魔法を叩き付け、その隙に切りかかる。
 同時にかかってきた二人は、かわしただけで相打ち。

 さらに別の兵士に向き直ったとき、視界のすみに銃を構える敵の姿を認める。とっさに呪文の詠唱を始めた。
 敵が銃を撃ち、あたしの防御魔法が発動する。
 きぃん、という音がして、銃弾が魔法の盾に阻まれた。

「ありがと、助かったわ」
 狙われていたことに気付いた先輩が、あたしに向かって微笑する。
「いえ、当然のことですから」

 気が付いた人間がフォローしなかったらバトルでは勝てないことを、かつての戦場生活であたしはイヤというほど思い知らされていた。

――それにしても。

 敵の数が異常に多い。その上あたしの周囲へは、兵士が集まりだしていた。
 太刀を手に猛威を振るう金髪の少女。これがどれほど目立つか。

 左右からまた同時に切りかかられる。
 考えるまでもなく身体が先に動いた。
 身を少し低くしながら刃をかわし、まず左の兵へ下段から一撃を浴びせる。そして勢いを利用しながら向きを変え、残る兵士を打ち倒した。

 そこへ通話石から連絡が入る。
 運営の先輩たぶんの、切羽詰った声。

『手の空いてる隊、教室へ来てくれ! 低学年が襲われてる!!』

――なんてことを!
 プロの兵士のくせに子供たちを襲うなんて。

 でも一方で、あたしは知ってる。
 戦争は場所を選んでくれない。そこが学校だろうが病院だろうが、戦場になるときはなる。
 あたしは昔、そういう場所にいた。

 刀身に一瞬辛い思い出が映る。
 この学院に来る前、戦場で銃声を子守り歌にしていた頃の出来事だ。
 あの時あたしは生き延びるために……。

――だめ、今は!

 はっとして自分で自分を叱りつける。
 いまは思い出にひたってる場合じゃない。

「遥かなる天より裁きの光、我が手に集いていかずちとなれ――」

 敵集団がわずかに体制を崩したのを見て、あたしはすかさず呪文を唱えた。




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