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記憶
作:望月愛



4,合コン


「どうも。」

夕方6時の渋谷。ナチ、アユミ、カヨ、そして私の元に3人の男が近づいてきた。

「ナチ、可愛い子連れてきたじゃん。」

3人のうちの一人がナチと親しく話している。

「ちゃんとしんちゃんの好みを連れてきたからー。」

ナチが返す。

「こんばんは。俺医学部2年の泉慎太郎です。ナチのイトコ。よろしくね。」

ノリの良い慎太郎が言うと女の子みんな(ナチ以外)驚きでぽかーんとしていた。

「イトコなの?」

ナチに聞いてみた。

「言って無かったっけ?ま、とりあえず店行こーよ。」

「そうだな。すぐ近くだから。」

私たちは店へ向かった。


「じゃ、ベタだけど自己紹介からー。」

乾杯後慎太郎が言うと私以外の子がみんな拍手したり声をあげた。

みんな合コン慣れしてんのかなぁ…。

「さっきも言ったけど、医学部2年の慎太郎です。シンとかしんちゃんって呼んじゃってください☆」

しんちゃんは茶髪のちょっと長めの髪。そこまでチャラいわけじゃないけど医学部って感じは全くしないなぁ…。とにかく明るい。盛り上げ役なんだろうなー。

「俺は清永卓也です。フツーにタクヤって呼んでください。」

タクヤは黒髪短髪で…さわやかで…芸能人で言うとEXILEのタカヒロみたい。
つまり…めっちゃタイプな顔だぁ!
てかこんなカッコ良い人に彼女居ないのおかしいよ!?
一気にテンションが上がってきた。

「池上准です。ジュンって呼んでください。」

ジュンは…芸能人で言うと瑛太かな?背が高くて優しい顔してる。

ってかみんなカッコ良い!

昨日までの自分がウソのように次に進もうとしている。

「あっ、そう。もう一人来るんだけど、急に誘ったからちょっと遅くなるんだ。ごめんねぇ。」

しんちゃんが言った。

「すみません。急に行きたいって言って。」

急に申し訳なくなって反射的に言葉が出た。

「あ、サキちゃん?ナチから聞いたよ。俺、サキちゃん応援するから!」

「えっ?」

ナチは知らんぷりしてる。

タクヤとジュンが『何の話?』ってしんちゃんに聞いてる。

「あと、敬語禁止。ねっ。じゃあ女の子も自己紹介お願いしまーす。」

するとナチから喋り始めた。
てか、みんな服装が可愛い。アンサンブルにシフォンスカート…。気合い入ってるなぁ。
Tシャツジーパンの自分が恥ずかしくなる。

ナチが喋り終えると歓声が飛んできた。

やばい。この空気についていけない…。

さっき上がったテンションは店に着いた時より下がってしまった…。

結局私は名前くらいしかしゃべれなかった。


これが合コンのノリなんだろうなぁ…。やばい、なじめる気がしない。てか私人見知り激しいんだった!

