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第八十話 川辺においてその三
 だがアルデバランは食べながらも。やや難しい顔をしていた。
「最初は驚いたものだがな」
「ブラジルでは食べなかったな」
「そうだ」
 彼はミロの問いにも答える。
「ギリシアでは普通に食べるがな」
「そうだな、昔からな」
 同じギリシア人のアイオリアも抵抗はない。黄金聖闘士達はその蛸料理を白ワインと一緒に楽しみ宴にも興じているのであった。
「蛸はな」
「私も食べていますよ」
 シャカは目を閉じたまま平気な顔でその蛸を食べていた。箸も使っている。
「いいものですね」
「いや、それはいいが」
「しかしシャカよ」
「いいのですか?」
 だがここで他の黄金聖闘士達が怪訝な顔で彼に問うてきたのだった。
「生き物を食べても」
「それは」
「確か仏教は」
「いいのです」
 しかしシャカは平然としてこう仲間達に答えるのだった。
「本来仏教では生あるものを食べてもいいのです」
「では蛸もまた」
「いいのか」
「そして私は箸にもこだわりません」
 それもだというのである。
「無論インドでは手で食べますが」
「そうか、それにも」
「全くこだわりなく」
「そうです」
 言いながら食べ飲み続けていくのであった。表情を変えることなく。
 そして彼は。こうも言った。
「それにです」
「それに?」
「私はアテナの聖闘士です」
 今更ながらの言葉だったがそれを言うのであった。
「ですから。そうしたタブーはありません」
「そうか、それでか」
「だからいいのか」
「はい、そうです」
 こう言いきるのであった。
「無論酒に関してもです」
 言いながら何でもない顔でワインも飲む。ここで辰巳が彼等のところにやって来た。そのうえで彼等に対して言ってきたのである。
「おい、御前等」
「あっ、辰巳か」
「どうしたんだ、一体」
「今日の料理はどうだ?」
 その割烹姿のままで彼等に問うのである。
「いいか?どうだ?」
「悪くはないな」
「確かにな」
 これが彼等の感想だった。
「美味いものだ」
「一体何処の蛸ですか?」
「ここの蛸だ」
 辰巳は彼等の問いにこう答えたのだった。
「ギリシアの蛸だ。活きのいいのを選んだんだ」
「それを一気に料理して」
「それで」
「魚介類のことなら任せてくれ」
 辰巳は彼等にこうも言ってきた。
「何もかもがわかっているからな」
「そういえば貴方は」
 アイオリアは怪訝な顔で彼に言うのだった。
「前は板前だったか」
「いや、違う」
 それは否定するのだった。
「別にそんなことはないがな」
「そうなのか」
「代々城戸家にお仕えしている」
 彼はここで自分のことも話した。
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