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久しぶりです。まだ読んでくれる人居るのかな?
第五十二章~新たなる動き②……



 筑後の国、久留米。そこにある髙良大社本殿前の広場に予はおる。

 眼下にはには大河、筑後川がうねうねとくねって流れておるのが見える。

 
 そう、いま予は、筑後の者どもにとって神聖なる山、髙良山中腹の髙良大社本殿前にある広場に在しおる。
 予の一部の前世たるものはここ、筑後人であった。じゃによって今の予にとってもここは懐かしくも、神聖なる場所であるような………気がする。

 山際に立ち、木立から覗く筑後川を眺めて居るとなにやら不思議な気分になってくる。
 予の知る整備された真っ直ぐな筑後川とは似て似つかぬその荒々しき姿を見て居ると、なにやら憑き物が落ちたような心持ちで、心が落ちてくる。

 思えばこの時代にこぼれ落ちて以来、ひとたびとも休むことなく進んできた。

 なにやら予は疲れた。ここはやはり我が故郷ではない様じゃ。唯一、見知っておった存在である髙良大社すら記憶と似ても似つかぬ姿じゃ………

 くらべれば、ボロイ……のう、は………は………


「 お拾い様、いかがなされました?ご気分でもすぐれませぬか」

 背後に守護として座する五条棄丸が問う。

「 う~~ん、やる気が起こらぬ」

「 はて、いかがいたしまするか、まもなく黒田如水様が見えられましょう。まだ今ならご気分すぐれぬとて日延べ出来ましょうぞ」

「 いや、黒田の機嫌をとらねばならん。このままでよい。いささか疲れただけじゃ」

「 は、わかり申した」

 
再び、風と小鳥の音があたりを支配する。

 静かに時が流れる。

 回想が渦巻く………

 
鍋島勢とのいくさ、あっけなかったのう。

 われらが立花勢とともに柳河城から打って出ると、あっけなく退却しおった。
 しかも整然と守りを固めつつ、慌てることなく。。
 まあ、こちらとしても好都合であったから追いもせなんだが、あれはどういう意味かのう………
 やはり島津が大きいか?有力武将との敵対をまずは避けたか?
 まあ、島津とは同盟がなったわこの後、島津義弘とも会談することになっておる。

それにしても加藤清正め、まるで示し合わせたように鍋島の撤退後やってきおって………いや、鍋島の撤退は奴の接近を知ったからなのかもしれん。


「 棄て、虎(清正)はいずこじゃ?」

「 は、はりきってこの髙良山を一万の軍勢と共に取り囲み、警護につとめておられます」

「 ほう、そうであるか」

「 今までの遅れを取り戻すべく、必死でござるよ。なにしろご対面にてお拾い様からいたく叱責あそばされて非常に落ち込んでおられましたから」

「 ふむ、あいつはいわば豊臣家の譜代じゃ。なのに東軍に味方しおって隣国の小西なんぞを攻めとる、怒られて当然よ。」

「 しかし、ああも怒られては、清正どのヘソをまげられませぬか?」

「 大丈夫じゃ。予の後ろに親父殿(秀吉)の影が見えるよう、怒ったからのう、裏切れまい秀吉公はのう~~ははは」

「 さすがお拾い様、狡猾……」

「 なに?」

「 あいや、か、賢い!で、御座る」

「 ふん、狡猾で十分じゃ、ああ予はこうかつじゃぁぁぁぁぁ」


ふてくされてる秀頼、非常に負の思考に陥っている。

「秀頼様、黒田様がお見えで御座います」

「よい、入れるがよい。人払いを頼むぞよ」

「は、黒田様、ご一名のみで御座います」

「うむ」
 
 知らせのものが退場し、再び広場は予と棄丸のみとなる。

 ズッチャン、ズッチャン、ズッチャン。 

 なにか、引きずるような足音がひびきわたる。

「お拾い様、黒田様は足なえでござる!」

「うむ、手伝え」

 五条棄丸、素早く立ち上がると広場隅の石段に駆け寄り、降りていく。

 しばしの間ののち、棄丸に介護された老人が広場にあらわれる。

「む、かたじけなし、もう良い」

「は!」

 渋い紺の作務衣もどきを着、白の綿帽子をかぶっておる。その顔は皺だらけでどす黒く、ごま塩の口ひげを蓄えておるが、長い無精ひげにしか見えん。要するに小汚い。かなりの爺にみえる。

 その爺がひょこたんひょこたんと身体を揺らしながら近づいてきた。真後ろに警戒しつつ棄丸が続く。
 
 まあ、いくら予が子供でもこんな足萎の老人にやられるとは思わんが、歴戦錬磨の戦士じゃ、何があるかもわからんしのう。
 

 老人は三歩前で立ち止まり、左足から崩れるようにうずくまり、両手を付き深々とお辞儀をして言った。

「お初にお目にかかりまする。黒田家の爺、如水にござる」

「如水殿に床几をもて!」

「は」

「あ、いや。拙者はこのままで………」

「いや、秀頼様の命でござる」

「さようか、ならば遠慮無く………イタタタ。年はとりたくないのう。昔の古傷が痛みますわ、ハハハ」
 
 如水、床几に腰掛け、ずいぶん楽な様子、予も安心じゃ。老人は敬ないと………まだ五十
代では?この時代、老けるのが早いのう。しかし、体調悪そうじゃ。

「如水殿、秀吉が一子、秀頼にござる。いや~~立志伝中のお人にお会いできて光栄です。よろしくお願いいたします」

「いやいや、主筋の秀頼様にそのように言われますと、恐縮先晩。立場上仕方なしとはいえ、東軍に味方した立場でござるから。だがしかし、今後は秀頼様の一の家臣として老骨に鞭打って勤めまする。よろしくお願いつかまつります」

「ありがたし!天下いちの軍師殿についてもらえれば我らの勝利まちがいなし………じゃが息子どのはどうなされますかな?」

「ああ心配ご無用、長政には早馬にて東軍離脱を命じております。もしも離脱がかなわぬとも東西わかれて親子相打つのもいくさの世の習い。お気にめさるな」


 気にするに決まって居ろうが!!!


 どちらにころんでも黒田の家は存続ということか、まあ裏切らぬのならよいか。如水は寝技師だが裏切ったことはなかったはず。それが証拠にあの左足があるからのう。



 よし、信頼しょう!!!



「おう、これは有り難し!息子殿が家康に付こうが、こちらに付こうが関係なし。如水どのが我が軍の
ナンバーツー、い、いや予の代理となる。よろしくたのむ」

「なんと!!!」

 さすがに唖然とした表情の如水。

「ついては今後についての方針を決定いたしたい。あす、ここにて評定をおこなうので取りまとめをを頼む」

「は、直ちに!!」


 如水、一礼すると立ち上がろうとする。素早く棄丸が介助し、退場する。


 残された予は何を思う。


「ああ、やる気せん。なんとかしてサボるぞ。明日の会議で押しつけて引退しょうかな~~」


 誰もいないので本音言っちゃった。


 …………ああ、棄丸が帰ってきた。








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