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vol.13-diary8 天然彼氏のお土産

とある日曜日…


翔は一緒にDVDを見るために明奈の家に来ていた。


とりとめもない話をしていると、翔が思い出したようにカバンの中を探る。


「そうだ!明奈、お土産があるんだよ。」


「えっ、本当?どこ行ってきたの?」


「青森だよ。いとこがいるんだよね。だから、この前家族と一緒に行ってきたんだ。」


翔が明奈に小さな袋を渡す。


「はい、これ。」


「ありがとう。開けても良い?」


明奈は笑顔で尋ねる。


「もちろん」


翔の返事を聞き、明奈が中身を取り出すと、翔が笑顔でこう言った。


「ねっ、かわいいサクランボでしょ?」


「えっ…?」


明奈は戸惑った。中身はぬいぐるみのキーホルダーだった。しかし、それはサクランボではなく赤リンゴと青リンゴのセットだった。それぞれにピンク色の頬をした可愛らしい顔がデザインしてある。


「ありがとう、翔。すごく嬉しい! でも、これはサクランボじゃなくて、リンゴの兄弟だよ。ほら、青森のお土産なんだし。上だけ繋がってるからサクランボに見えなくもないけどね。」


「あっ、そうだったのか! どうしてサクランボなのに赤と緑なんだろうって不思議だったんだ。」


「翔らしいね。アハハ…」


明奈は笑い出す。恥ずかしそうにしている翔だったがあることに気づいた。


「ねえ、このキーホルダー1つずつ取り外せるよ。あっ、もしかしてこれって、カップルが一つずつ持つものなんじゃないかな。」


翔が赤リンゴと青リンゴをそれぞれ取り外しながら言う。


ようやくこのキーホルダーの意味がわかった翔と明奈はなんだか照れくさくなった。


「そっかー、兄弟じゃなかったんだ。…じゃあ、赤リンゴが私で、青リンゴが翔だね。」


明奈がそう言うと、翔が赤リンゴを手渡す。


「ありがとう、翔。…何か2人で同じもの持つの恥ずかしいな。」


「…そうだね。でも、いいんじゃない。」


「うん、これ、カワイイしね。」


そう言って明奈は、置いてあった青リンゴの前に赤リンゴを置く。


…すると、お互いに正面を向いた赤リンゴと青リンゴは引き寄せあって、くっついた。


どうやら一部分に磁石が入っていたらしい。


それは、明らかにキスにしか見えなった…。


「「あっ!!!!」」


2人は同時に驚いて固まった。そして、顔が真っ赤になる。


「………」


「ちゅ、ちゅー…しちゃった……。」


明奈が消え入りそうな声で言う。


「ねぇねぇねぇ、明奈。DVD見よう!DVD!」


慌ててDVDを見る準備を始める翔。


「そ、そうだよ!そのために翔来たんだもんね。私、お菓子持ってくるね!」


明奈も慌ててその場を離れる。


そして、ちょっと距離を置いて座って、DVDを見始める2人だった…。

中学校の修学旅行で青森に行った時、弟のために買ったのがこんなキーホルダーでした。さすがに、サクランボと間違えはしませんでしたが、キスすることは、弟にプレゼントしてからわかってビックリしたのを覚えています。

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