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第六話 恐怖軍団その八
「しかし今」
「その通りじゃ。これもまた運命」
 老人がまた告げた。
「あの者達がまた集うのもな」
「アーレスとの戦い、激しいものとなるだろうな」
「だが。まだ二つの戦いを経なければならぬぞ」
「二つか」
「そう、二つだ」
 二人の会話は次第に深いものとなっていく。その深ささえも二人にしかわからない。運命を知る者達でなければわからない話だった。
「まずはアーレス。そして」
「あの古の神々か」
 シオンはここで気付いた。
「ティターンだな」
「その時に御前はいないのか」
「しかし。あの者達がいるのだな」
「そうだったな」
「ならいい。安心して死ぬことができる」
 シオンは己の死を完全に受け入れていた。そうして動じるところがなかった。
「デスマスクにしろな」
「あの者とシュラ、それにアフロディーテは確かに危ういところがある。しかし」
「しかし」
「前世の魂がある。安心してよい」
「そうだな。ならば」
「マニゴルドもエルシドもアルバフィカもその命を正義に捧げた」
 かつてのハーデスとの聖戦の時のことだった。彼等は果敢に戦いそして散っていった。その魂が三人にも受け継がれているというのだ。
「安心せよ」
「そして今度は嘆きの壁でか」
「そうだ。ペガサスの為にな」
「ペガサスか」
 ペガサスの聖衣のことだ。その聖衣のことはシオンにとっても老人にとっても特別な意味を持っているものだった。
「また。あの聖衣が世に出るのだな」
「今あれが何処にあるか」
「聖域にある」
 シオンは老人のその問いにも答えた。
「聖域にか」
「魔鈴に渡してある」
 シオンはこうも言う。
「わし座の聖闘士のな」
「そうか。ならばよい」
「いいのか」
「おそらく今度のハーデスとの聖戦の時にそれが世に出る」
「そうだな」
 老人とシオンはそれぞれ言葉を交えさせる。
「あのテンマがな」
「さて、今度はどういった姿になるかだが」
「楽しみか?それは」
「楽しみといえば楽しみだ」
 老人もそれは認める。
「聖戦とは別にな。テンマはわしに多くのものを見せてくれた」
「私にもな」
 これについてはシオンも同じだった。それを言うのだ。
「見せてもらったものだ」
「そうだな。それでだ」
「うむ」
「トラキアから感じるか」
「次第に強くなってきている」
 シオンだけではなかった。老人もまたそれを感じていたのだ。
「そこからも感じるか」
「これ程まで巨大な小宇宙、感じぬ筈がなかろう」
 見れば老人の顔は先程までとは違っていた。強張りがあった。
「禍々しい、まさに血に餓えた小宇宙だ」
「かつてのタナトスやヒュプノスのそれとはまた違う」
「左様」
 ハーデスの側近であった二柱の神々だ。彼等により先の聖戦でもその前の聖戦でも聖域は大きな損害を受けている。彼等にとっては忌まわしい記憶だ。
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