第八十七話 再び古都へその六
「卑怯ではないのか?」
「要は生き残る為だよ」
しかしデスマスクはこう言ってそれを肯定する。
「外交ってやつはな。何があっても生き残らないといけないからな」
「それでか」
「そうさ、それでだよ」
まさにそれだからだというのである。
「わかったな。それでだ」
「しかしだ。それでもだ」
「いや、アイオリア」
しかしここでミロがアイオリアに対して言ってきた。
「我がギリシアもだ」
「どうだというのだ、ミロ」
「前の戦争ではドイツに敗れてそれで占領されたままで何とか助けられているしな」
「それはそうだが」
アイオリアもそれは知っていた。しかしなのである。
「どうだというのだ」
「イタリアのことか」
「どうもだ」
「それも政治だ」
ミロは外交と政治を同じものとして述べたのであった。
「だからだ。それもだ」
「いいというのか」
「まあ俺達は聖闘士だ。そうした政治には関わらないがな」
「うむ」
「それで多くの命が救われるのならいいのではないか?」
こうアイオリアに話すのである。
「それならばだ」
「そういうものか」
「その通りだな」
「確かにな」
「私もそう思います」
ミロの意見に賛成したのはデスマスクの他にシュラとアフロディーテであった。
「結局あれなんだよ。政治ってのはな」
「力だ」
「そうしたこともまた力のうちなのです」
「そういうものなのか」
アイオリアにはどうしてもわかりにくい話であった。首を傾げるばかりである。
「政治の世界というものは」
「力こそ正義だ」
「ならばそうして多くの命を守ることができるのならだ」
「それも正義なのでしょう」
やはりこう言う三人であった。カミュもそれを聞いて冷静に述べた。
「そうかも知れないな」
彼も三人の側に近かった。実際に立つ位置がそうなっていた。
今度はミロが中間になりそのうえで四人がいて向かい側にムウとアイオリア、それにアルデバランが位置していたのであった。場所が替わっていた。
「正義ってのはな」
またデスマスクが言う。
「やっぱり絶対的な力が必要なんだよ」
「その通りだ」
カミュも彼の言葉に同意して頷く。
「さもなければぶれてしまう」
「そうなってしまっては話にもならない」
シュラもである。
「やはりアテナ、そして教皇が圧倒的な力を持たれてこそだ」
「そうでなければ力のない者が苦しむだけです」
アフロディーテはこう表現する。
「何にもなりはしません」
「それはどうでしょうか」
それに異議を呈するムウだった。
「まず必要なのはです」
「心だな」
アイオリアが続く。
「確かな心がなければ正義は成り立たないのではないのか」
「そうだ。幾ら力があろうともそれを使うのは心だ」
アルデバランもそういう意見である。
「だとすればやはり心だ」
「ふうむ、ここはだ」
ミロは考える顔になって述べる。
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