vol.12‐diary7 ちょっと遠くへ
明奈、翔、沙枝、翼の4人は学食にいた。
とりとめもない話をしている4人。ふと、翼が口を開いた。
「俺、そろそろ車の免許取りたいんだけどさ~。翔は、どこの教習所で取った?」
「ああ、家から一番近い中央教習所だよ。」
翔の返事に、明奈は驚いた。
「えぇーーっ!? 翔、免許持ってたの!?」
それを聞いて、翼も驚いた。
「明奈ちゃん、知らなかったの…?」
「う、うん。…って、翔! どうして教えてくれなかったの!?」
「えっ、か、隠してたつもりはないよ。話す機会がなかっただけ…。」
「そうなんだ。免許って翔くんでも取れるんだね♪」
沙枝はそう言って、感心したようにうなずいた。
(おいおい…)
翼は、沙枝の言葉に少し焦る。
「それで、いつ取ったの?」
明奈が質問する。
「えっと、受験終わってすぐだよ。」
「へぇ~、そんな早く…」
その時、翼が何かをひらめいたようだ。
「そうだ。翔、明奈ちゃんとドライブに行けばいいじゃん!」
「そうだよ~。良いアイデアだね♪」
沙枝も同調する。
だが、翔は不安そうな表情になる。
「でも、家族以外の人乗せて運転したことないし…。そんなに運転上手い方じゃないから…。たぶんないと思うけど…明奈を新聞の朝刊に載せるようなことはしたくないよ…!」
それを聞いた明奈は、明るい声で翔にこう言った。
「大丈夫だよ!私、そんなに簡単に死なないから!私、翔と一緒にドライブ行きたい!ね、連れてってよ!」
明奈の笑顔があまりにもキラキラしているので、翔もその気になった。
「わかったよ!大丈夫、絶対に事故ったりしないから!」
…かくして、2人はドライブに行くことになった。
* * *
土曜日…明奈の携帯にメールが入る。
>> 家の前に着いたよ♪ 準備できてる?
メールを見た明奈は嬉しそうに返信した。
>> うん(^-^) 今行くね♪
明奈が外に出ると、親から借りたであろう青い車と翔の姿があった。
「明奈、お待たせ~」
翔が手を振ると、明奈が笑顔になる。
「さあ、乗って乗って。」
翔が助手席のドアを開けてくれた。
「ありがとう。」
明奈が車に乗り込むと、すぐに翔も隣に乗り込む。
「さあ、行こうか。」
そう言って、車を発進する翔。
「どこか行きたいところある?」
「…うーん、そうだなぁ…」
明奈は、じっと考える。が…
「何も思い浮かばないや。ちゃんと計画しておけばよかったね。」
「そっか…どうしようね…。」
翔は少し考えて、口を開く。
「そうだ! 昔、よく親に連れてってもらった場所ですごくきれいなところがあるんだ。1時間半くらいかかるんだけど良い?」
「うん、むしろドライブなんだから遠くに行きたいよ!それに、大学入るのにこっちに引っ越してきたはいいけど、大学周辺以外のこと全然知らないし。」
明奈は笑顔でそう答えた。
* * *
街を出て、川沿いの道を静かに走る車…。
翔は安全運転なので、明奈はとてもリラックスすることができた。
話が途切れて静かになった時、明奈は助手席からそっと翔の横顔を見つめてみた。
運転している翔の顔つきは真剣でとても格好良い。
あまり見ない表情にドキドキした。
でも、やはりきれいな瞳と優しい雰囲気は変わらない。
その時、翔の表情が穏やかになった。
「明奈、見て。馬がいっぱいいるよ。ほらっ、子馬が走り回ってる。カワイイね~。」
車は牧場地帯に入っていたらしい。
「ホントだ~。カワイイ~。」
明奈は窓の外を見つめて笑顔になった。
「翔、あのね…」
2人はまたおしゃべりを始めた。
車は再び街に入り、坂道を登る。
そして、小高い丘の上で止まった。
「さあ、着いたよ!」
「やったー!」
明奈と翔は車を降りる。
そこには緑の草原が広がっていた。ほとんどがクローバーで、ところどころに白くて小さな花が咲いている。その奥には海が臨め、500メートルほど進むと崖になっているようだ。
「わぁー、すごい!翔、本当にきれいだね!ありがとう!」
明奈は幸せそうだ。翔も自然と笑顔になる。
「それは良かった。ねぇ、ちょっと奥まで行ってみようか。」
「うん、よし!競争だよ。」
そう言って、明奈は先に走り出してしまった。
「ちょっと、待ってよ。」
すぐに翔も後を追う。
元気よく走り出した明奈だが、すぐに疲れてその場に寝転んでしまった。
「ほら、明奈…急ぐからだよ。」
そう言って、すぐに追いついた翔も明奈の横に寝転んだ。
仰向けになって空を見つめる二人。
「翔、疲れないんだね。」
「うん。一応、陸上部だったからね。」
「今日は晴れて良かったね。ずっとこうしてたいかも…」
「うん。暖かくて気持ちいいね。」
その時…明奈がすっと飛び起きた。
「翔、見て!四つ葉のクローバーだよ!!」
翔が明奈の指さす方を見ると、そこには確かに四つ葉のクローバーがあった。
「明奈、やったね!」
2人は微笑みあった。
しばらく休んだ後、崖の近くまで歩いてきた2人。
「すごーい。今度は一面海だ~。」
そう言って、崖の端まで行こうとする明奈。
「明奈、そんなに行ったら危ないよ。」
「大丈夫、大丈夫♪」
「しょうがないなー」
翔も前方にいる明奈のもとに行って肩を並べる。
「本当に真っ青な海だね~」
翔がつぶやくように言うと、明奈が小さくうなずく。
「うん…キレイ…」
2人は真っ青な海に見とれていた。
「明奈…キスしても良い?」
沈黙を破りそっとたずねる翔。
顔を赤らめながら小さくうなずくと、優しくて温かな感触が明奈を包み込み、2人の唇がそっと触れ合った。
* * *
丘のそばの街に戻り、喫茶店に入ったり、レストランで夕食を食べたりしていると、すっかり辺りが暗くなっていた。
「さあ、明奈、帰ろうか。」
「うん。」
車に乗り込んだ2人は、明奈の家を目指した。
「翔は安全運転…だから…安心……」
少し進んだところでそう言って眠ってしまう明奈。
翔はそんな明奈の寝顔を時々微笑ましく見つめながら運転した。
次に明奈が目を覚ました時には、家まであと3分といったところだった。
寝ぼけ眼の明奈を見て、翔が笑った。
「おはよう(笑)もうすぐ着くよ。」
翔の言葉通り、適当におしゃべりをしているとあっという間に到着してしまった。
明奈は車から降り、運転席の翔にお礼を言う。
「今日はありがとう。すごく楽しかったよ。」
「うん。僕も楽しかった。…また行こうね。」
明奈は、うなずいて翔に手を振った。
「バイバイ。気をつけて帰ってね。」
「うん、またね。」
翔がそう言うと、明奈は名残惜しそうに助手席のドアを閉め、走り去っていく翔の車を見送った。
(絶対にまた行こうね…約束だよ)
相変わらず文才がなさ過ぎて、ごめんなさい。
内容の面でも文章能力の面でも、書いてて恥ずかしいです。そして、自分が過去に書いた作品を読むのはもっと恥ずかしいです。
読み直しても恥ずかしくない作品を書きたいものです!