孫子の第三原則:兵は詭道なり
兵は詭道なり。
みなさんが一番よく知っている孫子であり、巷に満ち溢れている概念です。
「兵は詭道なり」この言葉は孫子の中でも最も有名な言葉です。
世間一般には、これが孫子の核心であると信じられています。
しかし、私はこれを最後にもってきました。今まであえてくだけた内容を、現代の
卑近な実例をあげて説明してきましたが、最初に述べた家伝の兵法というのは、
もっと分かりにくいものです。
それを私の頭で現代風にアレンジしてここの書いているものです。
実際は、この兵は詭道なりをふくめ、家伝の兵法で言われているものは、
戦略には階層があるという事です。それが
五常三徳です。
五常とは先に記述してきた五行、仁義礼智信です。
三徳とは
この項目で記述した内容で、仁、勇、智です。
これが戦略の階層です。
つまり、戦略には階層があり、国家運営をする太守、大名が持つべき心得、
それが仁です。
ここでは「戦いは勢いである」と記述したことです。
ここで疑問に思われるでしょう。仁とは優しさではないのか?
それこそ、現代日本人の限界なのです。陰陽五行の世界、本来の武士の世界では
仁は木と考えていますから、感情、常道、精神を司る言葉なのです。ですから、
物理的地形より、心理的「勢い」を読むことが最上位の指導者には必要だと教えているのです。
この部分こそ、現代人が学んでいる孫子の「仁」において欠落している部分なのです。
そして勇、これは義にも通じる、軍事官僚、警察、官僚など中間管理職ですね。
これも、仁と同じく、普通に考えたら勇猛にしろということですが、実際は
外交や折衝などの妙を説くものです。だから、官僚は、情報を外部に漏らさず、自らの
実態を隠し、なにか言いたいときは、代替を使うということです。
いまでも、日本の国家官僚がマスコミに情報を与える代わりに、自分の言いたいことを流布させて
使役している現状もこれにあたります。
つまり分析によって相手を型に類型して「可視化」し、自らの存在を情報撹乱によって
「ステルス化」するのです。これが勇の正体です。よって、タダ単に、勇猛なるべき、
突撃すべし!という事ではないのです。ここも、現代の孫子の解釈では分からないことです。
そして最後の兵は詭道なりですね、これが兵の戦法、労働者の戦法なのです。
ここが注意点ですね。これはあくまでも「兵は詭道なり」なのです。「軍は詭道なり」ではないのです。
つまり、智はこの戦略の階層の最下層の部分に当たるのです。現代日本人はこの
兵は詭道なり=智であるという構図をすんなり理解できたと思いまず。
それは、学校教育においても、高等教育でこの部分は教えられているからです。
欧米大資本家の奴隷として働くとしても、この兵の兵法、労働者の兵法は優秀な使役される労働者を
作るためには必要だからです。よって、この智=水は最下層の労働者、使役される労働力にも
教育として教えられるのです。この「水」こそが万能であり「兵法=水なのだ」と教えられるのです。
この水が重要であることは事実ですが、これが全てではありません。
この五常三徳が社会に均等に存在していなければ本当の意味での独立した国家は運営できません。
よって、現代日本では、何か思想的支柱を求めるにも、アメリカ様からいただいた憲法九条を
崇拝してみたり、中国様を崇拝してみたり、ヨーロッパ哲学様を崇拝してしまったりします。
頂点の仁、感情や思想の部分を完全に剥奪されてしまっているため、現代日本人は、
自分で独自の思想を発想することができず、西洋から与えられたものに服従するしかないのです。
しかし、間違ってはいけないのは、この智=水も、社会を動かす上においては極めて重要な要素であり、この部分もしっかり学ばなければなりません。
しかし、ここで問題が発生します。
先に戦略の階層と書きましたが、階層があるということは、この最下層の智は上位思想の制約の中でしか
機能しないということです。その制約を越えた智は無効化するのです。
つまり、
先にも書いた木火土金水
木=王道
人道主義にもとづき、民を慰撫する政治を行う。
火=覇道
圧力、威し、扇動、プロパガンダによって民衆を扇動する。
ある種、ポピュリズムであり、小泉劇場、安倍崇拝、橋下崇拝、小池劇場などもこの扇動に類するものです。それは善悪ではなく手法の問題です。
土=天道
天道思想です。お天道様が見ていらっしゃるので、人が見ていなくてもズルはしてはいけないですよ。
という意ですね。
金=正道
法治です。悪事は法で罰し、規制します。
法は万民に平等であり、いかなる者も法の支配からは逃れられません。
水=詭道
ですね。人を欺き、騙し、陥れる行為です。でも、冷静に考えてみてください。
いくらビジネスでライバル企業を出し抜くためでも、犯罪を犯したら逮捕されちゃいますよね。
つまり、水は戦略の階層の上位、金を逸脱することはできない。
金はたとえ、法律的に正しくても、餓死寸前の人の生活保護を打ち切って、その人が
「おにぎりたべたい」と書き残して死んだら官僚は袋叩きにされるわけです。
信義をまもらないといけないということですね。
土は、たとえ、正しいことをしていても、豊洲地下ピット問題のように、
火の扇動によってつるしあげられ、悪くないのに懲罰を受けてしまうこともあります。
火は、良心のある学者や言論人が声をあげることで嘘をあばかれ、失墜することがあります。
よって火は木仁に勝てないのです。
このように、戦略には階層があり、上位戦略の支配から逸脱することができないのです。
以上は東洋思想における戦略の階層の順位。
しかし、武士道というか、うちの家の家伝では
仁義礼智信となっています。
最上位の戦略の階層は木仁であり、その次が法治である義金、そして扇動、プロパガンダである火礼、
その下に水智、そして最下層には土信があります。
これは、戦国時代に一向宗が大名の所領で問題を犯すなどの諸問題が起因している日本国内特有の
事象かもしれません。
とかく、昔から日本人はあまりに熱狂的な信仰者や思想家を「気持悪い」「相手になりたくない」と
忌避し、低いものと見る傾向があったようです。それは、日本人に木仁が多かった影響もあったのかもしれません。
最終原則の兵は詭道なりに関してはあえて説明しません。
なぜなら、人を操る心理テクニックや、人を騙す方法の本など、日本ではあらゆるところに
心理テクニックと称してあふれかえっています。
しかし、先にも書いたようにこれは戦略の階層最下層であり、そんなものをその階層上位を逸脱して
使ったら、あっという間に誰からも相手にされなくなり、社会的に死にます。
あくまで、戦略の階層を守った上で使ってください。
智は戦略の階層最下位であり、あくまで、社会的道徳や法律を守ったうえで、フェアーに使いましょう。
企業競争の中という政略において、製品開発でライバル企業を出し抜くなどあくまでも戦略の階層の
範囲ないで行われる詭道は、一般社会でも誰も文句はいいません。
上位戦略を守った上で使いましょう。
この陰陽五行
戦略の階層
で、私の家に伝わる家伝の法の大方は終了です。その他は普通に本でも読めるものです。
家伝と言っても、実質的には
五常三徳
という名で伝わっているもので、それを理解している親とかの指導者の説明がなければ
けっこう理解しにくいものでした。
でも、何かそんなに無茶苦茶すごいようなことをいってるわけでもありません。
拍子抜けしたらすいません。