第九十話 封印の前でその六
そしてさらに。周りの己と同じ神に仕える者達に告げたのであった。
「ここは去るとしよう」
「戦われないのですか」
「ここは」
「確かに汝等ならばこの者達を討つのは容易い」
サガとアイオロスを見ながら四闘神に対しての言葉であった。
「それはだ」
「では今は」
「ここはですか」
「アーレス様を」
「左様、今はそれを先にやる」
そうするというのであった。
「今はだ」
「左様ですか。それでは」
「今はこの者達を置き」
「アーレス様を」
「わかったであろう」
悠然と、血塗られた声で告げたのであった。
「さすれば。トラキアに戻るとしよう」
「懐かしく我等が宮殿に」
「アーレス様のおられるあの場所に」
「左様じゃ。よいな」
「はい、それでは」
「今こそ」
彼等も従う。これで全ては決まった。
エリスは彼等に片膝をつかれて周りから一礼されながら。サガとアイオロスに対して告げたのであった。
「さすれば今はその命預けておこう」
「そのまま去るというのだな」
「トラキアへ」
「如何にも。まずは僕達は戻った」
その四闘神のことであるのは言うまでもなかった。
「それではまずは」
「アーレス様に戻って頂く」
「そうさせてもらう」
「それはさせん」
アイオロスは何としてもそれを阻もうとした。すぐに身構える。
そのうえでだ。すぐに必殺技を放とうとする。しかしであった。
「無駄だ」
「何っ!?」
「貴様に我々は倒せん」
「一人もだ」
ポポスとキュモイドスが言ってきた。
「人に神は倒せぬ」
「それは言った筈だ」
「わからないと言えばどうだ」
だがアイオロスは彼等のその言葉を受け入れようとはしなかった。あくまでその攻撃を放とうとする。しかしその彼に対してであった。
ケーレスがだ。静かに笑って告げてきたのだった。
「止めておくのだ」
「無駄だというのか」
「その通りだ。その技はだ」
アイオロスが右手を上に、左手を下にして大きく開きそのうえで放とうとしている姿勢を見てであった。そのうえで言ってみせてきたのである。
「インフィニティブレイクだな」
「だとすればどうだというのだ」
「その攻撃で私を倒せるというのか」
自分をだと言ってみせたのである。
「それでだ」
「誰であろうと倒す」
これはアイオロスの返答だった。
「何としてもだ」
「殊勝だな。それは認める」
今度は目を閉じて言ってみせてきた。
「しかしだからといって私を倒せはしない」
「あくまでそう言い張るのか」
「知りたいというのならその技を放ってみるのだ」
そのインフィニティブレイクをというのだ。
「それをだ」
「いいだろう。受けるがいい」
遂にであった。彼はその無限の光の矢を放ったのだった。
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