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魔王の器 作者:月野文人

第四章 大陸大乱編

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共闘再び

 カムイの挑発が功を奏し?勇者たちはディア王国軍、そしてルースア帝国西方駐留軍を率いて出陣することになった。ルースア帝国本軍の求めに応じて帝国西方駐留軍三万が大陸西方西部に布陣。オッペンハイム王国とシドヴェスト王国の連合軍と対峙することになる。ディア王国軍三万は一万を王都ウエストミッドに残してシュッツアルテン王国の王都アンファングの攻略に向かい、さらに前線から後退したルースア帝国本軍を半分に割り、西方北東部に向かわせることが決まっている。ノルトエンデと元東方伯家への押さえの為だ。この布陣は実は反乱勃発当初とほとんど変わらない。ルースア帝国軍に数の限りがある以上は自然とそうなってしまうのだ。
 もちろんルースア帝国側は新たな徴兵も考えた。だが、大陸西方で徴兵した兵士をどこまで信用出来るのか。こんな考えがルースア帝国に積極的な徴兵を行うことを躊躇わせる。ルースア帝国にとって今の大事はまずニコライ皇帝を包囲の危険から抜け出させること、そして本国に戻り大陸東方の戦乱をおさめること。それが出来てしまえば本国で信頼出来る兵を新たに募り、さらなる大軍で大陸西方に攻め返せばいい。それまでの間、大陸西方の中央と南部を守りきれるだけの軍勢を残して、ニコライ皇帝率いる本軍は速やかに本国へ帰還するというのがルースア帝国軍の方針だ。
 そんなルースア帝国軍の戦略に大きな影響を与えるかもしれない会議が大陸中央で行われている。中央諸国連合の一国ナウマン王国の王城の会議室。その会議室の中央に置かれた円卓には中央諸国連合六国の王が座っている。

「ノルトエンデの魔族が戦いに加わらないというのは本当なのか?」

 不安そうな顔で問いを発したのは、会議の場を提供したノイマン王国の王ジグリッド・ノイマンだ。

「事実のようです。帝国の勇者は神の意向を受けた神族に率いられた精霊らしくて、元神族である魔族は戦えないそうで」

 ジグリット王の問いにトリスタンは聞いたばかりの新しい情報も付け加えて答えた。

「神の意向!? 神族だと!?」

 トリスタンの口からいきなり神や神族という言葉が飛び出してきてジグリット王は驚いている。

「魔族から聞いた話らしいので間違いはないようです」

「……ルースア帝国の後ろには神がいるのか?」

「ルースア帝国の後ろ盾とは言えませんね。聞いた限りではルースア帝国の軍勢を利用して好き勝手にやっているが正しいと思います」

 トリスタンにはかなり詳細な勇者の情報が届いている。当然、カムイから届いたものだ。

「……我らがルースア帝国に反旗を翻せば、勇者と戦うことになるのではないか?」

「それはなるでしょう。彼らは帝国の勇者です」

「それは……」

 この場は中央諸国連合の各国の国王が集った最高会議。議題はルースア帝国と戦うか否かだ。そんな中で語られた帝国の勇者は神の意向を受けた者というトリスタンの発言は戦いを躊躇させるものだ。

「今は西で激しい戦いが行われていますが、我らが参戦すれば中央もまた前線になります。帝国本国と接しているからには西方よりもさらに厳しい戦いになる可能性もあります」

 さらにトリスタンは戦いの厳しさを口にする。ルースア帝国との戦いに反対しているわけではない。トリスタンとカムイが親しい関係にあるのは周知の事実。ここで参戦に積極的な姿勢を見せては公平さを疑われると思って、わざと厳しいことばかり口にしているのだ。

「東方諸国連合の戦いはどんな様子だ?」

 ジグリット王は今度は大陸東方の戦況を尋ねてきた。大陸東方の戦いの状況によって中央諸国連合に対するルースア帝国の圧力はかなり違ってくる。判断材料としては重要な情報だ。

