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FILE0:聖女様がやって来る。
朝から今日のイーシス王国は、ある一つの噂話で持ちきりだった。
そう、それは…

「なぁ、なぁヤン知ってるか?! この国を救うあの伝説の聖女様が、昨晩ようやくこの国にいらっしゃったんだって!」

という、噂話だ。
この話を今、ここまでに来る間、いったい何人の人に聞かされたことだろう。そして何人の町人達にその噂の聖女様について問い詰められたことだろうか。

たまたまヤンが、王宮御用達の“薬師の娘”だからって。
まさかそんな急な話、しかもこの国の極秘とも言えるあの伝説の聖女様の話を、ただの“薬師の娘”風情である自分が知る訳が無いではないか。


「へぇ…。それで君はただの“薬師の娘”風情であるこの私、ヤン・メリッサに、いったい聖女様の何を問いに来たんだい?オルガ・ニヒト大尉殿?」

しかし、そんなことも解らない馬鹿がこの世には沢山いるわけで…。
今ヤンの目の前に佇むこの男もその内の一人だ。
つか、お前のほうが位、断然高いだろ。

「久しぶりに会った幼馴染にお前冷たいぞ〜?こっちはただ世間話を…」

「回りくどいのは嫌いなたちでね。」

すぐさま相手を切り離すよう厳しい口調で返事を返せば−…
目の前の男はたちまちとその大きな碧眼の瞳に大粒の涙を浮かべた。

「−…ヤン冷たい。お前、実は俺のこと嫌いだろ?!」

「なんだ。今頃気づいたのか?」

「なっ!!」

「いいか、良く聞けオルガ。私は馬鹿と変態とマヌケとアホとついでに禿げたオヤジが嫌いなんだ。ちなみにお前は馬鹿だから嫌いだ。見ているだけで虫唾が走る。」

「−…ヤン…その発言、全国のオヤジを敵に回したよ…。」

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