第八話 罠その八
「違うかい?」
「なっ、貴様は!」
「まさか!」
「ああ、そのまさかさ」
デスマスクであった。彼は悠然とロファールの右斜め後ろから姿を現わしてみせた。その顔に余裕に満ちたいささか歪んだ笑みを浮かべながら。
「キャンサーのデスマスクだ。名前は知っているな」
「黄金聖闘士だと」
「まさかここで」
「俺が来ているのは知ってる筈だがな」
驚く彼等に対して悠然とした態度を保ちながら言う。
「違うかい?」
「むむっ、だが」
「どうしてここに」
「それは簡単だよ。こいつをな」
ロファールを指差してみせてきた。
「追ってきたんだよ。簡単な話だろ」
「俺をだと。馬鹿な、小宇宙は」
「感じなかったってか!?当然だな」
ロファールの驚愕を聞いても表情は変えない。
「消していたからな、そういうのは」
「小宇宙の気配を隠していたというのか」
「簡単に言えばそうだな。それでだ」
彼はさらに言葉を続ける。
「それは俺だけじゃないぜ」
「何っ、まさか」
「他にも」
「その通りさ。おい」
デスマスクは首を回しながら辺りに声をかけた。
「出番だ。出て来い」
「はっ、デスマスク様」
「それでは」
それに応えて六人の聖闘士達が姿を現わした。そして口々に名乗るのだった。
「クロウのジャミアン!」
「ムスカのディオ!」
「旗魚星座のゾルダ!」
「巨嘴鳥星座のブラウ!」
「八分儀星座のレッシュ!」
「帆星座のアンタス!」
その六人だった。今それを名乗ったのである。
「俺を入れて七人だ。御前等は五人だな」
名乗りが終わってからまた狂闘士達に言ってきた。
「数は俺達が優勢でしかも俺がいる。分が悪いなあ」
「ふっ、それはどうだか」
しかし彼等の中の一人が平然と笑ってきた。
「優勢かどうか。わからぬぞ」
「何っ!?」
彼の今の言葉にデスマスクの顔が歪んだ。
「どういうことだ、一体よ」
「簡単なことだ。貴様等は罠にかかったのだ」
「罠!?」
「そうだ」
彼等は言うのだった。
「我々のな」
「我々だと!?」
「まさか」
「そう、そのまさかだ」
彼等は他の聖闘士達に対しても告げる。
「我々が貴様等に対して何もしないと思っていたか」
「その声は」
デスマスクもその声に反応した。それは後ろからだった。
「貴様は」
「私だ」
後ろからゆっくりと姿を現わしたのは。また闘いがはじまろうとしていた。
第八話 完
2008・6・3
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