「今のところは五分五分といったところのようです。もう少し帝国内を広く荒らし回れば、帝国ももっと慌てふためくかもしれませんが、さすがに東方諸国連合はそれをしません」

「なぜだ?」

「帝国を混乱させることではなく、自国の領土を広げるのが東方諸国連合の目的ですから」

 ルースア帝国の東部をある程度制圧したところで、東方諸国連合は侵攻の拡大を停止している。無闇に制圧地域を広げるのではなく、確実に統治を固めようという考えだ。
 統治しきれないほどの広大な領地を持つことは国の乱れを生む。それは帝国が証明している。それに領地の拡大に熱中し過ぎると連合国間の争いに繋がる可能性もある。いくら個々の領地が広がっても連合が崩壊してはルースア帝国には抗えない。この辺りは侵攻にあたって東方諸国連合内で何度も確認しあっている。その甲斐があって今のところは暴走する国も出ていない。

「……守りに出て勝てると思えないが。本国内であれば帝国はまだまだ軍勢の数を増やせる」

 一部の地方軍を動かしているものの、まだルースア帝国は総動員をかけていない。帝国の貴族家、大小を問わずにその全ての軍勢をかき集めれば、質はともかくとして数は軽く倍になる。

「そうでしょうが、帝国の領土を荒らすにも限界があります。調子に乗り過ぎれば帝国の二の舞いです」

 これが侵攻地域を広げられないもう一つの理由。東方諸国連合側も本国を守る必要がある。侵攻した帝国東方から大きく離れるわけにはいかないのだ。

「東が鎮圧するのは時間の問題か」

「それはどうでしょう? 東方諸国連合の裏にカムイがいるのは間違いないでしょう。勝ち目のない戦いをカムイがさせるか、いえ、カムイならやりかねませんが、東方諸国連合が納得する何かがあるはずです」

 東方諸国連合を平気で捨て石にしかねないカムイたちだが、それでも動かすには勝ち目があると思わせたはずだ。そうでなければ東方諸国連合も戦いを決断するとはトリスタンには思えない。

「……しかし、帝国本軍が戻っただけで九万。三倍の敵だ。それにどう勝とうというのだ?」

「帝国本軍の帰還を許さなければ二倍です」

「……そうだな」

 大陸東方の戦況を聞いて判断の参考にしようと考えたジグリット王であったが、その東方の戦況も自分たちの決断によって大きく変わると分かってしまった。判断材料を一つ失ったのだ。

「大陸西方に残る帝国軍は六万。それにディア王国軍を足して総勢九万。対する反乱側はディーフリートのところが五万、いえかなり戦力を減らしているでしょうから四万というところでしょうか。カムイのところの数は分かりませんが何万なんて数でないことは間違いないでしょう。ただシュッツアルテン王国が同調すれば一万から一万五千の数になります」

「我らが反乱に与すれば数の上では同数」

「いえ、我らが動けばまず間違いなく北部の奴らが動き出します」

 中央諸国連合の北には、動乱初期に帝国についた国々がある。軍勢としては二万いるかいないかだが無視出来る数でも位置関係でもない。

「……そうだな」

「それに我らが起てばルースア帝国本軍は西に留まることになります。数は帝国が勝ります。今現在、旗幟が不鮮明な勢力が全て反乱側に付けば別ですが、それを期待するのは甘すぎるかと」

「……お主はどうするつもりだ?」

 自分で決断出来ないジグリット王はトリスタンの考えを聞こうとした。

「それは今述べることではないと思います。少なくとも全員の気持ちが固まった後でなければ」

「そうだな」

 トリスタンの考えなど聞かなくても分かる。カムイに付いて決起するつもりだ。それは他の二人、ラウールとアレクシスも同じ。この場にいる半数は反乱を決めている。だからこそ彼らは何も言おうとしない。彼らにも絶対に勝てるという確信がないのだ。厳しい戦いになることが分かっていて、無理やり同調させた者と戦う気には彼らはなれない。裏切られるよりは最初から敵に回ってもらったほうが余計な心配がなくて済むという考えだ。

