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Chapter:2 予感
Episode:11
 ルーフェイアの料理音痴――というより食べ物全般に対して無知――は、常識を遥かに超えてる。昔ローストビーフを見て「ローストなのに生だ」って言い出したときなんかは、さすがにみんなで硬直したもんだ。
 昨日のケーキ作りの時も、けっきょくやったのは材料を量るのと泡立てるくらいで、あとはひたすら見てただけだったりする。
 ただそれを言うなら、イマドもイマドだ。こっちは下手な主婦など遥かに上回って、家事全般が上手いってんだから。
 二人ともいったいどういう育ち方をしたのか、いまだに不思議でしょうがない。

 そこへひょいっという感じで、ナティエスが顔を出した。
「あれ、どしたの、イマド。ルーフェといっしょじゃないなんて珍しいね」
「いつも一緒にいるの、お前らの方だろ?」

 このナティエスも食わせ物だ。大人しそうな外見に似合わず、スリは上手いわ毒付きの“苦無”を振るうわ、凶悪なことこの上ない。

「ナティ、あんたルーフェイアどっかで見かけなかったかい?」
「え? あ、そういえば寮の渡り廊下でちらっと見たの、ルーフェとシルファ先輩だったかも」
 人差し指をあごに当てて考えながら、彼女が答える。

「おや。んじゃ二人して、タシュア先輩のとこでも行ったのかね?」
「それだとルーフェ、また泣かされそうかも」
「おもいっきりアリだねぇ」

 あのタシュア先輩ときたら毒舌で知られまくってるってのに、なんでかルーフェイアは懐いてた。それも毎度のように泣かされてるのにくっついて歩くんだから、もう立派としか言いようがない。

「まぁいいや。どうせ居場所なんてすぐ分かるしな」
 探してたはずなのに、あっさりそんなことをイマドが言った。
 そして一瞬、視線が宙をさまよう。
「あぁ、あそこか」
 次の瞬間にはもう、どこにいるか分かっちまったらしい。

「いつもながらよく分かるね、あんた」
「まぁな」
 イマドは必ず、ルーフェイアの居場所を言い当てる。
「やっぱそれって、愛の力〜♪」
 ミルが得意げに胸を張ってバカなことを言った。

――それで世の中片付くんだったら、苦労ないっての。

「ったく、ない胸張ってなにバカ言ってんのさ」
「ぶ〜〜☆ なくないもん!」
 ほっぺたを膨らませて怒るとこなんて、この子ときたらまるで六歳児だ。ホント、手がかかるったらありゃしない。
 とりあえず小突いて黙らせといて、イマドに尋ねた。

「どこにいたんだい?」
「―――」

 けど、答えない。
 そして妙に厳しい顔になる。

「お前らさ、いったん寮へ戻って、メインの武器出したほうがいいぜ」




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