遺書(3分、駄文)
いつの頃からなんて、覚えてないよ。
気がついたら食事をとること…… 嫌になってた。
気がついたら食欲がわくこと…… 憎くなってた。
僕は今、軽い。
軽くて、もろい。
心も体も、僕を形成する全てが、薄くて消えかけてる。
またたきの間にまぶたに映るのは、なんの影なんだろう?
小さい頃から、本ばかりを読んでた。
母さんは料理が嫌いで、レパートリーは少なく、上手でもなかった。
父さんは頑固で、自分勝手で、でも頑張ってた。
……だから体をこわして、会社もつぶした。
なにもない家になった。ただテレビだけがうるさく、つまらない家になった。
父さんと、なにを話せばいいか分からない。今までなにを話してきたのか、分からない。
ますます本ばかりを読んだ。静かじゃない家で静かだったのは、僕だけだった。
母さん、朝早いんだから、弁当はいらないよ。自分でおにぎり作って持っていくから。
おいしくなくても、おいしいふりぐらい、できるから。
母さんが帰ってくる。つかれて帰ってくる。父さんがお金を待ちくたびれてる。
夕食は外に行った。外で食べることで気をまぎらせたかったの?
父さんが文句を言う。味が良くても接客がなってないとか、掃除が行き届いてないとかで、必ず文句をつける。どこに行ってもイライラ。家に帰ってもイライラ。
最初は止めてた母さんも、次第になにも言わなくなった。そして僕は外食に行くのが嫌になった。
おいしくないより、おいしい方がいいに決まってる。
ただ、そのことに意味を見出だせなかった。見出だせなくなった。
でも、食べなきゃいけないんだ。
明日のために、動くために。
仕事のために、生きるために。
僕はだから、社会に出て一人になったとき、食べることを放棄した。
体が動く最低限のスタミナでいい。
頭が働く最小限のエネルギーでいい。
だから、まだ生きてる。
どんどん削られてく体を自覚しても、なるべく食べずに僕は生きてる。
TVつければ食べ物扱い、美味しいと。
誰もが痩せたい? だからダイエット?
疑問に思い、愚問に思う。
友人と会うときはマシだった。彼女と一緒なら、食事も嫌じゃなかった。
でも、駄目なんだ。
そのときは良くても、部屋に帰ると気持ち悪くて、全部トイレに流すんだ。
吐いて、吐いて、辛くて、辛くて。それだけで次に食べるのが嫌になるんだ。
誰か教えて、食べても戻さない方法を。
誰か教えて、食べても悩まない方法を
だんだん減ってく、僕の体。
どんどん消えてく、僕の肉。
気がついたら、匂いのない点滴に体を繋がれてた。
気がついたら、無理やり鼻から食事を流し込まれてた。
今はそんなに嫌いじゃない。でも食べないでいられるなら、それにこしたことはないと思う。
人間、水さえ飲んでれば、ご飯なんて三日に一回だけで体は動くよ。
充分、生きていられるよ。
そういえば今日で三日目だ。もう一日、チャレンジしようか。
それで消えるなら仕方ない。
それで無くなるなら、仕様がない
それは自然の法則。世の理。はみ出したのは、僕だから。
異質な存在はきっと、僕だから……
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