第十九話『決戦~ジョシュネ・下~』
「ブリジット」
「ラテルト ナーマリー ヴォンス テトラーセ」
ジョシュネは昨日持っていた武器を変え、ショットガンをカリバーンに向かって撃つ。風の刻印を施したその銃は、普通の銃より三倍もの速さを誇り、弾ではなく引き金を引くと、使用者の闘気を吸収し、その量に応じて攻撃力も変わってくる。ジョシュネはプラチナの闘気の使い手でプラチナのビームがカリバーンを襲う。
サラは四つの天使語を紡ぐ。意味は、ラテルトは攻撃力上昇、ナーマリーは速度上昇、ヴォンスは防壁破壊付加、テトラーゼは光の雨。つまり光の雨に音速並の速さと、鋼鉄を突き破る位の破壊力を追加し、さらに防壁を張っても破壊する…そんな天使魔法となった。
普通なら当たるどころか即死してもおかしくない二つの攻撃だが、ガリバーンにとってみれば眠たい攻撃らしく、欠伸をしながら腕を伸ばす。
それだけの動作で、五mほどのでっかい口の様なものが、吸い込む様に、攻撃をこちらの方に誘導する。
「まぁまぁってとこだなこりゃ。んぅ、てめぇらの本気はこんなもんかぁ」
戦闘開始から何十回と攻撃を重ねても、ガリバーンは無傷で、驚いた事に一歩もその場から動いていない。ジョシュネ達は一年間遊んでいたわけじゃなく、確実に実力は上がっていると自負しているが、ガリバーンも実力は上がっているため、結果として、一年前と同じ状態になっていた。
「はぁ、さすがな私の将来の旦那様だぁ…サラ、全力でいくぜ」
「やはりあの人は殺さなければならないようですね。分かりましたシュネ」
何をしても攻撃が通じない。なら最強の技を叩きつけるしかないとジョシュネ達は判断した。幸いにもガリバーンは攻撃する気配はなく、まるで俺に全てを見せろやぁ…と言っている様で、何の邪魔をなく、ジョシュネ達は各々の準備を始めた。
ジョシュネは今日持ってきた全ての武器をとりだす。もってきた銃機器は全部で六つ、ミサイルの様なものが一つ搭載したグレネードランチャー二つに、ナスカ戦で使用したバズーカ砲二つ、そして筒状の部分しかない小型の大砲の様な物が一つ。重量級メインの構成でさながら一人で学園都市をぶち壊す様な物騒な代物ばかりだった。
まずグレネードランチャーとショットガンを指にかけ、バスーカ砲をわきで絞め、小型大砲を口で銜える。これで準備は完了でサラとタイミングを合わせるだけだった。
「テトラブリケイン ラグナロク ラテルト ナーマリー ディスぺリア」
一つ一つに意味がある天使魔法だが、何個かは全体で一つの意味をなす事があり、この魔法もその一つで、五単語内では最強の魔法とされ、『終焉の始まり』と呼ばれていた。
今だ。ジョシュネも全闘気集約させ全てを解き放つ。ジョシュネ最強の技『フルメンタル バースト ストライク(全闘気全魔力一斉砲撃)』。一年前は闘気と魔力の容量から四つだったが、六つに増え、サラも四単語が限界だったが、五単語に増え、この魔法をはなてるようになった。
世界の終わりを彷彿とさせる様な破滅の光がカリバーンの頭上から落ち、横からは、瓦礫を塵に変えながら、一都市を破壊するほどの破壊力をもった攻撃がガリバーンを襲う。
それでも尚、カリバーンは悠々と立っていた。
あめぇぞ、テメェーら
「喰らい尽くしやがれぇ、マルフェス」
先ほどまではほんのお遊び程度で、ヴォルザック達を含めた残りの冒険者をやったのもこの技だった。
口というよりもある所を境目に空間が変わったかのように、どす黒い何かに阻まれ、まるで何事も無かったかのように、攻撃などまるで存在してなかったと言わんばかりに、辺り一面静寂に包まれ、どす
黒い空間もいつの間にか消えていた。
「ちぃーとばかし、喰い出があったっぜぇ…おっ」
カリバーンは少し目を見張る。あの攻撃を暗幕代りにして、眼前にジョシュネが居たからだった。
「これでぇぇぇ!!!」
想いを届け! 気や魔力は全部使い果たし、普通なら立っているのもやっとだったが下を少し噛み、意識を留め、全精力を振り絞り袖から出た、普通の銃弾の入った短銃を取り出し、引き金を引く。そしてジョシュネは意識を失った。
「掠り傷ちゃあ掠り傷だがぁ、まぁ傷は傷だ。おめぇの事に認めてやるよジョシュネ…参ったなぁ連れてく気は無かったんだがなぁ…でぇ、てめぇはどうすんだよサラ」
ジョシュネがクリアした以上サラもクリアする必要があった。そうしなければ当分会えなくなる…それはサラにとって耐え難かった。しかし自分の最強の魔法が無傷で防がれた今、考える。どうすれば傷を与えられるか。
魔力の残量は先ほど出した魔法一撃分です、私もシュネの様に無茶しなければいけません…兄様見守っていてください。今まで使えなかった五小節の天使魔法…それを使うとサラは決心した。
「テトラ ラグナロク フレア メシア パンドラ」
サラは意識を保てず、五小節を使った反動で、強制的に暗転した。これはまだいい方で、格上の魔法に手を出したら最悪内部から破裂する。たというのにサラが無謀な賭けに出たのはジョシュネへの熱い感情ゆえか。サラの表情は薄く笑みを浮かべていた。
「まったく、近頃の若いもんぁ、後先考えてねぇーな。まぁそうじゃなきゃ俺には届かなかったろうよぉ」
見える部分全てが、何もかもなくなり、それが今の激闘を物語っており、そこにポツンとカリバーンが立っていた。その頬と脛辺りに目新しい傷があり、サラとジョシュネはカリバーンのもっている転移石により、フェリと同じ場所に送った。
「今回のぉ俺の役目…物語もこれで終わりかぁ、主役級にはなれなかったがぁ、バツ一のおっさんにはこれぐらいがちょうどいいってかぁ、次の物語は主役級にしてもらいたいもんだなぁ…さてとぉ」
サラやジョシュネの時には見せていない戦闘体制に映る。
「メインチッシュといこうじゃねぇーか、カミュの秘蔵っ子よぉ」
その言葉を分かったか分からないのか定かでわないが、きつねの笑う表情と似た顔を作り、どちらからともなく、今度はカリバーンも動き出し、戦闘は開始された。それは先ほどまでの余裕がある表情ではなく、幾分厳しげだった。
長くはもたねぇなぁ、頼むぜぇ…よぉ。
次はソハネ編に移りたいと思います。これから文章の粗が目立つので、ちょくちょく修正したいと思います。ストーリーに変化はありませんのでご了承ください。
まとめられるところはまとめました。繋がりや修正は後日ですけど……。
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