第十六話『決戦~ジョシュネ・上~』
ジョシュネとサラは戦ってはいるが、何かを待っているかのようで、練習みたいに軽く攻撃する程度だった。そもそもサラはジョシュネをどうこうするつもりはなく、ナスカが亡くなった後の攻撃も、避けると確信していたからこそ放った。サラは別にオロム側の人間ではなく、ある条件の元一緒に行動したに過ぎない。
天使族の家族同士では共感と呼ばれる感覚が存在し、意識すれば相手の見ている場所を見る事ができる。思えば兄も、好きな人ができて、あの日その人に着いていき、最後はその人を守って亡くなった。その雄姿を共感で見ていたサラは羨ましく思う。好きな人を守って死ぬ事は天使族にとって最大の誇りであり名誉で、最期は満足したかのように惚れ惚れする笑顔だった。まぁ、彼女は途中から来たお茶らけた男に奪われてしまい、彼は生きていますが、どうでもいい事です。本当にサラにとってどうでもいい事で、彼女の中心はジョシュネが占めていた。性別の差とか関係なく、例え同じ女性であったとしても。だからこそ、サラは待っている、多分ジョシュネと同じ人だが違う目的を達成するために。彼は必ず来るだろうとサラは思っている…だって娘をむざむざ殺されるのを黙って見てる親などいないのだから。
一方ジョシュネは、仲間に罪悪感を抱きつつも、来るであろう待ち人を想い心臓をバクバクさせていた。その人は自分を救ってくれた恩人であり、親の様であり、恋する人であった。一年前のあの日、『ちぃ、面白くねぇーな』と言って旅に出るその男に、一緒に行くとジョシュネは言ったが、ある条件を達成すれば同行する事を許してくれたが、その条件を達成できなかった。悔しくて情けなくて、この一年腕を磨き、ようやくその男が帰ってくる。
悔しいが彼は娘であるフェリのとこを一番気にかけており、フェリがこの作戦に参加する事に内心嬉しく思っていた。彼女がピンチになれば必ず男は出てくると。
はぁ~あ、我ながら嫌になってくるな、仲間が死ぬと分かりきってんのにな。ジョシュネは自嘲気味に思考する。あの時、ソイドやソハネやアーナも分かっていたが、四百人位いてフェリの仲間…裏切り者も居ると分かっており、数からみてフェリの仲間達は助からないだろう思っていた。
だがジョシュネは後悔していない、今度こそ条件を達成し旅に連れて行ってもらうために。
「シュネ、どうやら来たようです」
「そうかそうか、とうとう会えるのな、サラ譲頼むぜ」
「お任せくださいシュネ」
昔コミュニティでコンビを組んでいた事もあり息ぴったりだった。
まずジョシュネが銃を使い壁をぶちあけ、呼吸を合わせサラ前にして等間隔で二人は走り、ぶち破った所から飛ぶ。サラが天使の翼を広げ、ジョシュネはサラの足に捕まる。そして下で行われている戦闘など関係なく、目的の場所まで飛んだ。
そこは学園都市だった面影はなく瓦礫の山と化し、倒れているはずのフェリは、男が転移石を使い安全な場所に移動させており、悠々と立っているその男以外もはや存在していなかった。
ジョシュネとサラはその付近に降り立つ。
「よぉ、てめぇーらか、久しぶりだな。ちったぁ成長したかぁ」
首をコキコキと鳴らし、一年ぶりとは思えないほど自然体な感じて言う。そこには緊張も不安も虚勢も驕りも嘲りも無かった。自由奔放な振る舞いに、自由気ままな行動力。それこそが自由王と言われるガリバーン・ハートネットの由縁だった。ちなみにフェリはガリバーンと離婚した母親の姓を名乗っている。
変わってないな、それでこそ私が愛した男だ。ジョシュネは誇らしく思いながら単刀直入に言う。
「よぉ、ガリバーン、約束を果たしてもらいに来たぜ」
「あ~あの約束かぁ、まぁ前菜がしょーも無かったから、きなぁ、てめぇーら二人がかりでかまわねぇーぜ。条件は前と一緒で、どちらかぁ一撃でも当てりゃ、旅に連れてやってもいいぜぇ。最も一人は違う目的だろぉーがな」
ガリバーンがくいくいと人差し指で挑発し、戦いは始まった。
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