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vol.17-diary12 いっぱい食べる君が好き

その日、翔と明奈はスイーツバイキングに来ていた。


「おいしい♪ どれもこれも全部おいしい♪」


明奈は嬉しそうにケーキを食べ続けている。


ショートケーキ、チョコレートケーキ、ロールケーキ、モンブラン、ゼリー…何十種類もあるスイーツをすべて食べ終える前に、翔はすでに満腹だった。


一方の明奈は全種類を制覇しそうな勢いである。


「明奈、まだいけそう?」


「全然大丈夫!」


「それはすごいね…」


翔は明奈の食べる量に内心驚いていた。


そして…明奈はついにスイーツを全種類食べきった。


「やったー! 全種類食べたよ。チョコレートケーキとラズベリーケーキがめっちゃおいしかったな。もう一回取ってくるね。」


「好きなだけどうぞっ」


驚きを隠し、翔は笑顔で明奈を見送る。そして、まだまだ余裕という様子の明奈の後姿をじっと見つめた。


明奈は普通のご飯でも他の女子よりはよく食べるほうだ。それにしても、スイーツの食べっぷりは尋常じゃなかった。


すぐにお皿にいっぱいのケーキを乗せて明奈が戻ってきた。


「私、食べすぎかな~?」


…と、言いながらも明奈は食べるのをやめる気など全くない。


「正直ね…。 でも、たまにはいいんじゃないかな…」


「だよね!」


そう言って嬉しそうにケーキを口に頬張る明奈。


最初は驚いていた翔だったが、明奈の嬉しそうな姿を見ているうちにだんだん心が癒され、自分まで嬉しくなった。


どれだけ食べようと関係ない。だって明奈が笑顔なんだから…。


自分も、成長期でたくさん食べていた時期があったが、親はほほえましく見つめてくれていたものだ。


…翔はそんなことを思っていた。


結局、明奈はその日、全種類のスイーツを食べた後に、お気に入りのケーキ数種類を2回ずつ食べた。


「翔、今日は楽しかったよ♪ また行きたいな。」


「うん、それとバイキング以外にも安くてたくさん食べられるお店があったら探そうね。」








数日後…







明奈は、翔の家に遊びに来ていた。この日は翔の母がご馳走してくれるという。


母からの合図を受け、翔が明奈を食卓に案内すると、そこには膨大な量のおかずが並べられていた。


サラダに、エビフライにハンバーグ、オムレツなど…どれもおいしそうなものばかりだ。


「おいしそう! やっぱり男の子の兄弟だからたくさん食べるんですね。」


明奈が翔の母にそう言った。翔の家は、父と母に、男の子の3人兄弟である。


「それもあるけど…今日は明奈ちゃんが来たから特別なのよ。」


翔の母がそう答えると、父も口を開く。


「翔が、台所の材料見て、明奈ちゃんにはこんな量じゃ全然足りない、もっと作ってあげなきゃかわいそうだ、って言ったんだよ。明奈ちゃんは翔の2倍食べるって聞いてるよ。」


それを聞いた明奈は顔が熱くなった。


…そして、翔のことをふくれっ面で見つめる。


「翔のバカ! 言って良いことと悪いことがあるでしょ! …あ~、恥ずかしいよーーー」


そう言うと、明奈は両手で顔を隠して俯いた。


「えっ…いっぱい食べるのって良いことじゃ…。けど…ごめん、本当にごめんね。」


翔は戸惑いながらもすぐに謝る。


それを見ていた翔の家族が爆笑し、家の中が和やかな雰囲気になった。


すぐに翔を許した明奈は、おいしい晩御飯をやっぱりお腹いっぱいいただくのだった。












これって、翔君も悪いけど、むしろ翔君のお父さんの方に問題があるんじゃ…と自分でツッコミたくなってしまいましたが…まあ、気にしない。 

約1カ月ぶりの投稿でした。

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