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第九話 知っていた罠その七
「そう思っただろ」
「何っ!?」
「今の言葉はまさか」
「ああ、そのまさかさ」
 言葉が返って来た。それと共に地面に叩き付けられるデスマスクの姿が消えたのだった。
「じゃあな」
「消えただと!?」
「一体何処に」
 三人はデスマスクの姿が消えたのを見て一旦一つの場所に集まる。そのうえで周囲を見回すが彼の姿は何処にもなかった。
「まさか技の一つなのか!?」
「これもまたキャンサーの」
「おいおい、こんなのは技のうちには入らないぜ」
 だがここで。そのデスマスクの声がしたのだった。
「キャンサー!」
「何処だ、何処にいる!」
「そんなに俺のことが気になるか」
 今度のデスマスクの声は如何にも楽しげなものだった。
「人気者も辛いものだぜ」
「ほざけ!まだ言うか!」
「その軽口今度こそ!」
「言われなくても出て来てやるさ」
 その言葉と共だった。
「安心しな、そこはな」
「何処だ!」
「何処からだ!」
「だからな」
 またしてもデスマスクの声だけが聞こえる。
「すぐそこにいるんだよ、俺はな」
「くっ、ならば!」
「今すぐ姿を見せよ!」
「ああ、いいぜ」
 その自信に満ちた声と共に。デスマスクは再び姿を現わしたのであった。彼が出て来た場所は。
「よお」
「なっ・・・・・・!」
「そこにいたというのか!」
 五人の狂闘士達はデスマスクの姿を認め。思わずそれぞれ声をあげてしまっていた。
「馬鹿な、どうして我等に気付かれずに」
「そこにいたというのだ」
「だからよ。わからねえのか?」
 悠然と狂闘士達に対して告げてみせてきた。
「格だよ」
「格!?」
「そうさ、俺は黄金聖闘士」
 また自分のことを言ってみせる。しかも誇らしげに。
「御前等並の連中とは違うってことさ」
「我等が並だと!またしても!」
「愚弄するか!」
 アトロムとロファールが激昂する。デスマスクに対して。
「じゃあ聞くぜ」
「むっ!?」
「今のこの事実だ。御前等は正面にいた俺に気付かなかった」
 その事実を言うのだった。そう、デスマスクは五人の正面にいたのである。このことだけは否定しようのない事実だった。デスマスクにとっても五人にとっても。
「これはどう弁明するつもりだい?」
「くっ、それは」
「我等は」
「言い繕いはみっともないぜ。だから実力差なんだよ」
 デスマスクの余裕は続く。
「これがな。わかったらさっさと逃げな」
 今度は余裕の言葉ではなかった。明らかな挑発だった。顔にもそれは出ている。
「死ぬぜ。下手しなくてもな」
「愚弄を。我等は誇り高き狂闘士」
「アーレス様の忠実にして勇敢なる僕」
 サムソンとアトロムが忌々しげに、いや怒りと憎しみに満ちた目でデスマスクに言葉を返した。
「退くということなぞ有り得ん!」
「ましてや聖闘士が前にいるのならな!」
「忠告はしたぜ」
 それぞれ一歩前に出て来た三人に対した言葉だ。
「それを聞く聞かないは別だからな」
「ほざけ!」
「今度こそ貴様を!」
「一応最後に忠告しておくぜ」
 デスマスクは身動き一つせず三人に告げた。
「それ以上動いたら命はないからな」
「まだ言うか!」
「今度こそ!」
「まずは三人だな」
 三人がデスマスクの今の言葉にさらに激昂して跳んだところで。彼は呟いたのだった。
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