「うちの息子はどうしようもない馬鹿でな」

「……ローラント。どうした?」

 いきなり口を開いて息子を馬鹿呼ばわりしたのはローラント・ヘルストレーム。突然のわけの分からないローラント王の発言にジグリット王は戸惑っている。

「いや、うちの馬鹿息子の話だ」

「だから今はそんな話をしている場合ではない」

「まあ、聞け。その馬鹿息子が家を出ると言っている」

「何だと!? それはどういうことだ?」

 ただの子供の家出というわけではない。ヘルストレーム王国の次代の王がその地位を捨てるということだ。ルースア帝国との戦いに関係ないと思いながらもジグリット王は詳細を尋ねた。

「恩を仇で返すなど男のやることではないと言ってな。いい大人が子供みたいなことを言い出すので困っている」

「……恩を仇で?」

「我が国があるのは誰のおかげか。その恩を忘れて国を保って何の意味があるかと言うのだ。何があろうと国を保つのが王の役目。王太子が口にする言葉ではないと思わないか?」

「それは……」

 故国再興を実現出来たのは誰のおかげか。ローランド王の話を受けてジグリット王も改めてそれを考えることになった。悩む必要はない。ローランド王が何を言いたいかは考えるまでもなく分かっている。
 全てがカムイのおかげというわけではない。だがカムイがいなくても故国再興はなったと言い切れるほど、ジグリット王は傲慢ではない。

「本音を言えば卑怯者呼ばわりされようと勝敗がもう少しはっきりするまで待って勝つ方につきたい。カムイ・クロイツがいなければ再興はならなかったと言われても、再興したからにはもう二度と滅ぼしたくないからな」

「……それは俺もだ」

 ようやくなった故国再興。カムイへの感謝はあっても代々の悲願であった故国再興を無にするような真似はしたくない。これが本音だ。

「だが跡継ぎがいなくなってはやはり国は滅びる。国の形は残っても、それはもうヘルストレーム王国ではない。だから私は息子に殉じる覚悟を決めた」

「ローランド……」

 ジグリット王とローランド王は年が近く、親しい間柄だった。丁度、トリスタンたちのように。そのローランド王の覚悟を聞いてジグリット王の胸にわずかに悲しみが広がった。自分たちの時代が終わる。そんな思いを抱いた。だが、これは早とちりだ。

「そのつもりだったのだがな。気が変わった」

「はっ?」

「まだまだ死ぬ覚悟は早いと今日この場にきて分かった」

「どういうことだ?」

「この大乱を生き抜けば、私の国はもっともっと大きくなる。この歳でまさかこのような機会が再び訪れるとは夢にも思っていなかった」

「お前という奴は……」

 大陸全土を巻き込んだ大乱。野心を持つものにとってはその野心を実現する絶好の機会だ。義理人情ではなくローランド王は野心によって反乱に立ち上がろうとしている。それに呆れるジグリット王ではあるが、確かにローランド王の言う通りだという思いも湧いてきた。守りに入るにはまだ早い。今は乱世。どんな野心も実現可能な時代だ。こういう思いが胸に湧いてきた。

「まだまだ若い奴らに負けてはおられん。そう思わんか?」

「俺は負けるなんて考えたこともないわ」

「そうか。では決まりだな。残るは……」

 結論を出していないのはただ一人。バラック国王カールハインツだ。ローランド王たちほど年寄りではなく、トリスタンたちほど若くもない。

「……この状況で反対出来ると思いますか?」

「反対か賛成かではない。戦うか戦わないかだ。敵対しなければこちらからは何もしない」

 この会議は中央諸国連合としての意思決定をするものではない。個々の国でどうするかを決める場だ。場合によっては連合の解散を決定するかもしれない会議だ。だからこそ、各国の王が参加しているのだ。

