赤い幕間
眠りから目覚めると、何やら激しい口論が聞こえてきた。私の居る、赤い部屋の外からである。
「************!」
「…****。*********。」
何を言っているのか、皆目分からぬ。普段は耳にしないような、酷く口汚い様子の言葉の羅列。
口論の度に怒りを含んだ振動が赤い部屋を揺さぶっている。ひしひしと、赤い部屋を通して感情が伝わってきた。
「******。****。」
「*****! **********…。」
怒り。そして絶望。それが今赤い部屋を支配している。それはどうにも、私にとって嫌に居心地が悪いものだった。
嫌だ。
この感情は、嫌だ。
この感情は、部屋を圧迫させる。声がする度にぎゅうと周りの圧力が増し、それが私を締め上げるのだ。苦しい。それと同時に何故だか悲しさを感じた。
気持ち悪い。
止めろ。
……………止めろ!!
そうして私は、部屋の壁を蹴った。どすどすと、あらん限りの力を使い、持てる限りの嫌悪の念を込めて。
すると、はたと口論は収まった。代わりに悲愴な呟きが一つ、こぼれ落ちてきた。
「…********。」
何を言っていたのか。それはどんな意味だったのか。
取りこぼしたそれを私が拾うことは最早叶わなかったが、私にとってそんなことはどうでも良い。
ただ、酷く部屋が狭く不快だった。それが解消された今となっては、私にとって外の出来事なぞとるに足りない物なのだ。
それにしても、本当にこの部屋は心地が良い。
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