『外伝1~アーナ01~』
誰も私を見てくれなかった…あの人が現れるまでは。
~二年前~
「今日も暇だな~」
アーナは無駄に広い自室で窓の外を眺め、溜息を吐いた。アルスタイン家の三女、これが忌まわしき私の呼び名で、周りからはその事しか認識されず誰も私自身を見てくれない。
最初に生まれた大姉のホーネリアは、生まれた頃から膨大な魔力と強い加護を持ち、由緒あるアルスタイン家の中でも三本の指に入るほどの潜在能力。有り余る才能と努力で若干十八歳にして天空十二神となった。さらに聖女と呼ばれ周りから愛され母親に溺愛されている。
ホーネリアの強い要望によりつくられた次女であり姉のネール。
生まれつき治らない難病を持っていたがホーネリアを上回る加護を持ち、よわよわしい姿と十五歳までしか生きられない事から、五歳になる頃から求婚(この世界では十二歳から結婚ができる)の話が出るほど貴族達から受けがよく、使用人達や周りから常に心配してもらい、姉から寵愛されていた。
そして、当主を作るため様々な事から男を作るための方法を試し、できたのが三女である私アーナ。生まれた瞬間から落胆され誰からも相手にされなかった、父は仕事母はホーネリアしか目を向けず愛情を注がず、ホーネリアはネールの事ばかりで、たまに私に言うのが『アーナ、貴方はあまり外に出歩かず、私が居ない時ネールの世話をよろしく…』だ、ふざけているとしか言いようがない。ネールは周りから心配されているせいかすごくアマちゃんで二言目には『疲れた…持ってきて』だ、加護の力で普通に保てているのに、空気に慣れてしまったのか、周りが心配しすぎたせいか、すごく我儘で、自分やホーネリアの事しか考えておらず私の事など見向きもしない。使用人達も優先度は一番低くみられ、同じ年である専属メイド、フィルに任せ、何か用事がある時やフィルが居ない時私が頼むと表面上何も変わらないが、うっとおしく思っているのは私には分かる。
だからアーナはよく一人で出掛け、この日も屋敷を抜け出し、外に出た。この時間とフィルと話している時が私の楽しい時間。最初の頃は長時間に亘るお説教をくらっていたが、今では諦めているのかフィル以外の人は誰も何も言わない。家を出ると待ち構えた様にニャロとワムが姿を現した。初めて家から外出(脱走)した五才の時に会い、以来外に出た時、何をするにも一緒で、今ではアーナの半身の様な存在。
「おはよう、ニャロ、ワム」
「ワン」
「にゃ~」
毎回アーナの恒例の挨拶に元気良く返すニャロとワム。次に出るアーナの言葉も決まっていた。
「今日はどこに行く?」
「ワンンワンワン」
「ニャーニャー」
ニャムとワムはアーナの言葉が分かるかのようにぐるぐると駆けまわっていた。
「そっか、じゃあ今日はお散歩にいこぉ~」
「ニャ~オ!」
「ワォーン!」
さっきのは何処に行きたいかの合図で、ぐるぐると駆けまわるのはお散歩、アーナの服を引っ張るのは食べ物屋巡り、ポンポンンと軽く叩いてくるのがギルドの仕事、飛び跳ねるのはエンドレスに行く事だった。ギルドの登録申請は7歳の頃、アーナは作り、ある条件を満たさなければエンドレス内に動物は連れて行けないが、その条件を満たしていた。
富豪街を抜け、アーナがこの都市で一番好きな活気がある市場や飲食街がある中央部分。そこにいる人達の大部分はアーナを一人の人間として見てくれて、心地良かった。だけどそれは商売上大勢を見ている中の一人であり、心から気を許せるものは居なかった。
今日は他の目的があるため呼び込みや馴染みのある人達と軽く世間話やいなしながら通り過ぎ、向かった先は南西にある大きな公園。ホントか嘘か分からないが、精霊が住まう森をモチーフにしたとされ、公園の半分が木で埋め尽くされていて、アーナ達は木と木の間にある道を進む。三百mほど歩くと、道が開け、地面が芝生で五百m北に歩くと湖があり、所々にベンチが設置されている広場へと到着する。
「あれみんなどこいったんだろ~」
いつもなら鳥達やここで放し飼いにされている鹿や兎等の動物達が我先にとアーナの元へ来るのだが、今日に限っては誰も来ない。
「ワンワン」
「ニャーニャ」
「アッ何処行くの~ニャロ、ワム」
ニャロとワムがいきなり駆け出し慌てて後を追い…向かった先で、ある運命的な出会いをする…それがあの人だった。
何話か進んだ後アーナの外伝の続きやります。
次はソハネとアーナの戦闘です。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。