「そういう問題ではなく、今この雰囲気の中で一人戦わないと言えると思いますか?」

「問題ない。無理に従わせるつもりは我々にはない」

「その我々というのが……」

 ローランド王の言葉を聞いて、カールハインツ王の顔に不満そうな表情が浮かぶ。

「何か問題か?」

「私一人仲間はずれではないですか。ただでさえ私は影が薄いのに、同じ年頃の友人もいないし」

「仲間はずれって……」

 ローランド王の息子よりも子供みたいなことを言う国王がいた。

「私も行動を共にしますよ。仲間はずれは嫌ですし、影が薄くてもこれだけの大乱となれば歴史に名が残るかもしれませんよね?」

「残るかもではなく、残すのだ」

「いいでしょう。では歴史に名を残す為に頑張りましょう」

「これで全員一致。中央諸国連合はルースア帝国と戦う! 戦って勝つ! 皆の者、いざ出陣だ!」

 すっかり会議の主導権を奪ってしまったローランド王。誰よりもやる気満々なのだから仕方がない。

「やっと……やっとだ。ようやくカムイに恩返しが出来る」

 ルースア帝国との戦いへと全員の意見が一致したところで、ずっと黙っていたアレクシスも本音を漏らした。

「恩返しなんて言っているとカムイに怒られるぞ。誰かの為でなく自分の為に戦えってな」

 アレクシスの呟きに答えたのはラウールだ。ラウールも全会一致となってホッとした様子だ。どんな結果になっても帝国と戦うと決めていたが、中央諸国連合の中で敵味方に分かれるなんて状況にはならないに越したことはない。

「世の中には誰かの為に戦いたいと思う者もいる。それがカムイは分かっていないからな」

「あいつの鈍感さは昔からだ。今更期待してもな」

 今回も、カムイから協力の要請を来ていない。それがアレクシスたちにはもどかしいのだ。俺と一緒に戦ってほしい。この言葉だけで、どんな敵が相手であっても戦う覚悟は出来るというのに。
 カムイから言ってこないのであれば自分たちから押しかけるしかない。恐らくはこれが最後の戦いになるとアレクシスたちは思っている。これが最後の機会だと。
 中央諸国連合はルースア帝国との戦いに立ち上がることになった。大乱はますます激しさを増していく。

◇◇◇

 ルースア帝国との戦いを決めた中央諸国連合。その動きは早い。連合国の半分は初めから戦うことを決めていた、そうでなくても残りの三国も戦いの準備だけは進めていたのだ。動き出した中央諸国連合はその軍を大きく二つに分けた。アレクシス率いるシュトラッサー王国軍とカールハイツ率いるバラック王国軍を北への備えに残し、残りの四国はランベール王国の都に軍を集結させた。そこから南西にある城砦に移動し、そこに南部を進軍する帝国本軍を引き込んで迎え撃とうという戦術だ。ルースア帝国本軍は三万。四国連合は一万二千。さすがに正面から戦うのは厳しいという判断だ。
 ランベール王国の都から城砦に向かった四国連合軍。ようやく見えてきた城砦の上に翻る旗を見て驚くことになる。
 黒字の銀十字のその旗は旧アーテンクロイツ連邦共和国の、そして今はカムイ軍の旗だ。

「……なんか前にもこんなことあったよな?」

 その旗を見て、ラウールがこんなことを言い出した。

「前に?」

 それに首をかしげるトリスタン。

「物覚え悪いな。まあ、その時は違う旗だったけどな」

「まさか……」

「その、まさかの登場だ」

 城砦の門が開き中から騎馬隊が進み出てきた。数は数十騎。ラウールたちの知った顔が何人かいる中で一際目立っているのは、先頭を進む白銀の鎧に身を固めた金髪の女性。ヒルデガンドの姿だ。