ってかなり今更だよなぁ…。


「ちょっとぉー。何でお酒飲んでないのー?」

ウーロン茶を飲んでた私の元にしんちゃんがやって来た。元から陽気な性格だけど、多分すでに酔っ払ってる。

実は…私あんまりお酒が得意じゃない。2杯くらいでポーとしてしまうのだ。

「実はお酒苦手で…。」

「じゃあカシオレで良い?すみませーん!カシオレ1つー」

しんちゃん私を無視して勝手に頼んでるし…

「サキちゃん楽しくないの?」

「えっ?そんな事無いですよ?」

「全然話に入って来ないじゃんーもっと話そうよ―。」

「初めての合コンなんでどうすれば良いか分からなくって。年上の男の人って今まで関わりが無かったし…。」

「年上なんてカンケーないから。たった1コだし。改まらなくて良いよ。ね、タメだと思って。」

「カシスオレンジでーす。」

店員さんがカシオレをしんちゃんに渡した。しんちゃんはそれを私に差し出す。

ここで受けとらなかったらさすがにKYだから
「ありがと」と言って貰った。

「じゃあカンパーイ!」

しんちゃんと2人で乾杯した。

「サキちゃんは元彼とどれくらい付き合ってたの?」

「んと、2年ちょっとです。」


「高校で2年は結構長いね。オレ何て今まで1年続いた事無いよ。」

「ホントに!?」

今までも色んな人に『付き合って長いね―』って言われてきたけど、私からしたら1年経たない方がすごいと思ってしまう…。

「オレ浮気症だからいっつもバレて振られるんだ。」

だからカッコイイのに彼女居ないんだ…。

「そんな事合コンで言ったらモテないよー」

「やべ。聞かなかった事にして―。」

「どおしよっかなー。」

なんだかしんちゃんは話やすくて楽しい。

「何かさっきまでとキャラちがくない?まさかもう酔った??」

「私飲むとすぐポケーってなっちゃうんだぁ。でも意識あるから大丈夫!!」

「その位のが楽しいよ。」

しんちゃんはそう言った。

しんちゃんはなんだか私に元気をくれる。こういう人と付き合ったら楽しいだろうなー…。
ふと思った。


途中で4人目の男の子、松岡ナントカって人が入ってきた。

けど…あんまし覚えてない…。

「サキ!起きてよ―。」

ナチの声がかすかに聞こえた。目を開ける。

「あれっ?私寝てた?」

どうやら寝てたらしい…。恥ずかしすぎる!!

「これからカラオケ行くって。サキどうする?」

「ナチは?行くの?」

「行くよ―。サキが行くなら。」

時計を見る。まだ9時前だ。

「じゃあ行くー。」

という事でカラオケに行く事になった。

夜になっても渋谷は人が多い。イチバン近くのカラオケに行くとすぐに店に入れた。

「あれ?カヨが居ない。」

部屋に入ってみるとカヨがいなかった。

「サキちゃん今気付いたの?」

タクヤが言う。

「カヨはしんちゃんとお先したよー。」

ナチが言う。そういえばしんちゃんも居ない。

「うわー合コンって感じだねー。」

思わず本音を言ったらみんな笑ってた。

てかしんちゃん…この中でイチバン良いって思ってたのに…。
寝てた事を後悔する。。。

だいぶ酔いも醒めたから、さっきの反省を生かしてピーチサワーをちびちび飲む事にした。

それでも飲むんかい!?って感じだよね…。
すぐ酔うけどお酒は好きなんだ。

カラオケの間はジュンともタクヤとも結構話した。2人とも話してると楽しい。

でも、後から来た人…(名前覚えて無い)とは一言も話さなかった。てか、あの人女の子誰とも話してないし、歌ってもないし…。
何しに来たんだろうか?


程よく酔っ払ってるし、意外と楽しいからか、時間はあっという間で終了10分前の電話が来た。

「サキちゃん、ちょっと外行かない?」

ナチとアユミが熱唱してる時タクヤに呼ばれた。

胸がドキっとする。

平然を装って部屋を出た。

「あのさぁ、お願いがあるんだけど…。」


「何?」

なんだかドキドキしてくる。これって『一緒に抜けないー?』とかそういう系?

「俺、ナチちゃんが気にいっちゃったんだよね。」

「えっ?」

「それでこの後2人で出掛けないって誘ったら『サキが心配だから一緒に帰る』って言っててさぁ〜」

さっきまでの淡い期待は速攻で打ち崩された。

「はぁ…。私もう大丈夫だよ。気にしないでナチ連れてっちゃって☆」

「ホント?ありがとう!サキちゃん東横線だろ?サトシもそうだからアイツに送らせるから。」

サトシ…?あぁ、遅れて来た人か。

「送ってもらわなくても大丈夫だよ!」

「気遣うなって〜。」

いやいや、気を遣ってるわけじゃなくて、一言も話して無いから気まずいんですよ…。

「それに一人で帰るなんて言ったらナチちゃん心配するでしょ?」

…結局はナチですか…。

ま、友達の幸せを祝えない程心の狭いコじゃないから協力しよう。

「わかったよ。頑張ってね♪」

「おぉ!サトシに話しておくから。」

そう言って部屋に戻った。

なんか今日の私空回ってばっかじゃん…。
合コンを甘くみてたかなぁ。

「サキーもう時間だから帰る準備して!」

ナチがマイクや本を整理しつつ言った。

「分かったー。」

ふと机の上を見ると飲みかけのピーチサワーがあった。氷が溶けちゃってるけど、まだコップの半分くらいある。

『もったいないから飲んじゃお。』

私はピーチサワーを一気に飲んだ。


これを後で後悔する事になるのは…言うまでもないか…。












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