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第八十四話 黒と白その六
「アテナのおらぬアテネなぞは」
「相手ではありませぬ」
「所詮は」
「わかったのう。アーレス様の御力ならばあの者達も蘇る」
「はい、まさに」
「アーレス様ならば」
 八大公達の言葉には希望が宿っていた。先程見せた無念さは消えていてそれがそのまま希望にかわりそのうえで話をしているのである。
「我等に全てをもたらせてくれます」
「同胞達を蘇らせ」
「そのうえで我等の理想とする世界も」
「全てをもらたしてくれます」
「アーレス様こそが絶対の存在である」
 エリスもまたそう言い切るのだった。
「戦いとは何ぞや」
「全てです」
「この世の全てであります」
 これが狂闘士達の返答であった。
「まさにこの世そのものであります」
「戦いこそは」
「その通り。しかもじゃ」
 エリスの言葉は続く。彼女もまたアーレスへの絶対の忠誠心を見せていた。そうした意味で彼女も狂闘士達と同じなのであった。
「アーレス様は天皇ゼウスとその正室へラの間に産まれた」
「まさに嫡子であります」
「オリンポスの」
「オリンポスをも治められるのに相応しい方なのじゃ」
 これが彼等のアーレスへの認識であった。とにかく彼の存在なくして彼等の存在もない、そうした絶対の忠誠が彼等にはあった。
「よいな。それではじゃ」
「はい、では」
「次は」
「あの場所に向かう」
 まずはその場所については言わないエリスであった。
「あの場所にじゃ。よいな」
「というと」
「我等の第二の聖地」
「あの永遠の都にですね」
「左様、一度は言っておるな」
「はい、既に」
 こう返す八大公達であった。
「それはもう」
「そうだったのう。では話は早いな」
「はい、それではリーヴェが帰ったならば」
「あの都に」
「行くがよい。あの都から全てがはじまる」
 エリスは悠然と笑って己の前に控える八大公達に対して述べるのだった。
「よいな。それでは」
「はい、わかりました」
「ではその様に」
「黄金聖闘士は確かに強い」
 エリスもそれは認めた。その強さはかなりのものである。それは既に八大公達が率いている狂闘士達が全て倒されていることからも言えた。
「しかしじゃ」
「しかし、ですか」
「それでは」
「我等には劣る」
 そうだというのである。
「あの四柱が戻り。そして」
「アーレス様が」
「あの方も戻られれば」
「全てが終わる。よいな」
 こう告げるのであった。彼女達は勝利を確信していた。そうしてであった。そこに不敵な笑みを浮かべるのであった。


第八十四話   完


                    2010・1・6                                           
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