「皆さんに会うのは久しぶりですね?」

 近くまで来て、懐かしそうな顔で挨拶をするヒルデガンド。

「ヒルデガンド様……」

 予想通りの人物の登場ではあるのだが、それでもトリスタンは戸惑いを隠せない。

「今の私は無位無官の身。様は不要です。ああ、皆さんは王ですから、この様な物言いは無礼ですわね」

「いえ、たとえ無位無官であろうとも貴女は紛れもなく王后、いえ女王と申し上げたほうがよろしいですね」

 ヒルデガンドをこうして目の前にすると自分の王位に何の意味があるのかと思ってしまう。無位無官であろうとヒルデガンドがまとう威厳は紛れもなく女王のそれだ。やや贔屓目が入っているのは分かっているがトリスタンはこう思わずにはいられない。

「ですから私は何の地位にもありません……これに拘っていても話は進みませんね」

「はい。私は私の好きなような態度で貴女に接しますので、何も気にされないように」

「ではそうさせて頂きます。さてまず聞かなければならないのは、この軍は何のためのものですか?」

「それを聞く前にその人数で目の前に現れますか?」

 四国連合軍がルースア帝国の側で戦うつもりであれば、少人数のヒルデガンドたちは簡単に討ち取られてしまう。いくらヒルデガンドたちが強くても一万人を相手には出来ない。

「その心配をする必要がありますか?」

「いえ、ありません。たとえ帝国の側で戦うつもりであったとしても、我々は貴女に向ける刃を持ちません」

 かつてルースア王国の侵攻により追い込まれていた東部辺境領主軍を救ったのはヒルデガンド。ヒルデガンドはローランド王やジグリット王にとってはカムイ以上の恩人と呼べる存在だ。

「ではまた共に戦えますね?」

「戦っていただけるのですか?」

「そのような言われ方をすると少し申し訳ない気持ちになります」

「どうしてですか?」

「ここに銀十字の旗を立てればルースア帝国本軍は無視出来ない。そう思ってのことですから」

 銀十字の旗を城砦に掲げているのはルースア帝国本軍を引き寄せる為。ヒルデガンドがこの場にいるのは中央諸国連合の為ではなく自軍の都合だ。

「問題ありません。どうやってルースア帝国軍を引き寄せようかと悩んでいたところです」

 だが、そんなことを問題にするつもりはトリスタンにはない。ヒルデガンドがここにいて、一緒に戦ってくれるということが嬉しかった。

「そういってもらえると少し気持ちが楽になります」

「旦那の方はどこで何をやっている?」

 ここでラウールが口を挟んできた。カムイの居場所はラウールたちも知らされていないのだ。

「今は西にいますわ」

「西? ディーフリートの救援ってことか?」

「救援とは言えないと思います。カムイが西で戦うのはルースア帝国軍の意識を西に向ける為。西部での戦いをより激しくする為ですから」

「……皇帝のいる本軍を奥さんにまかせて自分は西か」

「あら? 私では不満ですか?」

「まさか。ただカムイにまんまとやる気にさせられているようで気に入らないだけだ」

 戦いを決めてこの場所に来てみれば、かつてと同じようにヒルデガンドがいた。出来すぎていると思いながらも、ラウールも気持ちが高ぶるのを押さえられないでいる。

「私が望んでここに来たのです。ニコライ帝には王太子時代に貸しがありますから。その貸しを今回返してもらうつもりです」

 ニコライ帝がまだ王太子であった頃。南部に侵攻したニコライ王太子の軍とヒルデガンドは戦っていた。本陣の場所を突き止め強襲をかけようかという時に東部への転戦を命じられて、その作戦は流れてしまったが、もし実行されていればニコライ帝は今生きていないかもしれない。生きていても王太子の座を剥奪され、皇帝にはなれなかったかもしれない。
 前回の戦いはニコライ帝にとって幸運な結果で終わっている。では今回の戦いの結末はどういうものになるのか。ヒルデガンドのやる気を見ていると、ニコライ帝にとって決して良い結果にはならないだろうと確信する王たちだった。
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