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第百二十話 射る者その一
                    射る者
 アイオロスが対しているのはデイモスであった。両者は既に玄室にいてだ。そうしてそのうえで互いに見合っているのであった。
「さて、それではだ」
「闘いのはじまりだな」
 まずはお互いに話をする。
「ここで勝ちアーレスの下へ向かう」
「あの時と同じか」
「同じだというのか」
「そうだ、あの時と同じだ」
 こうアイオロスに返すデイモスだった。
「あの時とだ。同じだ」
「そう言われればそうかも知れないな」
 アイオロスもだ。それを否定しなかった。そうしてであった。
「私はあの時貴様と闘ったうえでだ」
「アーレス様を封じたな」
「我等全てと教皇の御力によってだった」
「アテナもいたがな」
「それも覚えている」
 こう返すアイオロスだった。
「アテナもおられた。そうしてだった」
「闘ってだな」
「アーレスを冥界に追いやった」
「全ては同じだ」
 デイモスはまた言ってみせた。しかしである。
 それと共にだ。彼はこうも言ってみせた。
「だが」
「だが?」
「同じなのはここまでだ」
「これからは違うというのか」
「そうだ、違う」
 また言うデイモスだった。
「ここから勝利を収めるのは我々だ」
「だから違うというのか」
「アテナがおらずともアーレス様はあの時とは違う」
 デイモスの言葉は続く。
「あの時よりさらに強大になっておられる」
「強大にだと!?」
「そうだ、なっておられる」
 その言葉にあえて言ってみせたのである。そのうえでだった。
「まさにオリンポスを治めるだけに相応しいだけの小宇宙を蓄えられたのだ」
「冥界で己を高めたのだな」
「我等は永遠の戦いの中で己を高めていく」
 まさしく修羅である。そうした意味においても同じであるのだ。
「アーレス様もそれは同じなのだ」
「強くなっているのだな」
「そうだ、最早アテナいようと。いや」
 言葉を換えた。そしてだった。
「オリンポスの神々の誰にも勝てるものではない」
「アーレスの力は元々が強大だったがな」
「先の聖戦よりもさらにだ」
「そうか。そのことは確かに聞いた」
 だからといって臆してはいなかった。その態度は変わらない。
 そしてだ。また言う彼だった。
「今確かにだ」
「だがそれでも行くのか」
「例えどの様な相手だとしても」
 アイオロスの言葉は毅然としたものになっていた。そのうえでの言葉である。
「聖闘士は必ず勝利を収めるものだ」
「必ずか」
「例え我等がどうなろうともだ」
「その心意気は見事だ」
「認めるというのだな」
「相手を認めることにはやぶさかではない」
 まさにそうだというのである。
「だが。一つ問題がある」
「それは何だ」
「アーレス様の御前に辿り着く前にだ」
「その前にか」
「私がいる」
 強い目で見据えてだ。そのうえでの言葉になっていた。
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